BtoBビジネスとBtoCビジネスの顧客における価値・効用の決定的な違い

新規事業のネタを探すにあたって、様々な切り口で検討できますが、今回はBtoBビジネスとBtoCビジネスの顧客にとっての価値・効用がどのように違うかというテーマを書きたいと思います。

「自分がプライベートでモノを買う場合、サービスを受ける場合、どのような価値を期待して意思決定しますか?」

「また、会社の従業員や役員の立場に立ち、モノを買う場合やサービスを受ける場合は、どのような価値を期待して意思決定しますか?」

この「期待する価値」がBtoC(プライベート)の場合とBtoB(仕事)の場合では大きく違うなと最近とても感じてます。

BtoCビジネスにおける顧客価値はわかりにくい

まずは、BtoC(プライべ―ト)の場合をイメージしてみます。
ここは、プライベートなので、いろいろなものが考えられます。
例えば、
食事をする場合:安くておいしいものを食べたい
洋服を買う場合:おしゃれな服を着たい。自分に似合う服を着たい
音楽を聴く場合:かっこいい音楽を聴いてストレスを発散したい。音楽で癒されたい。

などなど、例を挙げればきりがありませんが、物を買う場合、サービスを受ける場合に期待することは、感覚的なものが多いと思います。

言い方を変えると、価値の種別として「安心」「安全」「喜び」「感動体験」「自己実現」「くつろぎ」などであり、単純に数値やお金に換算ができません。

さらにいうと、この価値は、感覚的なもののため、人によって価値の受け取り方が異なるという特徴があります。
Aさんにとっては、大きな感動体験を生むものであって価値が高くても、Bさんにとっては感動体験を生まず、価値が低いということはよくあります。
これは、音楽や映画などの娯楽、エンターテインメントが特に顕著で、サービス提供側が完璧だと思って提供したとしても、受け取る人の価値観などによって、異なる受取方をしますし、論理的に成功モデルを作り上げるのは非常に難解だと思います。

BtoBビジネスの顧客価値は利益UPに集約される

対してBtoBビジネスの場合はどうでしょうか。

こちらは、はっきり言って非常にシンプルです。

なぜなら、買い手である企業の目的は利益を上げることに集約されるからです。

利益を上げるためには、売上を上げるかコストを下げるしかありません。

これを短期的視点で考えるのか中長期で考えるのか、この軸しか基本的にはありません。

例えば、従業員満足度を上げるための福利厚生サービスなども、従業員の満足度を上げることが目的ではありますが、従業員の満足度を上げ、離職率を下げることで、結果として利益UPにつなげることを期待します。

画像2

他のBtoBビジネスも同じです。端的に考えると利益は関係ないと思うものもありますが、最終的な目的は利益です。
したがって、BtoBビジネスの場合は、「価値を上げる(売上、企業価値)「コストを下げる(効率化、直接的なコスト低減)」この軸だけ考えれば基本的には成り立ちます。


また、利益UPという軸がしっかり決まっているため、BtoBビジネスの顧客への提案もシンプルです。提供価格に比べて、利益UPになるかどうかを明確に伝えられるかどうかが大事です。

伝えにくい商材もありますが、利益UPが目的である以上、うまく伝えられさえすれば、費用対効果の判断が非常にシンプルです。

画像2

まとめ

BtoCビジネスの場合は、新規事業の価値・効用を考える際に、感覚的な判断にならざるをえませんが、BtoBビジネスの場合はシンプルなので、提供するサービスの付加価値を明確化したうえで、その付加価値以下のコストで提供できれば良いと非常にシンプルに考えることができます。

このシンプルに伝えるというのがなかなか難しいので、一筋縄ではいきませんが、ここが明確にできるようであれば、検討しているビジネスは相当優位になる可能性が高いのではないでしょうか。

著:森本晃弘NS.CPA

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?