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答えがない命題にこそChatGPTを活用すべきという話

「答えがない命題」は、中間管理職にとって日常的に直面する困難な職務の一つだ。

ChatGPTの優れた特徴の一つとして、「反復して試行できる」という点を意識している中間管理職は多くないのではないだろうか。

そしてこの特性は、「答えがない命題」に対峙する中間管理職とものすごく相性がいい。

「答えがない命題」の例をいくつか挙げてみよう。チーム内あるいは他チームとの意見の不一致や対立をどう調整するか。組織やプロジェクトの変更に対してどう適応するか。また、それらの決定について部下が抵抗する場合はどうするか。そして周りから信頼を得るために、自分のリーダーシップスタイルをどう確立していくか。

今回のnoteでは、このような課題に直面した際にChatGPTを活用してどのようにヒントを得ながら最適解に近づくことができるか、仮のシナリオを設定して試行をしてみようと思う。

シナリオ:チームの雰囲気をイノベーションあふれる形に改善したい

状況: 現在、チームで現在実施しているプロジェクトはルーティーンのものや過去の成功体験をなぞるものが多く、メンバーから新しいアイデアが出にくい状況に課題を感じている。

まずは詳細を省いた、非常にラフな情報をChatGPTにインプットしてみる。

ChatGPTからは、以下のようなアウトプットが生成された。

ここで試してみたいのが、Regenerate のボタンである。ChatGPTが出した回答はLLM(大規模言語モデル)に基づいた統計的なものであるため、実際の状況にはこれ以外の答えが最適である場合もある。少し見づらい部分にはなるが、こちらのボタンである。

再度生成された回答を見ると、1つ目の生成と異なる候補を上げており、6つ目の項目が「アイデア実現のサポート」から、「ゴール設定とフィードバック」になっていることに気がつく。

これらのアウトプットを踏まえてもう一歩踏み込んだChatGPTの使い方をしてみよう。ここまでAIが掲げた一般的な解決策ではなく、そこに自分のリーダーシップスタイルを持ち込み、自分らしさを出す工夫である。

カリスマを持ったリーダーたちは、同じ状況で何を提案するだろうか。自分が頭に思い浮かぶ任意の人物。ビジネスリーダー、哲学者、歴史を動かした人物、あるいはスポーツ選手でも良い。ChatGPTが学習しているそれらのパーソナリティからヒントを得るような試みを実施してみる。

スティーブ・ジョブズの場合。ビジョンの明確化が大事、というようなアドバイスが新たに加わったのがわかる。

ピタゴラスの場合。哲学的な対話を設けることが、新たな視点を生み出すと考えていることがわかる。プロジェクトベースの話だけではなく、チームメンバーの関心事を聞くことは、思考の枠を広げることや、各メンバーの理解を深めるためにも大切かもしれない。

ここで大事なのは、サイコロの目を振るように何度も試行を重ねることである。加えて、より自分の置かれているチーム状況に合わせた最適解を得るために、詳細なインプットを加えていくことである。これらの過程は、様々なリーダーがどう考えるかを、自分が学習するプロセスでもある。ChatGPTを味方につけることで、自分のリーダーシップスタイルを確立するためのヒントも得られるだろう。

さらにプロンプトを進化させよう。例えばチームメンバーの状況が以下と仮定して、こちらを加えてChatGPTの回答の変化を見てみることにする。

・Aさんは社歴5年目。組織への帰属意識が高く、過去の成功体験に固執している。
・Bさんは社歴8年目。最年長のベテランであり、若手に比べると新しいツールの使い方、仕事の進め方への順応力は弱い印象がある。
・Cさんは大学卒業後、社歴および社会人経験としても2年目。新しいことに挑戦したい意欲はあるものの、経験不足から具体的なアイデアを提案することには億劫さを感じている。
・Dさんは別の部署から異動してきたばかり。チームの状況やメンバーのことはまだよく理解していない。

以下のように、既存のプロンプトに上記をコピー&ペースト、続けて入力する。

生成されたアウトプットがこちらであり、具体的に誰に何を期待するかも含めて、より詳細なガイドラインになったのではないだろうか。

ここまでの実験は、ChatGPTなどの大規模言語モデル(LLMs)の特性を活用したものだ。特に「答えのない命題」に対処する際には、入力された質問を解析し、訓練データを基に最も可能性の高い応答を予測するこのプロセスが、意思決定をサポートするのに役に立つことがわかる。

「答えのない命題」に直面した時こそ、絶対的な答えを出してくれないChatGPTをうまく活用すべきだ。さまざまな状況を把握し、取りうる行動が及ぼす影響を深く考え、最終的な判断を下すのは、人間にしかできないことだからだ。

少なくとも今のところは。


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