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そんな部屋あるん?てぐらい狭くて暗くて怖い部屋 高校野球の思い出

皆さんは先輩に部室に呼ばられ、”指導”を受けるという経験をしたことはありますか?
この経験は人体に電撃を走らせ、人生に「どんな異常自体にも対応する耐久性」をもたらします。(0.1%の確率で良い結果に導かれればの話ですが)
今回は僕が高校に入学してすぐにあった出来事を紹介します。
「緊張と緩和」
テレビなどで面白いことがあると、関西人の僕の親父はそう良く言っているが、僕もその通りだと思う。これから出てくる野球部でのストーリーの全ての笑い、また笑いを堪える場面の影にあるのが、「緊張」だからです。
読んだ後
そんなこんなで、これから毎日投稿をするにあたり、僕を含めた同期、後輩の野球部員にはどんな恐怖、緊張があるのかを紹介したい。
(ちなみに僕や同期は常にこの話を振り返り笑い惚けている、そして現在は母校ではこういったことはない。)
その上で、今後の投稿を読んで頂ければより楽しめるだろう。

入学

中学ではそこまで上手くはなかったが、セカンドでレギュラーをしていた。僕のいた中学は、2個上の代まで4年連続県大会出場、そしてその2個上の代では全国大会に出た。中学生としての練習の厳しさや試合での緊張感は半端ないものではなかったと自負できる。(週二回は今にも倒れそうなおばあちゃん達と一緒に接骨院に行っていた)

高校での同期の新入部員は30人以上、僕と同じ様に強い中学校から来た人もいれば、強豪のリトルリーグなどでプレーしていた奴らが多かった。

1番の懸念は、皆調子に乗っているのである。
みんな高校生活に憧れ入学し、制服もよければ化粧をした女子は可愛い、
その頃スマホ携帯も流行り出しいつでも馬鹿なことで連絡をとれ、
自分たちはむしろ先輩よりも上手いと思っている節もある。

入学して、先輩から挨拶の方法や(階段の上から挨拶しないことや、先輩より先に帰る時などは挨拶を変えるなど)野球部に関してのルールなどが伝えられる。そして監督やコーチの挨拶も終わりも一周したころ

恒例の儀式、催しものがある。

奥の部屋

入学から1ヶ月程経った強い雨の日、練習は午前の室内練習で終わった。
「なぜか今日は終わるのが早いなー」と思っていたが、まぁそうゆう日もあるかぐらいに思い、早く家に帰り、モンスターハンター3G、またはウイニングイレブンが出来ることで同期と気が昂っていた。

そう思っていた時、同期のマネージャーから(めちゃくちゃ可愛くてTwitterで話題になったマネージャーである。)




「一年全員、部室前集合!」



と声がかかり、なんだ?と思いながら二列に並ばされた。
まるで軍隊か進撃の巨人の調査兵団が心臓を捧げるかの様だ。

何か異様な緊張感がある。

緊張と緩和というが、これは笑えない方の緊張だ。
ピリッよりも低くてグーっという緊張感。

暗い体育館したのピロティ

沈黙が続く中、雨が強く打ち付ける音が響き渡り暗い雰囲気が広がる。


部室のドアがギーっとゆっくり開き、一人の先輩が二人の同期の名前を呼ぶ

二人は「はい!」と返事をし、部室の中に入りドアがしまった途端、



罵声が始まった。


そして罵声と共に二人の今まで聞いたことの内容な必死な挨拶が何回も聞こえる。

「こんにちは!」「さようなら!」「失礼します!」などだが、

なぜか声の響き方が単に部室の中から聞こえてくるのとは違う。

そして何より声の頑張り方、必死さがおかしい、通常ではない。

それにものすごい罵声と竹刀の音、聞き覚えのない低い音も聞こえる。

これはヤバイ、何か分からんがヤバイ、

ただ、待つしかできない。

雨の音だけが外では聞こえる中、冷たい汗が流れ

「まず、中の二人は大丈夫なのか。。。。」


何分も同じことが繰り返され、音が静かになり、二人が出てきた。

「お前らは帰って良い」と言われ、

物凄い形相で二人は「はい!失礼します!」と言ってその場を離れた。

二人の変貌ぶり(いつもはヘラヘラして仕方ない奴がこんな数分で変わるのかと思った。ビフォーアフターなら神回。その代わり、「ご覧ください」というナレーターの声は罵声ですが。「ご覧ください」ではなく「ご覧くだぁさぁぁぁいだろう!?」ぐらい。)

そして疑問が浮かぶ。



これは全員に起きるのか。



もし全員なら



後の方が良いけど一番最後は嫌。(まるで小学生の発表の時間だ)



もし全員じゃないなら、


頼むからとりあえず選ばないでくれ。

頼む!

ボクと太めの同期が呼ばれた。はい終わった。へ?なんで?
いや、ちょっと、へ?、なんで?(ちょっと待って、Playback、Playback)
今の言葉、、、Playback

あーあ終わったーと嘆く暇もない、未知との遭遇。しかもその未知はもうヤバイ時間になることは分かっている半知との遭遇。
行くしかねぇ、行くしかねぇだろ!

