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フレンチポップの女王、ミレーヌ・ファルメールのライブは何でこんなにスゴイんだ!(オススメMV #119)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の119回目です。(連載のマガジンはこちら)

今回はフレンチポップの女王こと、ミレーヌ・ファルメールのライブ動画をお届けします。
本連載のタイトルは「オススメMV(MusicVideo)」なのですが、今回はライブ動画だけを紹介するというルールを無視した回となります。
なぜルールを破ってまでライブ動画を紹介するのか。
それは今回紹介するミレーヌ・ファルメールのライブ動画がすごすぎるからなのです!

まずは、今ツアー中のライブの紹介動画をご覧ください。
1分ほどのショートムービーですが、メチャクチャいいんです。
ミレーヌ・ファルメールの「Désenchantée」です。どうぞ!

凝った舞台やヘンな被り物のダンサーによる独自の世界観が印象的ですが、キュートでエレガンスでかつ妖艶さも兼ね備えているミレーヌの魅力を引き立たせている素晴らしいライブ動画です。

実は、今回の特集のきっかけがこのライブのショートムービーとなります。
以前よりミレーヌ・ファルメールのライブ動画はお気に入りで、いくつもの動画を繰り返し見ていたのですが、もちろんMVではないのでこの連載での紹介はあきらめていました。
しかし、このライブショートムービーを見て、「MVじゃないが、イイものはイイので、紹介してしまおう!」と決意し、今回の特集となりました。

ミレーヌ・ファルメール(Mylène Farmer)はフランスのアーティストで、1984年デビューのため来年にはデビュー40周年にもなる大ベテランですが、その美貌は年々磨きがかかり、若返っているとすら思えるほどです。
今まで12枚のアルバムをリリースしており、上のショートムービーの楽曲は「Désenchantée」というミレーヌの人気曲で、1981年リリースの3rdアルバム「L'Autre...」に収録されています。

フランスのアーティストというと、私の場合、まずはジャン・ミッシェル・ジャール(Jean-Michel Jarre)ですが、ジャスティス(Justis)やエール(Air)もお気に入りです。
本連載でもジャスティスやエールは紹介していますし、別の連載ではジャンも紹介しているので、ご興味あるかたはそちらもご覧ください。
 ジャン:フランスの鬼才、ジャン・ミッシェル・ジャールとは?
 ジャスティス:スゴイ!歴史に残る傑作MV
 エール:不思議なアニメーションMVのお祭りだ!

しかし、フランスの女性シンガーというと、まず頭に浮かぶのがシルヴィ・ヴァルタン(Sylvie Vartan)です。
実は大昔、私が小学生のころに自宅のレコード棚にシルヴィのアルバムがあり、レコードを繰り返し聴く中で、その歌声とレコードジャケットの女性の写真に幼いながらも虜になっていった...という記憶があります。
のちにプログレッシブロックにハマるのですが、それより遥か以前にフレンチポップ(というかシルヴィ)にハマっていたというのは、今更ながらに自分でもヘンな子供だったなと思っています。
そして後年、実家にあったシルヴィのアルバムを再発見したことによりフレンチポップ(フレンチポップスとも言うようですが)に興味を持ち、歴史を調べながら再度シルヴィを聴き始めることになります。
ちなみに、そのアルバムは縦長のちょっとヘンテコなアルバムで、結構しっかりとした作りのジャケットなのですが、裏に壁に掛けれるような穴が開いており、飾ることを前提として製作されたようです。
今ももちろん手元にあるので、どんなアルバムかご覧いただきましょう。

中身はLP2枚組で、インナージャケットにもシルヴィの写真が印刷されていますが、ジャケットの写真と同じなのがチョット残念です。
しかし、別にブックレットもついていて、そちらには違うシルヴィの写真が複数掲載されているので、まあヨシとしましょう。

再度シルヴィにハマった私は、シルヴィからフランス・ギャル(France Gall)に、そしてフランソワーズ・アルディ(Françoise Hardy)に興味が移り、最後はまたシルヴィに戻ってきたところで一旦フレンチポップへの興味は休眠モードに入ってゆきました。

しかし、ある時、YouTubeの音楽動画を流し観していた時に「この楽曲なんだろ。フランス語みたいだけど...」と興味がわき、調べたところミレーヌ・ファルメールというアーティストということが分かり、楽曲や動画を視聴しだした...というのがミレーヌとの出会いとなります。
その後の経緯を説明する前に、まずはお気に入りの楽曲のライブ動画をご覧ください。

最初のお気に入りの楽曲のライブ動画はコチラ。
ミレーヌ・ファルメールの「Sans contrefaçon」です。

美貌ももちろんですが、ミレーヌのキュートさが際立つライブ動画です。
ミレーヌも他の出演者も楽しみながら観客を楽しませ、その楽しむ観客を見て出演者側も更に楽しくなるという相乗効果が、動画を視聴しているこちら側まで伝わる素晴らしいライブ動画です。

この「Sans contrefaçon」は、1988年の2ndアルバム「Ainsi soit je...」からのリードシングルとしてリリースされました。
私のお気に入りの楽曲の中のひとつで、他のほとんどの楽曲同様にミレーヌが作詞をしています。
歌詞の中身は、女の子が自分は男の子だと言い張るような内容で、なんのこっちゃ...という感じなのですが、フランス語の歌詞で聴いた時の語感はピカイチで、ミレーヌの感性の高さが見て取れます。
ミレーヌの楽曲の魅力は、もちろんミレーヌの歌声にもあるのですが、何よりその歌詞のフランス語での語感の良さが際立っており、意味が分からずとも引き込まれてしまいます。
ちなみに、この「Sans contrefaçon」は、上で少し話に出たシルヴィ・ヴァルタンの「Comme un garçon(男の子のように)」から触発されたとのことなので、不思議なつながりを感じます。

