見出し画像

疲れ目の原因と対策

こんにちは!
東京都羽村市にある医療法人真愛会 真鍋クリニックの副院長をしています、眼科医の眞鍋です。
今日から少しづつ、目のことに関するお役立ち情報をアップしていきます。何か目のことに関してご質問があれば、聞いて下さいね!


早速、今日は「疲れ目」、「眼精疲労」についてです。

今日のアジェンダはこんな感じです↓↓

眼精疲労_図1


最近では、Youtubeなどでも「視力回復トレーニング」や、「疲れ目に効く」といわれている動画や“how to”などをよく目にします。

ですが、皆さんにも注意していただきたいのは、残念ながら「これらの方法に医学的な根拠があるものはほとんどない」という点です。
ここでは、せっかく皆さんの時間をいただいて解説するので、正しい情報提供をしていこうと思います。

例えば、目をぐるぐると回すことで疲れが取れる!といった動画などはよく見かけますが、目をぐるぐる回しても目の疲れは取れません。

では、そもそもどうして目は疲れるのでしょうか?
疲れ目のメカニズムについてまずは説明していこうと思います。

Q. 疲れ目の原因

疲れ目の原因には様々な要素がありますが、大きく分けて2つを解説します。

原因その①;

“近くのものを見ている時は、目の筋肉が常に緊張状態にある”ことが一つ目の原因です。

ここで言う「近くのもの」とは、スマートフォンであったり、PCのモニターであったり、本や新聞、場合によってはリビングにあるテレビも当てはまります。

実はヒトの目は、筋肉に何も力を入れていないと目は外を向き、ピントは“無限遠”といって、果てしなく遠くにピントが合っている状態になります。

たまに、(普段はそんなことはないのに)ふと見ると目と目が離れて外を向いている人を見かけます。これは病気でもなんでもなく、ヒトの目は「もともと外を向いている」から起こることなのです。昔は「ロンパリ」などと言われましたね。

神様はどうしてか、ヒトの目を少し離した状態で作った様です。少しでも視野を拡げて、外敵から身を守るためかもしれませんね。

つまり、ヒトの目が何かにピントを合わせている時は、目を少しだけ寄り目にして、さらにピントを調整する筋肉(「毛様体筋」と言います)を使っているのです。

これを長時間続けてしまえばさすがの目も疲れてしまうと、ということです。昔おばあちゃんに、「目が悪くならない様に、遠くのものを見なさい」と言われたのには医学的な根拠があったんですね。


これが疲れ目の原因の一つ目。
もう一つの原因を次に説明します。


原因その②;

“スマホなどの画面の明るさと、部屋の明るさが合っていない”ことが、疲れ目の原因の二つ目です。


例えば、夜寝る前にベッドに入りながらスマホをいじることがよくあると思います。もしくは、暗い部屋で本を読むこともこれに当たります。

スマホなどの画面の明るさを「輝度」、部屋の明るさを「照度」と言いますが、この二つに差があればあるほど、目は目の中に入ってくる光の量を調節しなければならず、結果としてこれも目の筋肉を疲れさせる原因になります。

つまり、


疲れ目=目の筋肉の疲れ


と言えます。

では、どうしたら目の疲れを防ぐことが出来るのか?を解説します。

これは、AAO(American Academy of Ophthalmology:米国眼科学会)という、世界最大規模の眼科学会から出ている「疲れ目を防ぐ5つのルール」というのが参考になります。これによると、疲れ目を防ぐには、

① 20-20-20ルール
② 適切な距離
③ モニターの輝度
④ ドライアイ
⑤ 部屋の明るさ

が重要とのことです。これらを一つ一つ解説しますね。

① 20-20-20ルール;

これは、「20分に一度、20フィート(約6メートル)以上離れたものを、20秒間見つめなさい」というルールになります。

先ほど説明した通り、部屋の中でテレビを見ている時でさえも、目は筋肉を使ってピントを調節したり、目の向きを揃えています。

これが長時間続くことが疲れ目に繋がるので、20分程度に一回は、出来るだけ遠くのもの(ここでは6メートル以上)を、20秒以上見つめる様にしましょう、という指針になります。

要はこまめに目を休めましょうね、ということです。

② 適切な距離;

疲れ目予防の2番目の「適切な距離」とは、例えば仕事でパソコンなどの作業をする際には、「顔から50-60センチメートル以上離しましょう」ということです。

50-60センチメートルというのは、だいたい腕の長さくらいです。
パソコンのモニターなどから腕を伸ばした距離を、出来るだけ保つ様にしましょう。

③ モニターの輝度;

これは先ほども説明しましたが、スマホやパソコンなどのモニターは明るさを調節することが可能です。

モニターと、部屋の明るさに違いがあればあるほど、目は目に入ってくる光の量を調節しなければならず、疲れてしまいます。

たいていはモニターが明るすぎることが多いと思いますので、少し輝度を落としてあげると良いかと思います。

④ ドライアイ;

これは意外と自分自身でで気が付いていないこと多く非常に大切な項目なのですが、ドライアイによって疲れ目が引き起こされていることが多い、ということです。

いわゆる「目が乾いた」状態がドライアイですが、目の表面が乾燥すると、表面が凸凹した状態になり、目の中に光が真っ直ぐ入ってこなくなります。そうなると、視力は悪くないのにものぼやけて見えたり、霞んで見えたりします。その状態が長く続けばそりゃ目は疲れるよね、というお話です。

ある研究によると、1日のうち8時間以上パソコンやスマホなどのモニターを見ている人のうち、「ドライアイになっている可能性がある人の割合は80%以上」、と言われています。

つまり、パソコンやスマホの見過ぎにより自分でも気がつかないうちにドライアイになり、ドライアイが原因で疲れやすい目になっている、ということが言えるかと思います。

ドライアイの対策、治療はまた別な機会にお話ししようと思います。

⑤ 部屋の明るさ;

これが最後ですが、何度も説明していますがパソコンなどの「モニターの輝度」と関係して、部屋の明るさ(=照度)が暗すぎると、目に負担がかかるため、これも疲れ目の原因になります。

対策としては、昼間であっても出来るだけ部屋の明るさを保つことです。
その他にも、モニターのコントラストをあげる、という方法もありますがこれには少しテクニックが要ると思いますので、簡単に出来ることでまずは対応してみましょう。


以上が、「疲れ目の原因と対策」でした。

分かりづらかったところや、質問などあればコメント欄に書いていただければ後ほど解説しますね。

ではまた!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?