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形式的な平等と実質的な平等をどう実現していくのか(医学部合格率、初めて男女逆転 昨年の入試 文科省調査 朝日新聞 2月20日)


全国に81ある国公私立大の医学部医学科の2021年度入試(21年春の入学者を選抜する試験)で、女性の合格率が13・60%となり、男性を0・09ポイント上回ったことが、文部科学省の調査で分かった。データのある13年度以降で、女性の合格率が男性を上回ったのは初めて。女性の方が男性よりも合格率が低い大学の割合も初めて半数を切った。

2018年に話題になった医学部の男女差別による合格率の問題が、2021年度入試で合格率が逆転し、女子の合格率が高くなった。まあ、これで男女ほぼ同じになったようなところだが、この問題、文化的な問題も含まれていて、一概に良い方向に向かったと言い切れないところもあるように思う。

というのも、日本の文化的背景を考慮して考えてみると、現実問題として、女性は男性以上に、結婚や出産による制約があるということだ。この制約が緩和していかないと、せっかく医師になっても離脱してしまう女性が多いのでは、この女子の合格率の上昇は医師不足の原因になってしまう可能性もある。また、男女の内科や外科などの専門領域にどう進んでいくのか、性別によって、その傾向性に違いがあるのかないのか、ここを調査しないと、この先、医師はいるが、専門領域によって医師不足、医師過剰が起こりそうなことも予想できる。

医師とは、社会の公的職業と言ってよい職業なのだ。形式的平等を実現したあとのことも、行政は考えておかなくてはならないのではないか。教育を受けることに関して、男女差別はあってはならないが、医師の場合、その先のことを考えて、公平を期さないと社会が成り立たなくなってしまうかもしれない。形式的な平等と実質的な平等をどう実現していくのか、ここは行政が考えていくべき問題だ。

【教育記事から教育を考える】
2022年2月25日(金) VOL.722
作者:中土井鉄信
(教育コンサルタント・合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表)

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