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vol.5 空間への捧げもの ー実施編ー

リベラルアーツへの挑戦 vol.5
「空間への捧げもの」空間と音楽
~和と洋の折衷~

大阪市中央公会堂特別室 

100年の時を経て、なお息づく大正時代の美が結集する空間にて。
窓一面のステンドグラス、日本神話を描いた天井画、壁面、壮麗なカーテン ——— 和と洋が融合した空間に突き動かされたプログラムを捧げます。
会場では、音楽家たちによる演奏、インスタレーション作家による演出がなされます。

配信では、建築写真家によるカメラワーク、そして映像作品の放映と交え、音楽家たちによる演奏と共にお楽しみ頂けます。
大阪市中央公会堂特別室の天井画「天地開闢」から、新作「こをろこをろ」の初演。

2021年3月21日(日)
大阪市中央公会堂 特別室 
〔昼の部〕14時~ 
〔夕の部〕17時~

入場料 3000円 (限定各25席)
ライブ配信チケット 〔夕の部のみ〕2000円

演奏
作曲 髙木日向子
フルート 市瀬由紀
チェロ 竹中裕深
ピアノ 白石麻奈美
演出
フライヤー写真・映像 大竹央祐/uug
インスタレーション jyu+/永吉佑吏子
フライヤーデザイン/北居七都美
音響・配信 原田耕自/はらっぴーネット
映像制作/uug
助成 大阪市芸術活動振興事業

~リベラルアーツへの挑戦~
2019年1月始動。専門領域を横断して学び、遊ぶ企画シリーズ。
出会ったヒトとコトを縁に運営する。多様な知、そして人と人が新たに出会う豊かな時間の創出を目指す。


3つの表現~音楽・空間演出・映像配信~

コロナ禍の緊急事態宣言により、客席数は2分の1での実施とされた。
今回はわずか16席という限られたキャパシティーでした。重要文化財で定員人数は限られているところからの、2分の1の制限です。

愕然としながらも、ライブ・アーカイブ配信を実施することに踏み切ることにしました。
配信内容に、中央公会堂の建築をテーマとした映像を盛り込もうと、新たにまたイベントにおけるコンテンツが一つ加味します。

チケットは一瞬にして完売となり、お一人でも多く中に入られるようにと、
開演前に「公開リハーサルガイドツアー」を行うことにします。
ポコポコと企画が生まれては立ち上がり、本当に参加メンバーの方々の共創に助けられることばかりでした。

音楽プログラム

テーマは「和と洋の折衷」
大正時代に活躍した作曲家の作品をメインに、彼らが日本に運んだ西洋クラシック音楽と織り交ぜてプログラムにて演奏する。

髙木日向子 新作「こをろ こをろ」 (特別室 天井画「天地開闢」より)
バッハ 無伴奏チェロ組曲 第3番 BWV1009 より プレリュード
モーツァルト フルートとハープのための協奏曲 K.299 より 第2楽章
ショパン チェロ・ソナタ Op.65 より 第3楽章
山田耕筰 彼と彼女 -7つのポエム— より 第1,2曲
貴志康一 龍
日本唱歌・民謡より
朧月夜(詩:高野辰之 曲:岡野貞一)
通りゃんせ(日本民謡)
夕焼小焼(詩:中村雨紅 曲:草川信)

空間演出

インスタレーション
jyu + (ジュ プリュス)永吉佑吏子
永吉さんが会場に浮かび上がらせたインスタレーションは、“客席”に向けられたものでした。
客席の後列部は見えにくい、ステージから遠いといった”損”で、
前列部の客席には”得”があるといった観点から、

“後ろからも楽しめる”
“演奏者から見ても楽しめる”
両方がわくわくする

どの席に座ろうか、
座るまでのドキドキ、座ったときにおこる嬉しさが、
たしかに客席には広がっていました。何せ、大阪市中央公会堂特別室の華美な装飾。そして重要文化財での制約の中、絶妙なバランスでの表現にとても心打たれました。
客席への眼差しによる観点は素晴らしく思いました。

映像配信


音響・配信 は、ピアニストでもあられる原田耕自さんによる”はらっぴーネット”さんでした。
コロナ禍になって、ライブハウスにて真っ先にライブ配信を安定して届けられた素晴らしい技術者です。

そして、建築写真家大竹央祐さんは、中央公会堂の建築を撮影した写真集を作成されました。
下記のリンクからご購入頂けます。
写真集『pottery』
大阪を代表するレトロ建築である大阪市中央公会堂。
その特別室で催した音楽会のために撮り下ろした写真をまとめました。
[仕様]
著 大竹央祐
B5 糸ミシン中綴じ
32ページ

また配信では、映像作品を冒頭に流し、そこから音楽会の映像を放映しました。実際の音楽会とはまた違った楽しみ方を作られることは、とても励みとなりました。
写真と編集のユニットuug さんによる、公会堂の大集会室、中集会室等を撮影した写真を映像にする実験的な作品でした。

素晴らしいフライヤー

写真家大竹央祐さんの作品を表紙に、観音開きにイベント詳細へといざないます。
デザインは、北居七都美さんです。
とてもとても美しく、手に取られた方々みなさんから「わあ!」という歓声とため息が漏れる反応をそれぞれに頂きました。
生涯心に残るフライヤーです。忘れたくありません。

企画から、増殖していった表現

書き始めると、収集がつかないほどのコンテンツです。
様々にわたる領域の横断を学び、遊ぶ”リベラルアーツへの挑戦”
これまでのvol.4までのシリーズの中で最大に表現が膨れ上がったイベントとなりました。
素晴らしい空間を創設した、岩本栄之助氏に心から敬意を表します。
一人の大阪市民による寄付は、現在の紙幣価値では数十億にも及び、
その行動から起こされて出来上がった空間からはたくさんの想いが突き動かされます。
そして本イベントに関わって下さったあらゆる方に感謝申し上げます。

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