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学生の発言力とプレゼン力、子どもの非認知能力を伸ばせ!

諸岡:今週はですね、谷口さんが大学で生徒さんを教えていらっしゃるという一面についてお伺いしたいと思いまして。

谷口京さんは多くの広告や雑誌の写真を手がける人気写真家でありながら、
大学教師という一面もお持ちです。
今回は、教える人としての谷口さんと、今の子どもたちの姿から見える
大人のあり方、子どもたちを生き生きとさせる指導について語らいました。

大学での新型コロナ対応

諸岡:どんな一体講義をなさっているんですか?

谷口:今年で6年たつですけれども、写真の授業と広告の授業、あともう1つ、色彩の授業を持っています。

諸岡:教育の現場だと今年は本当に大変だったと思うんですけれども。

谷口:まあ、大変でしたね、最初慣れるまで。授業やりながら配信しなくちゃいけないので。ですので、やることが4倍〜5倍ぐらいに増えた感覚で今年は大変でした。

諸岡:そうなんですね。

谷口:まあでもね、できちゃうんですよね。

諸岡:ああ、そうですか。

谷口:ええ、できちゃうもんですよ。要するに、コロナで、ずっと先伸ばしにしてきた変化を、ほんの3月くらいから4月までで一気に準備して、10年分の変化を一気に1ヶ月でやったわけじゃないですか。やればできるんですよ

諸岡:そうですね。

谷口:はい。で、後から機材、webカメラとかあるいはネット回線が足りないとか、まあいろんなところ辻褄あわせながらも一生懸命ね、国を挙げて何とか新しい「ニューノーマル」に合うようにやってますけども。大学はほんとその対応がどこも大変だったと思います。教育現場は。

オンラインやハイブリッド授業でも大丈夫?

諸岡:生徒さんたちはその授業は十分に学べてる感じですか?

谷口:これねえ、アンケート取ったんです、学生90人ぐらいにアンケートを取ったんです。そしたら半分以上は遠隔授業でも学習効果は変わらない。むしろ、通学する時間を違うことに使えるって言う考えが多かったですね。

諸岡:谷口さんの授業も面白かったんでしょうね。

谷口:やっぱり意識しましたからね。遠隔授業になって質が落ちたらダメだなと思って。なるべくこう、学生の意見を拾うアクティブラーニング、一方通行ではなく、お互い双方向になるように意識しました。

諸岡:そっか、谷口さんの口からアクティブラーニングという言葉が出てきて、本当にこう、授業なさってるんだなぁという実感が(笑。

発言力、プレゼン力

谷口:求めてることは、学生がしっかり自分の意見を言うこと。で、僕の授業は特にプレゼンをしっかりして欲しくて

諸岡:日本人ってやっぱり、スピーチでのプレゼンって苦手なイメージがあるんですが、今の学生さんってどうですか?

谷口:苦手ですね。

諸岡:あ、そうなのか。

谷口:僕が何か質問をした時に、真っ先に答えるのは中国人の留学生です。間違っても答えてくれる。

諸岡:ああ、間違う勇気っていうのがねえ。

谷口:日本人の子は、例えば僕が指した場合、分かってると思うんですよ。分かってても、隣にいる学生に「え、◯◯かな」って聞いてるんですよね。

諸岡:ああ、すごい見えるー、わかるわかる。

谷口;そこがね、すごい足りないなって思っていて。そこの足りない部分を、例えばZOOMだったらチャット機能を使ったり、あるいはリアクションペーパーで学生の意見を汲み取って、それに対して教員がフィードバックする。あるいはその時にどうしてあなたはそう思うんですか?っていって、プレゼンをしてもらうきっかけになるんですよね。常にこう、意見が巡ってる。そこから新しい考えがうまれてもいいし、あるいは、同じ授業で、同じ空間をシェアしていもこういう考えがあるんだなって知ってもらうのが大事かなと思います。

小学生と関わる大人

谷口:実は地域の自然公園で、小学校4年生を相手に、カヌーとかイカダ、海でイカダをやったりカヌーをしたり、あるいは海辺の生き物の観察をしたり、そういう活動の指導員みたいなことをやっていて、いろんな小学校の子どもたちに会う機会があるんですね。小学校によってやっぱり、子どもたちの、なんていうのかな、違うんですよ、性格っていうのかな。やっぱり学校の先生が、担任の先生あるいは教頭・・・その指導する先生がすごく子供たちを支配しようとする、コントロールしようとする学校は、子供が大人の目を気にしながら行動するんですね。これやっちゃっていいのかな、とか。なので、自主的に動けないんです。
大体の学校は怪我とかして欲しくないし、危険だからしてやめなさいって言う考えが多いんですけれど。やっぱり、「よーし裸足んなれー!よーし海突っ込めー!」っていう学校の先生をすごく覚えてて、そこの子どもたちはやっぱ生き生きしてましたね。よっしゃーって言って。クラゲがいたー、カニがいたー、見てー!って言って、やっぱり元気ですね。

諸岡:うーん。そうか、そんなにやっぱり指導する先生、身近にいる大人でも、子供たち変わってきちゃうんですね。

谷口:変わりますねえ。そう思います。すごいそれに気づかされました。先生自身が子どもの頃にどう言う経験をしてるか、大きいと思うんですよね。やっぱりこう、非認知能力。それこそ、自然の中で遊んで、例えば海の触感、砂の触感であったり泥の触感であったり、岩の触感であったり。で、岩をどけたらどう言う生き物がいるかとか、やっぱり実体験を通して自然の中で遊んでいるかって、大きいかと思います。

諸岡:確かに、子供の頃いろんな経験してる先生の方が、そういう自然の場所で、的確なヒントっていうかね、導けますもんねえ。

雪の日のサッカー

谷口:僕が小学校6年生の時に担任の先生がお坊さんだったんですよ、家がお寺で、僧侶としての資格も取っている先生だったんですけれど。すごい雪が降った日があったんですね。で、外が真っ白なんですよ。体育の時間に、先生がいきなり、今日はサッカーをやろうって言ったんですよ。しかもですよ、裸足でサッカーやろうって言ったんですよ。裸足ですよ、雪の日に!

諸岡:痛いわぁ。

谷口:だけど、それがほんっとうに面白くて。その先生は、雪が降ったと。滅多に雪も降らないし、裸足で雪の冷たさを感じてみよう。それで、ボールを追いかけてみよう。追いかけていくことによって体があったまる、そうすると雪の感じ方が変わるからって。ああそうなんだって、みんな裸足になって、校庭に出てって、サッカーしたんですよ。これが本当に面白くって、みんな湯気出して。足から湯気出てるー!とか。確かにみんな足は真っ赤なんだけど、教室に戻ってもポカポカして。なんていうの、発想が転換されるっていうのかな。要するに雪は冷たいっていう固定概念が全部覆されるっていうか。

諸岡:へえ、面白い先生に出会ってましたね。

谷口:うん、覚えてますよ、オオノギジュン先生。もし見てたらホントお会いしたい、お礼を言いたい。

編集後記

大学の教鞭も執る谷口さん。今年の試行錯誤はもちろん、普段から学生たちのプレゼン力、発言力を伸ばそうと、授業の準備なども力を入れていらっしゃるそうです。社会人になった時にすぐに役立ちそうな授業ですよね。
また、地域の自然公園での指導員という一面も。実際に教育の現場に立つ谷口さんのお話からリアルな子どもたちの姿が見えてきました。大人として何をしてあげられるのか?まず自分がどうあるべきか?考えさせられるお話でした。次回最終回もお楽しみに。
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