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2023年観劇マイベスト5

振り返ってみると、74本の演劇(ストレートプレイ)を観ていた。
これが人生最大となるか、もっと更新できるか。
本数はただの数字だが、移り変わりの早い時代、それなりに観続けないと本当に好きなものは選び取れない感覚がある。お金と時間の使い方。公私共にこれからの自分の踏ん張りにかかっている。


基準

Notionに観たイベントを登録し、個人的な5段階評価をつけている。
幸せなことに演劇だけで22本/74本も評価5をつけたので、、演劇という形で創作し上演してくれてありがとうございますの感謝を込めて、特に(主に題材的に)好みだった5本を選んだ。

マイベスト5

1. かわいいコンビニ店員飯田さん「悼むば尊し」@下北沢駅前劇場

2023年10月4日(水)19:00の回。

私が中1の頃、同じ部活の中3の代の先輩6人が曖昧な区切りでお互いをイジメ合う様子に、人間の多面性と複雑性と恐ろしさを学んだ青春の記憶。
本作品が扱っているのは、あの時と似たような構造なのではないかと勝手に解釈している。内面が、大人になった当事者によって残酷に堀り起こされているような気がして、感銘を受けた。
それぞれの視点で、ボロボロ泣いた。これだから観劇はやめられないと思えるような、2023年個人的ベスト1の作品。

チケット代は4,830円(4,500円+システム手数料110円+発券手数料220円)
カンフェティ経由GETTIISで購入し、セブン紙発券を利用。


2. ムシラセ「眩く眩む」@劇場MOMO

2023年9月9日(土)13:00の回。

アニメーション制作現場を舞台に「集団創作とハラスメントと個人の尊厳とクオリティの行先」が描かれた作品。
自分の中にある加害性に気づかざるを得なかった。ゾッとした。
二元論ではないものの、加害者も被害者も周りの人もそれぞれ共感できるところあり、それはおかしいと思うところあり。ちょっとこのテーマはずっと考え続けたいし、現職でまさにぶち当たっている壁な気がする。

最後に加害側がいなくなり、それでも会社やプロジェクトは続いていく様子に希望を感じた。好きとか、達成感とか、エンタメの現場で持ち上げられがちな拠り所にぶらさがっててはいけない。

チケット代は4,630円(4,300円+システム手数料110円+発券手数料220円)
カンフェティ経由GETTIISで購入し、セブン紙発券を利用。


3. ウンゲツィーファ「リビング・ダイニング・キッチン」@アトリエ春風舎

2023年9月14日(木)20:00の回。平日の夜20:00開演で約80分。「あの頃のチケット」2,800円を、コンビニや現金の⁨⁩当日精算を介さず電子チケット発券で直接会場へ。素晴らしい

約80分間の上演中、泣き止まない赤ちゃんの泣き声が響き続ける。それだけで結構しんどい。
「「夜なのに、朝とする」「無いものを、有るとする」演劇に潜むバグを意識的に駆使する」、「半分透明なそれに、二人は人生の内のなにか大きなものを、捧げつつあったのだ」作品説明そのままで美術も演出も中身も濃かった。

チケット代は2,800円
PassMarketで購入してQR発券。walletにも登録した


4. アンカル「昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ」@東京芸術劇場シアターイースト

2023年7月2日(日)14:00の回。

過去の上演情報を見かけたことがあって、もし再演するならぜひ観たいと思っていた。映画「14歳の栞」の演劇版のような作品。
27人で織り成す、青春群像劇。これを演劇でやってくれて本当に嬉しい。

躍動感、エネルギーの凄まじさが忘れられない。「まるで演劇アトラクションのよう」は本当にそう。藤松祥子さんと瑞生桜子さんの繊細な演技、全体との対比に一層引き込まれた。

チケット代は4,130円(3,800円+システム手数料220円+発券手数料110円)
チケットぴあで購入してセブン紙発券。


5. 青年団「日本文学盛衰史」@吉祥寺シアター

2023年1月22日(日)14:00の回。

ちょこちょこ青年団の影響を受けた演劇を観て惹かれつつ、ついに本体を観ることができた。すっかり推し劇団になった。全然深掘り言語化できていないけれど、惹かれるコアはいわゆる「現代口語演劇」にあると思われる。

私は平成に生まれ令和に生きているのだから、到底明治を体験することはできない。それでも演劇は、生身の人間が可能な限りその時代のある状況を生々しく観せてくれる。
観劇当時はだいぶ心揺さぶられたものだが、1年も経てば忘れ去ってしまうのが悲しい。こちらは他の観客の方の感想引用。

明治時代の日本人は自らの内面を記述する言葉を持たなかった。使う言葉も語法もワンパターンで、書く本人が本当にこんなことを思っているのか、と疑いながらも、それ以外の方法で心を記述する術がなかった。この内面を表す言葉を作ろうと苦心していたのが作家であり、それこそが文学の目的だった。自分たちが普段当たり前に使う口語体、内面を描写するさまざまな比喩は、連綿と続く日本近代文学の発展があってこそだったのだ

https://www.goodnalife.com/entry/2023/05/11/150704

日本語や日本文学が誰かに虐げられることなく、今もなお時代に合わせて進化し続けていることへの喜びを噛みしめずにはいられない。

チケット代は4,000円
ローチケ演劇最強論-ingで購入してローチケ紙発券。


海外編

1. 「私を殺して / 죽여주는 이야기」@韓国・ソウル・知人シアター(지인시어터)

2023年12月1日(金)14:00の回。

外国で初めての小劇場観劇は、韓国演劇の聖地・大学路(テハンノ)で15年の歴史を持つブラックコメディとなった。
ご覧の通り、日本では信じられないほどの上演回数を誇る。平日に3公演、土曜日に4公演ってなんだ。。。上演時間は100分

https://www.xn--vk1br5hppx9qddtd.com/ticket.do?command=perform_view&contents_code=20231020001

色々と衝撃を受けたので細かくはまた個別の記事にして書きたいが、韓国語が全く分からなくても楽しめる演技力、演出、観客を楽しませる工夫に、激戦区でロングランができる所以がありそう。

チケット代は約1,600円(やっすい)
マロニエ公園内の良い公演案内センターで購入して劇場入り口のTicketBoxで当日券引換。

総括

2019年12月に根本さんの「今、出来る、精一杯。」に心揺さぶられてから4年。2021年の初夏、小劇場演劇に出会ってから2年半。
2023年も沢山の素敵な作品に出会うことができた。
2024年は、東京で本数観るのは抑えて、地方の演劇祭に行ってみたり、演劇を通して興味を持った海外の演劇にも触れていきたい。

  • 5:最高。作品をこの世に生み届けてくれて大感謝。このために生きてる

    • 22本 / 29.7%

  • 4:素晴らしい!

    • 21本 / 28.3%

  • 3:ふむふむ!

    • 13本 / 17.6%

  • 2:観るのがちょっと辛い

    • 8本 / 10.8%

  • 1:観るのが辛い

    • 10本 / 13.5%

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