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#スクールオブロック 校長退任に感じたこと

先ほど発表された、「SCHOOL OF LOCK!」さかた校長の退任。

主な対象年齢(中高生)からは、もう倍くらい離れちゃってるけど、
なんだかんだ細々と聴き続けてきたラジオ番組。

でも、なんだかここ最近は、正直ちょっと遠ざかってしまっていて。
番組の雰囲気というか、主にさかた校長の生徒(リスナー)への接し方みたいなものに、なんとも説明しがたい違和感を感じてしまっていたんですよね。

今日、重大発表ということで久しぶりにちゃんと聴いて、
そのとても穏当とはいえない話しぶりに相当心がざわざわして、
思わずラジオを消してしばらく冷静に考えて、
そのずっと抱いていた違和感の正体が、ようやくわかってきた気がします。


退任発表の中で、校長は
「退任理由は、自分の力不足」「許せない大人たちがいる」と、
自分自身が納得しての退任ではないことを、もう匂わせとは到底言えないぐらいのレベルで、匂わせていた。

確かに、これまでの校長教頭で、ここまで不穏当な退任発表をした人は誰もいなかった。
さかた校長は、SOL史上初めて「自分の意思とは別の力に強いられて」学校を去る人になるのかもしれない。
…と思ったけど、果たして本当にそうなのか?
今までの校長教頭が全員、完全に納得しての退任だったという保証がどこにあるというのだろう?

仮に今回のさかた校長と同じ、志半ばで、悔しさを抱えたまま退任した人が過去にもいたとしたら?
本当のところなんて当人たちにしか分からない、
こちら側の話はどこまでいったって憶測の域を抜けないけれど、
それでも事実として、過去の校長教頭たちは、みな「納得してやめていった」ように感じている人が多い。
それはひとえに、リスナーに余計な心配をさせないように、最後まで全力で目の前の生徒と向き合っていけるように、という配慮によるものだったのではないか、と思います。

一方で、こんな不穏当な、いかにも「大人の事情でやめさせられた」気配ぷんぷんの発表の仕方をされたら、
いやでもリスナーは、校長当人や、番組そのものの在り方に、目を向けざるをえなくなってしまう。
この状況で残り3週間、果たしてリスナーは安心して「自分の話」を校長教頭にぶつけられるだろうか?

「最後まで生徒たちと向き合いたい」とその口では言いながら、
その言動で、すべての矢印を、自分自身に向けてしまっている。
もし本当に「力不足」な要素があるのだとしたら、そこだよ。
そう感じてしまったのでした。


とにかくアツい、暑苦しいくらい情熱的で、生徒に向ける熱量が高くて、パッションに溢れたさかた校長。
去年の春、就任したての頃は、その高すぎるパッションがちょっと空回りしちゃってるように感じた場面も多々あって、
そりゃまあ緊張もするよね、これだけ歴史ある番組だもの、ましてや前任者が凄すぎたしさ、と思ってはいたけれど、
しばらく経っても、どうしても違和感がぬぐいきれなかったんですよね。

「話を聴く、受け止める」という「相手」に矢印を向けたコミュニケーションよりも、
「《自分が》何かを伝える」という「自分」に矢印を向けたコミュニケーションに、
無意識に比重がいってしまっているのではないか。
今思えば、そんなふうに感じられてしまったのが、そんな「説明しがたい違和感」の正体だったように感じます。

もちろん、悩み多き思春期のリスナーとがっぷり四つで向き合うなんて、
想像するだけでもめちゃめちゃ難しいことだし、
そりゃあ一朝一夕で上手くなれるようなもんじゃない。
それに、最近しばらく聴いてない間に、もしかしたらコミュニケーションの取り方もだいぶ変わってきていたのかもしれない。

久しぶりに聞いたたった十数分の退任発表のコメントだけで判断するのは、どう見たって早計なのはもちろん分かっているけれど、
それでも、あの退任発表の仕方を聴いて、去年感じていた違和感が、改めて強くフラッシュバックしてきてしまったのでした。


いくら「誰かに寄り添いたい」と心では思っていても、
ちょっとした言葉遣いや、心の揺らぎとかで、
その矢印は簡単に自分の方に向いてしまう。
その矢印の向きを直して、全力で目の前の誰かに向き合おうとするのは、
本当に強いエネルギーがいることで。

そんな大変な役割を全力で担ってこられた歴代の校長教頭には、
本当にリスペクトしかないし、
期間の長短とか関係なく、一人ひとりがリスナーにとっては大切な「校長」「教頭」なのだと思います。

その担ってきたものの重さ、難しさに改めて思いを馳せつつ、
スケールは全然違うけれど、この「矢印の向け方」というのは、誰にとっても無縁ではない話のはずで。

思春期に限らず、こうやって誰かに向き合ってくれる存在は、
何もラジオの中だけでなくて、現実世界、いろんな人の身の回りにももっとたくさんいたっていいですよね。
自分も誰かにとって、そういう存在でいることができるだろうか…?
そんなことも改めて考えさせられたりした放送でした。

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