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その大変さ、言わないと全く伝わりませんよ

企業に所属して編集者をしていると、社内には様々な協働相手がいます。
手がけているのが広告記事の場合、特にキャッチボールの相手になりやすいのは営業部門。今回はそんな営業部門のエースに言われた「ある一言」をご紹介します。

「どんだけ無茶ぶりしてくんねん」同僚にキレた結果


あれは事業会社へと転職し、3年目が過ぎた頃。当時の僕は、求人サイトの記事を数多く手がけていました。その中でも、特に負荷が大きかったのは、営業が持ってくる「求人広告記事」の案件。

記事がダイレクトに売り上げに貢献するとあって、成果が見えづらいとされる僕の編集チームにおいても、優先度の高い案件となっていました…が、いつ受注が発生するかは編集側からはなかなかわかりませんし、受注案件以外の仕事も結構いろいろあったりするので、突発的に来週取材が入ったりすると一気にその月のスケジュールが乱れてしまうことも。

外注しようにも、「お客さんのいる案件だから質は落としたくない」「スケジュールのハンドリングがしやすい状態は維持してほしい」などとオーダーされ続け、結局内部の人員が対応せざるを得ず、かなりの強行スケジュールを強制されることがままありました(もしかしたらこういう状況も、あるあるなのかもしれないですね…)。

僕自身は編集部門の責任者という立場でしたが、メンバーの工数がひっ迫している場合や、スケジュールがタイトで短納期に応じきれる人がいない場合は、僕自身が稼働して求人広告記事を作ることも多々ありました。

「営業が持ってきたボールは全てさばく」というのが当時の僕のポリシー。

あまりつらそうな顔を見せず、淡々と要求水準を満たすコンテンツをつくり続けることこそが自分のプロフェッショナリズムだと思っていたので、多少の無茶を言われても何とかこなしてしまっていました。

でも。

やりすぎたのでしょうか。

ある日、営業部門が大量の広告受注を強硬スケジュールで入れてきたことがありました。「さすがにこれは」。そう思い、苦言を呈したときに言われたのが、こちらです。

そんなに大変だったなんて。
そのつらさ、全然伝わってないですよ。

は?本気で言ってる?美徳があだに

ある意味当然なのですが、個人的には「びっくり」しました。

こんなに頑張っているのにその努力が伝わっていなかったのか。え、本気で言ってる?と。

何も言わずに頑張ることこそ美徳だと思ってやってきたけれど、それが伝わらずどんどん自分たちを苦しめている構図になっていたことに、その時ようやく気づいたのです。


大量の強硬スケジュール案件を受注してきた営業担当は、部内のエース。周囲に配慮もできる優秀な人材だったのですが、それでもこんなに、こちらの動きが伝わっていなかったのかと非常に新鮮な気持ちになりました。

歯を食いしばっているだけでは、周りには伝わらない


ライター業をしている人の中にも、「歯を食いしばって頑張っているけど、それがあまりクライアント側に理解されていない」と感じる場面に心当たりがある方、いるのではないでしょうか。

僕もクライアント側に立っているとき、ライター側がどれほどの労力をかけているかわからず、無茶を言っている場面があるかもしれないと、この原稿を書きながら思いを持ったりもしているほどです。

編集者の立場として考えると、そういう場合は、今回はここにかなり時間がかかってしまいましたとフランクにでも教えていただけるといいかなと思います。そうすることで次回以降の指示内容や、納期の工夫をするとか、善後策につながるかもしれません。
もちろん別途料金は発生すべき箇所だとすれば、その点も伝えていただいた方がクライアント側的に助かる場面もあるのかも(他のライターさんもみんなそれに応じているという前提があると難しかったりはするのですが…)。

いずれにせよ、自分のやっている業務の負荷は良くも悪くも相手には伝わらないものです。ボールが自分に来てくると、つい抱え込んでしまいがちですが、そのボールの重さを周囲の人と共有しうまくチームワークができるようになるといいですね。

逆に他の人が持っているボールは重すぎはしないか、あるいは自分が変なキラーパスを出していないかなどには気を配りたいものです。

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