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花はみんなのもの。

秋元康さんが「関ジャム」で言及してて、ちょっと話題になっていた、
STU48さんの新曲「花は誰のもの?」。

MV冒頭に映る、空の青と砂漠の黄色という配色が、
狙ったものなのか、偶然なのか、この曲が生まれた背景を象徴していることにも、メッセージ性を感じずにはいられませんが、
なにより、このMVがすごく、「今」だなあ、と。

こんな社会情勢になってもう3年目、
今の状況を直球に描いた映像作品も、もうたくさん世に出てはいますが、
高校の合唱部、というのをモチーフにして、
なおかつそれを同年代の人たちがそのまま演じると、
そのリアルさ、生々しさが、輪をかけて如実に現れてくる感じがします。

高2までの「よくある」部活の練習風景から一変して、
高3に入って突然表れる「withマスク」の光景、消毒のボトル、そしてコンクールの中止。
その風景、そしてその背後にある、どこにもぶつけようがないやるせなさとか、それでも今を懸命に過ごすしかないその姿とか、
きっとこの数年を中高生として過ごした人には特に、強く心に響くものがあるんじゃないかなあ、と思います。

もちろん、曲としてもじんわり響いてくる素敵な曲で。
なんと、作曲が元チェッカーズの鶴久政治さんなんですね…!
どうりでこんなに素敵なメロディーラインが生まれるわけだ…。


ちなみに、STUの曲だともう一曲、個人的に以前から気になっていた曲がありまして。

数ヶ月前、スーパーで買い物をしていたときに、店内BGMとしてかかっていた曲が、妙に耳に残る、印象的な曲で。
声の重なり、歌い方から、明らかにアイドルの曲だろうな、というところまではわかったけれど、
ラジオとかと違って、曲紹介などは全くされないので、誰の曲かまでは全くわからず、
慌ててSoundHoundで曲検索をして分かったのが、STUのこの曲でした。

メロは4拍子で少し早めのビートなのに、
サビに入ると急に3拍子に変わって、途端に優雅な雰囲気になる、という、すごく惹きつけられる音調で。
変化球な感じもありつつも、曲全体はすごくスタンダードな印象を感じさせる部分も多いし、
全体的な曲調も、「花は誰のもの?」にも共通しますが、
儚げな中に確かな力強さを感じてすごく好きです。


そして、上述の「花は誰のもの?」に戻ると、
歌詞がなんと8言語に翻訳されて、YouTubeに公開されているMV上で字幕が表示されるようになっているらしいです。
通常は、英語ですら公式に字幕がつくケースは稀なのを考えると、
平和を願うメッセージソングとして、まさに「国境を超えて」人々に届けたい、という強い願いを感じます。

核戦争の危機が世界で急速に高まる中、被爆地・広島を拠点に活動するSTUに同曲が託された。関係者によると、メンバーも「幸せを願う気持ちを込めて歌いたい」などと話しており、この曲を自分たちが歌う意味をかみしめている。

https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2022/06/20/kiji/20220620s00041000275000c.html

MVとは別に公開されている「ダンスリリックビデオ」という映像だと、
そのメッセージ性を、また違った視点で感じることができて。
こちらも、MV同様、8言語の字幕で見ることができます。


国内の48グループでは最後発、2017年デビューのSTU。
2017年といえば「インフルエンサー」で乃木坂が初のレコ大受賞を果たし、
48Gと坂道シリーズの「逆転」が目に見えて大きく現れた年ですから、
STUは48Gの絶頂期を知らない、いわば逆境の中を歩んできたグループだといえるのかもしれません。
でも、そんな「物語性」をもったグループだからこそ、
こういう曲を歌う、その説得力・メッセージはより届くのかもしれない。

何度も反復して聞きたくなる曲たちだし、心の片隅に留めておきたいなあ、と思えるアーティストが、また1組増えました。
きっと、他にも心に響く曲があるんだろうなあ…!

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