【夏の読書感想文】アーモンド

アーモンドは生まれつきアーモンドの様な形をしている扁桃体が人より小さく、怒りや恐怖を感じることが出来ない少年ユンジェが感情豊かな2人の友人と出会い成長していくお話です。


一人はユンジェとは正反対に爆発するような豊かな感情を持ち、持て余しているゴニ、もう一人は自分の感情のままに生きたいのに親にそれを抑え込まれているドラです。


この本は最初から終わりまで全てユンジェの視点で書かれていて、感情を上手く感じることが出来ないユンジェの視点で書かれているせいか全ての事実がありのまま真っ直ぐに表現されています。
例えば目の前で祖母と母が通り魔に襲われた痛々しく辛いシーンも、読んでいて目を逸らしたくなるほどありのままに書かれています。


また著者が韓国人で、舞台も韓国なので年齢の数え方など日本とは違う部分も出てきますが注釈で説明されているので特に問題なく最後まで読めました。


普段当たり前に喜怒哀楽を感じていますが、この本を読んでいて何か感情を感じ取るということは思っているよりも疲れるものだなと考えさせられました。

というのも本の中ではユンジェの動かない気持ちとは相反して、当たり前にあった日常がなくなってしまったり、今まで関わることのなかった人物と関係を持ち始めたり、周りの環境が目まぐるしく変化していきます。


淡々と書かれているシーンを読みながら、読んでいる側の私の感情が追いついていかず辛いと思うことも何度かありました。
その度に少し本と距離を置き休み休み読みました。


考えてみれば環境の変化はいつでも誰にでも起こり得ることで、その変化から受ける影響は良いものも辛いものもあります。


大きすぎる変化はストレスになることもあります。


それでもその変化を受け止めて自分が心地いいと思える場所を作るのは自分自身で、自分が影響を与えて変えられるものは限られています。


誰かを変えることは恐らくほぼ無理で、無理矢理変えようとすれば変わらないことにまたストレスを感じます。


ゴニはユンジェに感情を教えたくて蝶の羽を引っ張りどう思うか聞きますが、ユンジェは何も感じずゴニが苛立つというシーンがありました。
それがこのストレスだと思います。


私は人生の中で8回引越しをし住む環境が変わっています。
それでもストレスでどうにかなったことはありません。


それは自分が過ごしやすい環境を作るのが上手いのかもしれないと気がつきました。


自分が心地いいなと思う人と付き合い、そうじゃない人とはある程度の距離を取り、嫌な感情が生まれないように自然としています。


人は人、自分は自分と思っていることで相手を無理矢理変えようと思うこともありません。


自分がやりたいことを出来るようにするにはどうすればいいか、何を変えればいいかを考えてそれに出来るだけ近づくようにしていきます。


ある意味ドラに似ているところがあるかもしれません。


本の最後の方にユンジェが大きな危険があるにも関わらずゴニの元に行く姿は、ゴニを変えようとする行動であるように見えながらユンジェ自身が変わっていく姿にも見えました。


恐怖を感じにくいユンジェなので堂々と進んで行くのですが、その姿は当初学校内でいかに目立たないように過ごすかを考えていた姿とは大きく異なり自ら変わっていきたいと思っているように感じました。


生まれつき人よりも小さい扁桃体を持ち、脳が変わるかも分からないのにそれでも行動して行くユンジェを見て結果はどうなるか分からないけど行動することに意味があることを示しているように思い、

まだ訪れていない結果を想像して動かないよりもまず行動してみることも大切だなと考えさせられました。

年齢を重ねるにつれ、経験や想像で行動に移すのをためらうことが増えたように思います。

そんなことのないようにいつでもエネルギッシュに新しいことに挑戦していきたいものですね。


今回のアーモンドはBTSのメンバーが読んだというのを知って選んだ作品です。
次に読もうと思っている本もBTSのメンバーが読んだと聞いて選んだものになります(笑)
どんなきっかけであれ活字を読むのは色んな面でいいなと思います。
何より活字読んでる自分なんかカッコよくない?という気分になってテンションが上がるので!

ではまた次の読書感想文で。

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,685件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?