オンライン読書会レポート『わたしを離さないで』

 7月3日(土)オンライン上にて『わたしを離さないで』の読書会を行いました。
 キャンセルの方がいらっしゃったので、4名での読書会でした。

 まず、参加者に感想や、みんなで語りたいことを聞くと、「友達とは何か」「生きる意味とは何か」「なぜクローン人間たちは逃げようとしないのか」という意見が挙がりました。

 以下、その3つの項目ごとに話し合ったことです。

①友達とは何か
・この物語のキャシーやルースたちは、うわさ話しかしていない。閉じ込め  られた環境だから仕方ないのかもしれないが、しゃべっていて本当に楽しいのかが疑問。
・ルースが悪く書かれている場面があるが、あくまでもキャシーから見たルースなので、本当のルースの姿は分からない。
・ルースは、ジェラルディン先生の親衛隊を作ったり、キャシーとトミーとの仲を引き裂いたり、本当は愛情が欲しかったのでは?でも、ヘールシャムという環境では得られないので、多少性格が悪いのは仕方ないかもしれない。

②人生の意味とは
・彼らのように閉じ込められた環境で、人権を奪われてしまうと、生きがいを他者との愛や交流のなかにしか、見いだせないのではないか。
・周囲の人との関係も大事だが、社会についてもっと知るとか、逃げるとか、いろいろと抵抗はできたのではないか。それをほとんど考えない登場人物の気持ちは理解できない。

③なぜクローン人間たちは逃げようとしないのか。
・参加者の方の中には、自分だったら逃げる、という方もいる一方で、その環境のなかにいると疑問を抱かないかもしれない、という方もいました。ここについては、もっと多くの方の意見を聞いてみたかったです。

 最後に、僕はこの本を3回読みましたが、読むたびに、人生の短さや愛することの意味について考えさせられます。批判はあるとは思いますが、キャシー、トミー、ルースの3人が必死に生きる姿は感動的です。重苦しい雰囲気をまとった小説ですが、ところどころに生きる喜びや希望が描かれるシーンがあり、僕としてはそこに心惹かれてしまいます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?