京都の休日 #34 〜長楽館:和と洋とけあう高貴な館でお泊まりを〜
円山公園に寄り添い佇む
「長楽館(ちょうらくかん)」。
デザートカフェとして
知られるこちらの洋館は
アフタヌーンティーの舞台に
あまりにふさわしい麗しさをしていて。
今回、幸運にもこの館に
宿泊することができましたので
お部屋、ディナー、お朝食、
宿泊者のみ立ち入ることを許されたエリアを
ご案内してまいりたいと思います。
(ディナーとお朝食つきのプランで
お部屋を予約しております。)
これに先がけ
長楽館の「歴史」のご紹介を。
建設したのは、
煙草王・村井吉兵衛(むらいきちべえ)氏。
明治42年のことです。
当時は、村井氏の別宅でした。
京の「迎賓館」として
国内外の要人を受け入れています。
伊藤博文氏、大隈重信氏や山縣有朋氏、
エドワード8世、ロックフェラー氏など
来賓リストに名を連ねたのは
錚々(そうそう)たる顔ぶれで。
時を経て、
2008年にレストランも併設する
現在のホテルの形となります。
それでは、お部屋のご紹介を。
木のぬくもり感じる
落ち着いた室内。
中心には暖炉があります。
冬から春にかけては
薪を焚べてくださるのです。
まだ寒さのこる春の日に訪れましたので
その温かさが身に染みました。
アメニティも京都らしさに溢れています。
お部屋を出ると
宿泊者用のラウンジが。
こちらの優雅な空間では
お飲み物を好きなだけいただけます。
円山公園を一望できるこちらの
ライブラリースペースも素敵でした。
そして、夜。
本館一階の
FRENCH LE CHENE (フレンチ ル シェーヌ)へ
向かいます。
ヨーロッパの貴族の館に
招かれたかのような優雅さあふれる空間。
をバーでいただいてから
こちらに移動します。
ディナーの協奏曲は
ここから盛り上がってまいりました。
バターの風味がたまらない一品です。
貝の中に広がるお花畑。
貝のお出汁の効いた
繊細で美しい前菜でした。
クリーミーな雲子が
サクサクのパン粉と
バターに包まれております。
身はふわっとしていて
鱗(うろこ)はパリッサクッとしていて。
ジューシーなお肉でした。
チーズが桜の葉を纏っております。
一品目のデザート。
メインのデザート。
温かなチョコレートと
ひんやりしたアイスクリームが
口の中でとろけてゆきます。
おなかが満たされておりましたので
こちらの焼き菓子は
お部屋でいただくことに。
このようにお食事
一皿一皿が華やかで。
ベーゼンドルファーの
ピアノの音色とともに
お食事を愉しめる贅沢も
味わえたのです。
そして、目覚めてからは
昨夜のディナーの続きのような
リッチなお朝食が待っておりました。
さわやかで麗しい
「接遇(せつぐう)の間」でいただきます。
野菜のジュースを選びました。
マッシュルームの
濃厚なお味を愉しめます。
LE CHENE(ル シェーヌ)の
橋本和樹シェフの地元・近江と、
京都のお野菜がとっても美味しくて。
ふわっもちっとした片面焼きのトースト。
薔薇の形をくずすのがもったいない
バターをたっぷりつけていただきました。
オムレツを選びました。
シンプルゆえ、卵の美味しさを
まっすぐに感じられます。
自家製のソーセージもいいお味で。
お上品にカットされた
朝には果物が嬉しくて。
食後にはこちらも。
さわやかで美味しい
お料理も
お部屋の雰囲気も
丁寧なおもてなしも
感動しきりの
お朝食でした。
最後に、宿泊した際や
特別な時にだけ公開されるという
お茶室と広間へ。
まずは、
お茶室「長楽庵」。
目の前には、
景色を美しく切り取る窓が。
その左右には、
こちらのお茶室をいっそう
特別なものにしている
ステンドグラスが輝いております。
桜と紅葉、
どちらも美しいですよね。
なごり惜しい気持ちで
お茶室をあとにし、
レッドカーペットと
和の設えが調和した階段を上ります。
そこに広がるのが
「御成(おなり)の間」。
要人の方々をおもてなし
してきたという和室です。
日本建築のなかでも
最も格式のある
「書院造(しょいんづくり)」のこちら。
壁面の模様は、
今見てもモダンに感じられます。
千鳥が床の間に舞う
粋なデザインも印象的で。
また、窓からは
円山公園のしだれ桜が
額縁におさまる絵画のように
望めるのです。
調度品も
美術館や博物館に
飾られていそうなものばかり。
見上げれば
バカラ社製のシャンデリアが
輝いております。
煌びやかではないのに
驚くほどの贅が尽くされていて。
そして、こちらの広間も
なごり惜しい気持ちであとに。
アフタヌーンティーなどに
使われるお部屋の並ぶ
フロアへ戻ってまいります。
お朝食を愉しんだ
「接遇の間」も
以前ティータイムを過ごさせていただいた
「美術の間」も
アフタヌーンティーをいつか堪能したい
「迎賓の間」も
どのお部屋もとても素敵で。
長楽館。
これほどまでに
和と洋の美しく溶けあう
場所はないのではと感じる
高貴な館でした。
宿泊のおもてなしも、
一人の方がお出迎えからお見送りまで
対応してくださる温かなもので。
また羽を休めたいお宿です。
写真・文=Mana(まな)
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