「はい!」とりあえず大きな声で部屋に入る。

「靴を脱げ」

「はい!」とりあえず大きな声で靴を脱ぐ

「そこ入れ」と先輩が部屋の奥を指差す。

「はい!」ん?いや奥って? いや? いや、いやいや、あるぞ。
確かに今まで数回だが先輩の部室に入った時になぜか奥にドアがあるのは疑問に思っていたが、そうか、そこが挨拶やらなんやら起きていたところだったのか。と分かっても何も変わらない。
「はい!」とりあえず大きな声で部屋に入る。

自分ではない方の同期が奥の部屋を開けると、中が見える。
見えるのは、これでもかというくらいに狭いところに先輩が何人もいる、
そして暗い。どす暗い。奥の部屋にモンスターが待ち構えている感じだが、そのモンスターの数が多すぎる。ポケモン探検隊のモンスターハウス状態でしかも視界が悪い最悪の状態だ。

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「失礼します!」とりあえず大きな声で部屋に入る。自分も続き入る。
つまり、同期が部屋の奥側で自分が手前、ドア側だ。
本当に狭い中先輩は6人、一人は予想通り竹刀を持ち、奥の一人は何やら投げれるものを手の上で遊んでいる。

結論から言うと、これは「挨拶運動」というもので、先輩になってみて、
分かったことだが、中学あがりの中坊は自分も含めて皆調子に乗っている部分が多い。今の生徒は皆もっと大人だと思う。僕たちの時代は、挨拶もちゃんとできなければ礼儀のなっていない奴も稀ではない。軽く指摘をしたぐらいでは治らないものを正すためのいわゆる”指導”だ。(もちろん賛否はありますが、当時は賛がほぼ多数だったというより当たり前にしてきたことという感じだろう)

本当に横幅は一畳なく、縦も二畳程のところで、二人は全力で挨拶をする。自分は一通り挨拶を終えたところ、もうそれはそれは震えている。
どのくらい震えているかというとまっくろくろすけを触ったメイちゃんくらいぶるっブルだ

「お前、〇〇さん(先輩の先輩、いわゆる神)がバスに乗ってるのに勝手に席に座ってパン食べてたらしいな」

「いいえ!」(Noは決まりとして「いいえ」だ)

「じゃあ〇〇さんが嘘ついてるっていうのかよ?!」

「いいえ!」(ここでのYesは「いいえ」だ)

「お前さあ、<隣の挨拶の練習でかき消され全く聞こえない>じゃねえの?」

まずい。。何も聞こえねーじゃねーか。。
だが分かること、それはこれが疑問文だということだ。
ということは「はい」か「いいえ」の50%。
もうマインスイーパーの最後の局面の様だ。当てるか、死ぬか。。。



「はい!」(ここでの「はい」はNoとYesを合わせたNyosだ)

「は?お前調子乗ってんのかオラ?!」(恐らくさっきの質問は「お前最近調子乗ってんじゃねの?」だったのだろう)

「いいえ!」(Noは決まりとして「いいえ」だ)

そして震えながら何とかこなし、最終局面へ移る。
お辞儀の練習だ。どうやらボクの90度のお辞儀は全然曲がってないらしい。
再度お辞儀をした瞬間

奥の一人が「もっとだよ!」と言って何かを投げてきたのが暗い中で見える
もちろんヤバイ。こんな鍛えている人たちが、普通の硬球でも投げてきたらめちゃくちゃ痛い。

ボクは身構えたがそれは足元に優しくバウンドして止まった。

スポンジだったのだ。

スポンジ。。。

スポンジに「はい!」(ここでのYesは「いいえ」だ)

何だ当たってもええやん。そのスポンジが飛んできた方を向き、

なぜスポンジなのか。。。

2012年、伝統的な、いわゆる「野球部はどこでも厳しい」というイメージは薄れ始めていた。高校野球連盟などでは、部内暴力やいじめなどが問題視され始め、強豪でありながら、春や夏の大会の出場停止が決まった高校などもあった。そのことの懸念から、言葉はあっても暴力はするなという元、我々の代から”緩く”なったらしい。

そして自分のセッションも無事終わり、
「失礼します!」とその奥の部屋に挨拶。
「失礼します!」と外側の部屋に挨拶。
「早く帰れよー」と優しめな先輩が一言。
ローファーが足が震える為なかなか履けない。何とか履き外に出る。
下駄箱に直行すると、前のセッションの二人がいた。

「あーウゼー」と指導に対して怒り、H君は下駄箱を蹴り、その下駄箱は凹んだ。それはボクの出席番号一個下の友達のものであった。
明くる週、その友達は、まだ入学したてで心配になり先生に伝えたのだろう。

次の週のホームルームで担任が、
「えー何者かにより、土日に下駄箱が凹んでしまった人がいる様です。
野球部とかね、何か知りませんか?」

僕たち、「いや、何で野球部を疑うんですか?」

これ以降、先輩と顔も合わせられない日々が続く。


ちなみに僕たちが先輩として後輩にしたこの「挨拶運動」はもちろん暴力のないものだが、もっとちゃんと面白い話があります。


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