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カンフーMVって勝手に命名。ケミカルブラザーズとデヴィッドゲッタ&シーアの一騎打ち!(オススメMV #39)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の39回目です。(連載のマガジンはこちら)

今回は「勝手に命名シリーズ」の第3弾、「カンフーMV」の特集です。
カンフーMVとはその名の通り、カンフー映画のようなMVのことです。
今回はその「カンフーMV」の中でも、楽曲も良くもちろんMVとしても素晴らしい2つのMVを紹介します。

タイトルにある通り、ひとつはケミカル・ブラザーズ、そしてもうひとつはデヴィッド・ゲッタとシーアが組んだ作品です。
両方とも私のお気に入りのアーティストで楽曲も最高ですが、MVとしてどちらに軍配があがるのか?
では、さっそくMVを観ていきましょう。

最初のカンフーMVはこちら。
ケミカル・ブラザーズの「Get Yourself High」です。どうぞ!

「なんじゃこりゃ」と言いたくなるような、メチャクチャ楽しいMVです。
ここまで本当の映画のようでありながら、MVとしてきっちり成立させているのは様々な工夫があるからです。

この辺の詳しい解説は後ほどさせてもらいます。

ケミカル・ブラザーズは以前にオシャレMVの回で「Swoon」のMVを紹介したので2回目の登場です。
その回にも書きましたが、ケミカル・ブラザーズは奇抜と言うか多種多様なMVをリリースしており、その度に「おっ、そうくるか!」といい意味の驚きを提供してくれています。
この「Get Yourself High」のMVを最初に観た時も、「おぉーっ!」と思わず心の中でうなり声をあげてしまいました。

ではMVの解説にいきましょう。
まず映像ですが、映画っぽいですよね。
それもそのはずで、「少林拳対武当拳」という1980年に制作された映画の映像をそのまま使っています。
しかしなぜ映画の映像をそのまま流用しているのに、きっちりMVとして成立しているのか?

もちろん楽曲にあわせてカット割りをしているから、と言うのもありますが、それはいわば当たり前の手法です。
ここでは2つの特徴的かつ面白い取り組みが、効果を発揮しています。

まず1つ目は、登場人物の口の動きと楽曲の歌と完全にシンクロしているため、映画を背景としてではなくMVの中の登場人物として活かすことに成功しています。
そして2つ目は、登場人物の首からラジカセをぶら下げたりレコード盤を投げあったりするなど、音楽をダイレクトに連想させるギミック(仕掛け)を使い、音楽を中心とする世界観を作り出しています。
この2つの取り組みにより、映画の映像を使いながらも、完全なるMVとして成立させています。

このMVはジョセフ・カーン(Joseph Kahn)という韓国系アメリカ人が監督を務めていますが、このジョセフ・カーンさんは生粋のMV監督で、MVを制作するために高校を中退したほどのつわものです。
このオススメMVの連載では、「ギリギリセーフとギリギリアウトの違いとは?」の回で大絶賛したテイラー・スウィフトの「Bad Blood」のMVがこのジョセフ・カーンさんの作品です。
やっぱりいい作品はイケてる監督が作っていますね。

ちなみに、このMVは永らくネットでは公開されておらず、以前にMV番組で録画したものをブルーレイディスクで大事に保管し、たまーに取り出して見ていたのですが、それがYouTubeで公開されてしまいました。
簡単に観ることができるようになったのでうれしい反面、宝物をばらまかれたようなチョット残念な気持ちもあります。(セコイ話ですが...)

さて、ケミカル・ブラザーズの素晴らしいカンフーMVに対抗するのは、こちらのMVです。

デヴィッド・ゲッタ&シーアの「Flames」です。

このMVも面白いですね。
カンフーだけでなく忍者が出てきたり、宮本武蔵ばりにお箸でハエをつかもうとしたり(でも、箸を投げて刺すのですが...)、挙句の果てはゲッタ本人が悪役の親玉で出てきて手からを火を噴いたりと、何でもありの面白MVとして仕上がっています。

デヴィット・ゲッタ(David Guetta)はフランスのDJですが、世界的にも超売れっ子の一流DJとして名を馳せています。
多くのアーティストとコラボしており、今回のシーアもそのひとりですが、シーアとのコラボが気に入っているのか何作も組んでいます。

シーアについては、このオススメMVの連載ではなく「レコードジャケットの楽しみ」の連載では2度登場しています。
1度目は「シーアにディプロにラビリンスって、そりゃいいに決まってるだろ!」の回、2度目は「シーアを聴くだけで、しーあわせ!」の回です。
シーアについてはどちらの回でも紹介しているので、ご興味ある方はリンクをクリックして観てみてください。

さて、MVの話に入りましょう。
最初に紹介したケミカル・ブラザーズのMVとは違い、こちらは完全にオリジナルで制作されています。
本当のカンフー映画張りに良く出来ているMVですが、上にも書きましたが何でもアリの面白MVとして仕上がっています。
楽しいことは楽しいのですが、不思議と違和感があります。
なぜか考えたのですが、楽曲とシーアの歌声の雰囲気と、MVの映像の世界観がマッチしていないのではないか、と思っています。

しいて言えば...というぐらいで、MVとしては良く出来ているので、明確な理由はいまだにわかっていません。(何度もMVを繰り返し見て考察しているのですが...)

では、2つのカンフーMVの一騎打ちの結果はどうか?
どちらも優れたMVであることは確実ですが、本物のカンフー映画を使いながらも完全なるMVとして仕上げ、かつ楽曲とのマッチングも最高なケミカル・ブラザーズの「Get Yourself High」が僅差で勝利です。
もちろん、私の独断と偏見ですので、ご容赦ください。
(私の大好きなシーアを落とすのは断腸の思いですが、ゲッタさんの押し出しが強すぎた...というのも実は理由のひとつです)

今回の「カンフーMV」はいかがでしたでしょうか?
「勝手に命名シリーズ」と勝手にシリーズ化していますが、私自身結構気に入っているので、また何か勝手に命名して取り上げてみたいと思います。

ではまた次回に。

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