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「昭和から平成に変わった瞬間、あなたは何をしていましたか?」
これは、わたしがある一定の年齢の方とお話した時にほぼ必ず聞く質問。
前も書いたとおり、わたしは1980~90年代の文化……カルチャーが好きなのだが
その中でも特に、当時を生きてきた沢山のひと達の「昭和から平成に変わった瞬間」の話を聞くことがとても好きだ。
「なんでだか忘れちゃったけど、その時銀座にいた。
いつもは人形とか電飾がキラキラしていたサンリオギャラリーが真っ暗で、それが妙に印象的だった」
「映画館でバイトしてた。
お客さんに元号が変わった事を伝えるために、その日だけ『元号が"平成"になりました』ってアナウンスを上映前に毎回入れてた。」
「スキー場にいた。
リフトで山の上まで上がった時、スキー場のスタッフが小渕さんのそれみたいに『平成』ってでっかく書かれた紙を掲げて立っていたのが妙におかしかった」
「ラブホテルにいた。
当時付き合ってた彼氏とエッチしたあとにテレビをつけたらおじさんが例の紙を掲げてて、それを2人で裸でぼーっとしながら見てた」
………………。
ざっといま調べたのだが、
1988年当時の日本の人口は約1億2200万人だったそうで。
つまり、1億2200万通りの「1989年1月8日」の思い出があるということになる。
(赤ちゃんとか子どもとか、記憶がおぼろげなひとたちは一旦考えず)
なぜわたしは「思い出話」……いや、
とりわけ果てしなく大きい「1989年1月8日」というパズルの、ちいさなピースを集めるような事をしてるのだろう?
ここ最近(と言っても1週間くらいなんだけど)はそんなことばかりポワ〜ンと考えてた。仕事しろよ。
きっと、その時のありのままの感覚を100%共有できないからこそ
すこしでも当時を生きてきた人達の話を聞くことで、絶対に掴むことの出来ない「時代」「その瞬間」の感覚を味わいたいからなのだと思う。
昭和→平成〜云々からすこし話が逸れてしまうが、
わたしのような後追い(この言葉、実は苦手)の世代は8,90年代当時の曲を
レコードショップにポスターが貼られていたり、実際に店頭で新譜として売られていたり、音楽番組で見聞きしたり……といった、
いわゆる「リリースされたばかりの新曲」として聴くこと……いや、接することが出来ない。当たり前なんだけど。
自分にとっては初めて聴く曲、
「感覚」としては新曲ではあるけど
「世の中」的には新曲ではない。
これって結構さみしい。
時間の差が、物理的な距離よりも遠い存在である事をかなり早い年齢で気づいてしまったからこそ、
心の中にぽっかりと空いた「どうしようもなさ」を埋め合わせたくて思い出話を聞きたがるんだろうな。
その時代に生きていた人達が何を考え、
何を食べて、
どんな服をまとい、
何をすることを楽しみと感じていたのか、
そしてどんなまなざしを向けて生活をしていたのか………
だれかの思い出がわたしの中で蓄積されることで、遠い存在であった「過去」との距離がぐっと縮まってくる。
こんなことにいちいち意味なんて求めてないけれど、意外と面白いんだよ。
わたしだけのひとり遊び。
もしよろしければ、ほんのすこしばかりお付き合いしてくれませんか?
「昭和から平成に変わった瞬間、
あなたはどこで何をしていましたか?」
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