ホックニ-展行った

2023.9.22

昨日はホックニー展を見に行った。作品タイトルなどはうろ覚え。

版画っていいな。リトグラフってどういう技法かあんまり知らないけど、アクリル絵の具でのぺっと塗ったような面とか、鉛筆でさっと描いた線とか、色んな表現ができるんだって感動した。私もやってみたい。来年お金はらって大学の技法講座取ろうかしら。
色んな技法を使っているのが面白い。
昔のホックニ-は、ピカソのパピエコレに影響を受けて、ひとつの絵画に色んな様式を入れ込むのがマイブームだったらしい。たとえば、《一度目の結婚》では、写実的に描かれた男性の顔と、古代エジプトの壁画のようなタッチで描かれた女性の顔が同居していたり。これにとんでもない魅力を感じた。なんか、なんともいえないけど、私にはこんな絵描けないなーっていう、いや、技術の話じゃなくて、私が絵を描くときの選択肢というか、自分のなかの引き出しにはこんな表現技法はなかった。可能性、広がっちゃって困る。はじめて美術予備校の説明会行ったとき、そこの卒業生の作品見て「こんな絵描いちゃっていいの!?」って思ったけど、その時に似た衝撃だった。
キャプションにあった、「私が色んな表現技法を試すのは、同じ題材であっても違う絵が描けるからだ」という言葉に頭をガーンと打たれたような気持ちになった。そうだよな。めんどくさいとかお金ないとか上手くできるかわからないとか、そういうので自分の表現の可能性を狭めちゃだめですよね、うんうん。だってあの人2010年の時点でそれなりにおじいちゃんなのにipad買ってそれで絵描いちゃうんだもん。技術は無論遠く及ばなくとも、まだ21の私が好奇心で負けてちゃだめだと思った。色んな画材買って材料研究しなきゃだめだ。はあ、パトロンほしい。
ウェザーシリーズと、スプリンクラーの絵がとてもよかったな。全部よかったけども。イラスト化がほどよい。ポスターのイラスト的な感じなんだけど、イラストに見えない。構図が神がかっているからだろうか。
肖像画シリーズは、絵の具はフラットで色合いは無機質な感じなんだけど温かみがあってよかった。作家本人とモデルとの関係性が感じられた。
リトグラフの肖像画は最初デッサンかと思ったので、リトグラフとわかってびっくりした。すごい。
あと、キャンバスに木炭とクレヨンで描いた絵があったりして、衝撃だった。絶対描きにくいし、書き損じたら消せないのに。この辺のゾーンは「絵ぇうめぇ~~!!」っていう馬鹿みたいな感想を抱きながらずっと見てた。
タイトル忘れたけど、フォトペインティングの、ホックニ-が自分の絵に囲まれてアトリエに立ってるやつよかったな。絵を写真に撮って展示するって、じゃあ実物でよくない?となってしまうが、あれは図像を歪めたり引き延ばしたりして、新たな価値を作り出してる感じがした。写真以上のこと、絵以上のこと、ただ自分がみているもの、そのものを表現しようとしたんだろうか。私にはまだ、自分の実感としては呑み込めない。
キャンバスいっぱいつなげたでけえ絵もよかった。でけえ絵描いた理由が、「壁いっぱいにしないと他の人の絵も同じ壁にかけられてしまうから」なのもよかった。あんなおじいちゃんの巨匠でも、展示の要望が通らないことがあるのか。親近感。
この作品の《ポスト写真時代の~》という副題もよかったな。外にキャンバス持ってって描くっていう印象派みたいなことしつつ、それをパソコンで組み立てて完成図を予想する。確かに、ポスト写真時代だ。
小さめのキャンバスを少しずつ繋げているからかわからないけど、動いて見えるというか、AI絵画のモーフィングの途中にも見えた。
「12か月のなんとか」もよかった。よかったしか言ってない。思ったより長くてびっくりしたし、月を経るごとにどんどん描き込み激しくなっててなんか笑いそうになった。もともと当たり前に上手い人なのに1人の画家の絵が上達する過程を見せられているみたいだった。どこまで演出なのか、それとも素でやってんのか気になるな~。
馬鹿みたいな感想だが、油絵でも版画でもipadでも、全部上手いからすごい。
画材が違くてもちゃんとホックニ-だなというか。
デッサンというのは実際に描く力とものを観察する力と両方必要だけれども、画材や描くときのタッチが違くても、ちゃんとものを観察する力がある人が描いているから、やっぱ中身はホックニ-だなーと。自分の描く力を信じてるから、色んな技法に挑戦できるんだろうな。
いい展示だった。キャプションもやな感じがなくてよかった。
あと、3Fの展示室見終わってちょうど冷房で体が冷えたタイミングで、「ご自由にお使いください」という文言とともに小さいブランケットが置いてあり、「神!!!!!」と思った。
ほんとに東京都現代美術館はいい美術館だ。今まであんまり行ったことなかったけど、もっと行こ。遠いけど。

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