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《ポッキー、畳.》

 11月11日。「ポッキー・プリッツの日」と世間で言われるようになったのは、わたしの学生時代からだろうか。

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 でも、今年からは「畳の日」と個人的には呼びたい。「1」がたくさん並ぶ「畳」のそれと。

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 今月、茶道教室に入会した。その初日のお稽古が今日、11月11日だった。朝九時。掃除からお稽古は始まる。先輩にお伺いすると、このお稽古場では、雑巾やクイックルワイパーで畳を拭くことになっているそう。「畳の目に沿って拭いてね。」と言われたので、新米のわたしは一生懸命に「1」をなぞるようにクイックルワイパーを走らせていた。すると、後ろから先ほどの先輩に「畳の目よ。」と言われる。

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 「触ってごらん。」と付け加えられたので、指を滑らせると、先ほどわたしが拭いていた方向はざらざらする。一方で、すべての「1」を横断するように撫でるとつるつるする。さらに「1」を間近でみると、たくさんの細かな「1」で構成されていることにも気づかされる。「あー、この方向か!」とわたしの顔はたちまち真っ赤に。すいませんと言いながら、拭き直した。ざらざらさせながら拭いていると、畳を痛めることになってしまうなと反省するとともに、この頃は祖母の家で畳にお布団を敷いて毎晩のように寝ていたのに、畳のことをまったく気に留めていなかった自分の視野の狭さを痛感し、少々落ち込む。

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 それでも長く落ち込むことの苦手なわたしは、先輩方のお稽古を食い入るように見始める。ふとできた隙間時間に、先生が座る場所を教えてくださった。縁から数え16目のところ、とのこと。「1、2、3…」と畳の目を数える。本日二度目でありながら、人生で初めて畳とまじまじと向き合った。手の幅で覚えるといいことも教えていただき、手を広げてみると、親指から中指までがちょうど13目だった。それにプラス3と覚えれば良さそうだ。

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 「お茶」に関する学びに驚かされる初日かと思ったら、もっとずっと手前の「畳」のことを知ることとなった。それは、いかに日常を荒い目でざっくりと捉えているかを教えてくれるとともに、好奇心旺盛のわたしの心をくすぐった。

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