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東京の休日 177 〜【イヴ・サンローラン展@国立新美術館】「モードの帝王」の心にふれた秋の夕暮れのこと〜

『イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル

Yves Saint Laurent, Across the style』
2023年9月20日(水)~12月11日(月)

国立新美術館(六本木、乃木坂)にて。

開幕前から愉しみにしていた
展覧会へ足を運んでまいりました。


展覧会のご紹介をする前にまずは
「イヴ・サンローラン」という
人物のご紹介
を。


1936年
フランス領アルジェリア、
オランに生まれます。


10代の頃よりその才能は注目され
1955年
当時の『ヴォーグ・パリ』編集長の推薦により
クリスチャン・ディオールのアシスタントに。


さらにその翌々年の1957年には
クリスチャン・ディオールの急死を受け
ディオールの後継者に大抜擢されました。

21歳で世界最年少のクチュリエ
(パリのオートクチュールの主任デザイナー)
となったのです。


ところが
1960年アルジェリア独立戦争に
徴兵された中で
精神に不調をきたすこととなります。


それでも1962年には
オートクチュールの世界に復帰。

自身のブランド
「イヴ・サンローラン」を発表します。

2002年の引退まで
ファッションシーンを牽引し
「サファリ・ルック」
「パンツ・スーツ」
「ピーコート」
「トレンチコート」
などを

女性たちのファッションに
定着させました。


展覧会の前後で
映画『イヴ・サンローラン』をみられると
より面白く鑑賞できるかもしれません。

2014年に公開された
フランスの伝記ドラマです。

【Amazon Prime】イヴ・サンローラン(字幕版)
https://www.amazon.co.jp/イヴ・サンローラン-字幕版-ピエール・ニネ/dp/B00U5KPIPC


さて、
略歴を振り返っただけでも
その天才ぶりを伺える
「イヴ・サンローラン」ですが

こちらの展覧会を巡る中で
浮かんだキーワードが意外にも
「敬」でした。


その理由をお話ししてまいります。



・女性に対する「敬意」

女性解放運動が興隆した
1960年代後半。

イヴ・サンローランが
デザインしたのが

タキシード、ジャンプスーツ、
サファリ・ルック、トレンチコート
でした。

紳士服の美しさ、快適さ、
実用的な側面をのこしつつ

シンプルさと優雅さを組み合わせ
女性のシルエットを生み出したのです。


女性を自由にかつ
美しくしたい想いが
コレクションには詰まっているようでした。

「衣服はそれを着る女性を必要とする」
という言葉ものこしているほどです。


・自然への「畏敬」の念

驚かされたのが
「ジュエリー」。

真珠や宝石は
自然に近い形で
ごろっと使われていたり

表現されている
蝶や鳥なども
どちらかというと野生的なのです。

自然の持つ
ありのままの美しさが
イヴ・サンローランのジュエリーには
宿っているようでした。


・職人への「敬意」

細部にあらわれる
美の探求心。

イヴ・サンローランの作品には
織工、染色、捺染、刺繍、金細工、銀細工など、
多くの熟練した職人たちの技がひそんでおります。

描きたい世界を
濃密な対話をもって
共有したことが伺えるようでした。


・アーティストへの「尊敬」の心

ピカソ、マティス、ブラック、
ファン・ゴッホ、ボナール。

イヴニング・ガウン― パブロ・ピカソへのオマージュ
1 9 7 9 年 秋 冬 オ ートクチュー ルコレクション
ドレス― パブロ・ピカソへのオマージュ
1 9 7 9 年 秋 冬 オ ートクチュー ルコレクション
ドレス― アンリ・マティスに基づく
1 9 8 1 年 秋 冬 オ ートクチュー ルコレクション

世界的な画家たちへの
尊敬の心の表れた作品も多数
展示されております。

ドレス― ピエール・ボナールへのオマージュ
2 0 0 1 年 春 夏 オ ートクチュー ルコレクション
イヴニング・アンサンブル
― ジョルジュ・ブラックへのオマージュ
1 9 8 8 年 春 夏 オ ートクチュー ルコレクション

「私の目標は巨匠たちと自分を
比較することではなく、
最大限彼らに近づき、
その才能から学ぶことでした。」

このようなことも
イヴ・サンローランは
語っています。

《アイリス》イヴニング・アンサンブルのジャケット
― フィンセント・ファン・ゴッホへのオマージュ
1 9 8 8 年 春 夏 オ ートクチュー ルコレクション
イヴニング・アンサンブルのジャケット
― ピエール・ボナールへのオマージュ
1 9 8 8 年 秋 冬 オ ートクチュー ルコレクション


「モードの帝王」と呼ばれ
人々から崇拝され、
時に畏れられていたであろう
イヴ・サンローラン。

それでも、その制作の根源には
とくに女性への「敬意」があることを
今回の展覧会では知ることができました。


とても素晴らしい
機会に感謝したいです。

ミュージアムショップにて求めました「トートバッグ(小)」です。


また、今回の作品の所蔵元
パリ、マルソー大通り5番地に位置する
「イヴ・サンローラン美術館パリ」も
訪れてみたくなりました。


写真・文=Mana (まな)


『イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル

Yves Saint Laurent, Across the style』

会場:国立新美術館 企画展示室1E
 東京都港区六本木7-22-2
会期:2023年9月20日(水)~12月11日(月)
開館時間:10:00~18:00
 ✴︎毎週金・土曜日は20:00まで
 
 ✴︎入場は閉館の30分前まで
休館日:毎週火曜日
https://ysl2023.jp



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