また、作曲はローラン・ブトナ(Laurent Boutonnat)という方がされているのですが、ミレーヌのアーティストとしての活動はこの方との出会いがきっかけになっており、2010年頃まではミレーヌの楽曲のほとんどの作曲やプロデュースをされていました。
しかし、2010年代に入って間もなくミレーヌ自身が作曲も手掛けはじめ、かつ他の方にプロデュースを依頼するなど、ローラン・ブトナから巣立ったような感じがします。

この「Sans contrefaçon」のライブ動画は、なんといっても男性パフォーマーのスカートっぽい衣装のインパクトと、そのパフォーマーのとびっきりの笑顔が際立ち、皆さん「ミレーヌと一緒にパフォーマンスできてうれしくて楽しくて仕方がない!」という雰囲気満載の映像になっています。
舞台の演出も凝っていて、かつそれらの舞台や演出だけが浮いておらず、演者と観客との一体感がハンパないですね。
ミレーヌのライブの素晴らしさがうまく表現されているライブ動画となっています。

続いて紹介するお気に入りの楽曲のライブ動画はこちらです。
ミレーヌ・ファルメールの「Pourvu qu'elles soient douces」。

キュートでエレガンスで、かつ妖艶さもあり、その上に素晴らしい歌声を持っている、まさしくフレンチポップの女王そのものです。
これほどライブ映えする女性アーティストはなかなかいませんね。

この「Pourvu qu'elles soient douces」も2ndアルバム「Ainsi soit je...」からシングルカットされた楽曲です。
曲名の意味は「甘ければいい」あるいは「柔らかければいい」という感じなのですが、もちろんこの楽曲もミレーヌが作詞しており、その詩が結構きわどいというかお下劣そのものの内容なのです。
ミレーヌの書く歌詞は、壮大なテーマから性に対する直接的な表現まで幅広く、その時の自分の考えや感性を正直に表現しているのではないかと思っています。

なお、上で紹介した2つの楽曲が収録されている2ndアルバム「Ainsi soit je...」が、ミレーヌのアルバムの中で私が一番お気に入りです。
全体のバランスが良いことはもちろんですが、「Sans contrefaçon」と「Pourvu qu'elles soient douces」の2つの神曲が収録されていることも大きな理由です。

今回はライブ動画のみの紹介となりますが、ミレーヌの楽曲にMVがないかというとそうではなく、逆にミレーヌの楽曲のMVは有名というか大作とでも言う作品ばかりで、有名作のほとんどは上で紹介したローラン・ブトナが監督を務めています。
ローラン・ブトナは一般の映画の監督もされているのですが、MVも映画ばりに凝った作品が多く、かつ時間も10分越えは当たり前です。
評価も高いのですが、私としては全く良さが感じられず、今回改めてひと通り視聴してみたのですが、やはりダメでした...
もちろん、作品として悪いというのではなく、私の「MVは楽曲のためにある」という概念というか定義から大きくかけ離れており、全く楽しむことができなかったというのが実際のところです。
ミレーヌのファンであり、ミレーヌの楽曲も大好きなのですが、MVだけは楽しむことができず残念ですが仕方ないですね...

しかし、ミレーヌの存在を知りお気に入りの楽曲が増える中で、YouTubeにアップされている様々なライブ動画を見ると、ミレーヌのライブがメチャクチャ素晴らしいことに気付き、MVは全く見ないのですがライブ動画は見まくっているという状況です。
特に今回紹介した2つのライブ動画(Sans contrefaçonとPourvu qu'elles soient douces)は、2020年リリースの3枚組のベストアルバムの発売記念としてミレーヌのオフィシャルチャンネルで公開されたライブ動画のため、ここで皆さんにきちんと紹介することができるので、ありがたい限りです。
なお、オフィシャル動画ではないミレーヌのライブ動画もYouTubeで多数アップされており、その中にはクオリティの高い動画もたくさんあるので、ご興味のある方はぜひ検索して観てみてください。

しかし、ミレーヌのライブは本当にスゴイ!
舞台セットもパフォーマーも演出も、そのすべてが究極と言っても過言ではない程で、もちろんミレーヌ自身のパフォーマンスと歌声をリアルに体験できるというのが最大のメリットとなります。

ちょうど今、過去最大級のライブツアーの真っ最中ですが、今回無理矢理にでも現地に赴きツアーに参加しなかったのを正直悔やんでいます。
ミレーヌのライブは本国フランスをメインにEUの数か国でしか開催せず、しかも5~6年に1度というスパンなので、今回を逃すとヘタすると次回は2030年頃になりそうな予感です。
まあ、今悔やんでも仕方ないので、次回はきっちり計画を立てて準備し、ツアー全部に同行するぐらいの勢いで参加できればと考えています。
そのためにも、体調管理と資金計画はしっかりしようと心に固く誓っている今日この頃です。

今回のミレーヌ・ファルメールの特集はいかがでしたでしょうか。
(思わずテンションが上がり、メチャクチャ長くなってしまいました)
日本での知名度は低いアーティストですが、楽曲もアーティスト本人も素晴らしいので、ぜひ一度楽曲を聴いてみて、ライブ動画を視聴してみてください。

ではまた次回に。

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