万能タレと、人が壊れるとき

精神状態良好、健康優良児、１９９９年にノストラダムスの大予言で、この世はおわりだと思い、勉強を辞めて後悔した快活な男子です。

身体が頑丈過ぎです。

新宿のピッツェリアでは、キッチンのスタッフは私を含めて6名。

毎週月曜日パスタ半額の日は、外に大行列、火曜日ピッツア半額の日も、外に大行列。休みは週１のみ。なかなかのハードワークです。

私は、前の彼女に料理人てカッコイイ〜❤️とそそのかされて勢いで料理を始めたので、当時はあまり料理が好きではありませんでした
。

半年経ったある日、あまりの忙しさとストレスで１人入院、また１人、そしてまた１人と、同じ月に３人同時にノックダウン。

私はその頃海外に行きたいと思い、高月給を探している時期、ゆーっくりと抜けようと思っていました。

まじかっ・・・残された私達３人で回さなければいけなくなります。

私も何度か、はああ〜と倒れる演技を見せましたが、そのたびにホールのみんなに冗談顔だけにしてよ、と野次られます。

そのたびに、チッ  と貞子のような目になります。

あまりにも我々二人が倒れる演技を繰り返すため、副料理長は私達を励まそうと

今は踏ん張り時だ、入院してる仲間をカバーして、この試練を乗り越えた先はサイコーに成長してるぞ、さあっ！３人で頑張ろう。

我々二人は演説に感動し、感謝の意味を込めて副料理長に

僕も倒れていいですかっ・・・

   すいません実家に不幸が・・・ 

   それって脅迫罪すかっ・・・     

   我々と全面戦争すかっ・・・

ああ   急に目眩が・・・   

宗教上の理由で・・・   

思いつく限りの理由を集めてなんとか辞めようと必死でした。 

さっ万能タレです

しょうゆ  1/2カップ
てんさい糖  大さじ2
日本酒  大さじ2 
みりん  大さじ2
おろしにんにく 適量
黒こしょう 適量
唐辛子 適量

玉ねぎ  1／2個
ごま油 大さじ1

玉ねぎをすりおろしておきます。

玉ねぎとごま油以外を中火にかけ、沸騰させて砂糖を溶かします。

火を止めたらすぐにすりおろした玉ねぎを入れます。粗熱が取れたらごま油を入れて完成です。

わが家はこれをタッパーに入れて冷凍庫に入れておきます。冷凍しても凍らないので、食事の時にお皿に出し、焼肉のタレにしたりします。

鶏肉としめじなど、炒め物にも使えます。

さて、それから一ヶ月、休み無し、休憩無し、さすがに身体が麻痺してきます。

もう一人の同僚がサランラップに、ピッツァの粉と岩塩を包んで私にこう言います。

『お客さん一袋どうです？こっちの岩塩の方が純度高いスよ』、とニタニタ笑っています。

副料理長も周りに誰も人がいないのに、それダメだよーと叫んでフライパンを投げています。

私もブツブツ１人で落語を話しています、饅頭怖い、いいや、冷でもよかった、よそう、また夢になるといけねえ。

皆さん着々と壊れていきます。

そのたびにホールの方々に、冗談顔だけにしてよっ

ボナペティート♪