見出し画像

個人事業主みんなに読んでほしい!ハンドメイド作品の値付けで見えた極意

個人で仕事をしていると、会社勤めとは違った苦労や困難に頭を悩ませることもありますよね。

そのうちの一つが、値付けではないでしょうか?

私自身、個人事業主として様々な仕事を経験してきましたが、どんな仕事でも必ず悩むのが「お客様にいくら払ってもらうか?」ということです。

特に個人を相手に商売をしようと思うと、できるだけ安く、少しでもお得にお買い物をしたいというお客様のニーズに寄り添いすぎてしまう傾向があると感じています。

そこでこの記事では、完全在宅のwebライターとして10年以上、ハンドメイド作家として3年の活動歴で見えてきた、値付けの極意をお伝えします。

  • ハンドメイドを収入元の一部にしたい

  • 個人事業主の仕事がつらい、しんどい

なんて方の参考になれば、幸いです。

ハンドメイド作品の値付けの基本とは?

ハンドメイド作品の値付けは基本的に『時給 × 製作時間 + 経費』がベースです。
経費には、材料費・販売手数料・送料などが含まれます。

また、あくまでも参考程度の金額ですが、「材料費の3倍」がハンドメイド作品の値付け相場だとも言われていますよ。

時給の出し方

時給は、居住地の最低賃金を参考にすると良いでしょう。

例えば、私の住む福島県なら2023年の最低賃金は900円です。
(全国平均は1,004円なので、こちらを基準にするのも良いかも)
3時間で制作できる作品なら、最低でも3,000円はするかな、といった具合になります。

※ただし、在宅で働けて職場移動の時間や手間が軽いぶん、時給を少しだけ安く見積もることもできます

製作時間はどこからどこまで?

製作時間は、作品一つを完成させるまでにかかる時間を計ることはもちろん、試作・仕入れ・EC出品登録・イベント出店・SNS広報・発送作業まで全て含められるのが理想的です。

ただ、現実的にはこれら全てを含められている作家さんは超激レアだと思います。
私も制作時間まで加味した値付けをしていますが、実際の稼働時間分は回収できていません。

ハンドメイド作品の価値評価

製作時間と材料費、どちらの面から見ても、ハンドメイドと工場生産を比較したら圧倒的に後者のほうが安く仕上がります。
しかし、一点ずつ丁寧な制作でディティールにまで目が行き届く、こだわりを出せるという点では、ハンドメイドに軍配が上がるでしょう。

例えば食器。今どきは100円ショップへ行けば、茶碗・お皿・カップなど、なんでも一通り揃います。
ホームセンターなら、無難なデザインと品質のものが、無難な値段で買えますよね。

では、作家が1点ずつ手作業で成形し焼いた器の良さは、どこにあるでしょうか?(ここは人それぞれ異なると思うので、あえて示しません)

値段の安さではなく、質・クオリティ・希少性などに価値を感じてくれるお客様を見つけることが、ハンドメイド作品を売るためには必要ではないでしょうか。

ハンドメイド作品の需要と供給

正直、いまのハンドメイド界隈は需要よりも供給のほうが勝っているように感じています。

ただし、ハンドメイド作品という広い範囲で見ると供給過多気味であるものの、他の作家にはない強みを出していくことで需要を掴むことは十分可能です。
例えば、高い技術力で素人には真似できないクオリティがある、環境に配慮したエシカルな制作をしている、作家の顔や人柄がとても魅力的で好感が持てる、などなど。

大切なのは、なんとなく売るのではなく『自分のハンドメイド作品の良さはどこで、それを求めてくれるお客様はどこにいるのか』を見つけることだと思います。

自分で値段を決める際のポイント

ここまでつらつらとハンドメイド作品の値段について綴ってきましたが、私が最も重視しているポイントは、
『作品が売れたときに「嬉しい!」と思える金額かどうか』です。

これは、10年以上続けているフリーランスのライター業で得た経験則を活かしています。

例えば、mana fkで1番人気の“にゃんコースター”は発売当初、1枚200円で販売していました。
この値段は、原価割れはしていないものの、制作・仕入れ・発送にかかる時間のコストは回収できない額です。

でも、発売当初はこれで問題ありませんでした。
駆け出しのハンドメイド作家が自分で「これ可愛い!」と思って制作・販売した作品を購入してくれる人がいる。
それだけで大きな喜びと自信になったからです。

しかしその後、にゃんコースターの注文がコンスタントに入るようになると、制作時間のほとんどが「にゃんコースター」への対応になります。
他にも作りたいものがあるのに手が足りない状況が数カ月も続くと、次第に注文通知が“つらい”と感じるように。
そりゃそうです。手間暇をかけても『稼ぎ』にはならなず、やりがいだけで続けていたのですから。

仕事としてハンドメイド作家を始めたからには、働いた分の収入は確保しなければ続けることができません。
特に我が家は子どもが4人いるので、趣味でハンドメイド販売をやる余裕はないのです。

正直、値上げをしたら売れなくなるのでは?という心配もありました。
そこで思い出したのが、ライター業で単価を上げたときに「稼働時間が減っても収入額はキープできた」という事実です。

実際、にゃんコースターも値上げをするたびに売上枚数は減っていますが、年間の総売上額は変わっていません。

にゃんコースターが売れた瞬間、嬉しいと感じ、喜んで制作・梱包ができる気持ちも戻ってきました。
辛い思いをしながら大量生産するハンドメイドより、幸せでポジティブな感情のこもったハンドメイド品をお届けできるほうが、私の価値観にも合っています。

「売れる値段」にとらわれすぎないで

ハンドメイド作品は「売れる値段」で売ることも戦略の一つですが、私の場合は「売れたら嬉しい値段」で販売するのが最適解でした。

そもそも大量に制作してたくさん売るスタイルは、工場や組織でものづくりをしている方には敵いません。
安いから買うのではなく、作品や作家に魅力を感じて買い物をする人も案外多いものです。

ぜひ、この機会にハンドメイドの価値評価や需要と供給、自分が売りたい値段をしっかりと見直してみませんか?
適切な値段をつけることが作家のブランディングにつながることはもちろん、ハンドメイド業界全体のイメージアップにも繋がると信じています。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

お金について考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?