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医師が考えるコンタクトトレーシングの可能性

みなさま初めまして。「まもりあいJapan」のプロダクト企画を担当している医師の黒川真理子です。

まもりあいJapanの開発経緯に関しては、5月11日の記事をご参照ください。

新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて

3月中旬。他国で急増する新型コロナウイルス感染症がニュースで連日のように取り上げられていました。

新しい感染症だからこそ、目紛しいスピードで様々な情報がアップデートされ、Fact or Fake?に悩む日々を過ごしていました。今でも、溢れた情報の取捨選択をしながら、正しいデータを集めることの難しさを学び続けています。様々な分野の専門家も、同じような心境にあるのではないかと思います。

そんな中、東京都の感染対策サイトのデータをオープンにする取り組みをしている、Code for Japanさんという団体に出会いました。

引用:東京都コロナウイルス感染症 対策サイト

目に見えない感染症だからこそ、正しい情報をオープンに提示するよう努めること、間違えがあってもオープンに訂正しながら前進することを大事にしたいと思っていたところ、このような素晴らしい取り組みを見て、感銘を受けました。

代表の関さんに、更なるICT活用について、日本でのコンタクトトレーシングアプリの導入について相談させてもったのが始まりでした。今回、着想を得たプライバシー重視型のBlue Trace(シンガポール政府が開発)のWhite Paperが公開される直前の時期でした。

接触通知アプリについて

新型コロナウイルス感染症は、発症する2,3日前から人にうつることが報告されています。発症の前後が特に感染力が強いとされ、「三密」と言われる密集した状況で広がりやすい、とてもやっかいなウイルスです。

日本では部分的に緊急事態宣言が解除され、今後の出口戦略や持続可能な社会生活の送りかたを具体的に考える時期となっています。収束に向けての試みが成功を収めている国々(台湾、ベトナムなど)では、経済活動の自粛やロックダウンから、感染の早期発見、早期隔離へと軸足が移ってきています。

日本において、私たちには何ができるでしょうか。
それは、自分自身の感染の可能性が高い状態を、早めに察知し、適切な行動をとる環境を作ることです。

少しずつ人の動きが戻ってきた世界で、人と人との濃厚接触を介した拡大を得意とするこの感染症と共存するために、Code for Japanと有志のエンジニア、デザイナーたちと一緒にプロダクト企画を考えさせていただき「まもりあいJapan」というスマートフォンのアプリを活用したデジタルコンタクトトレーシング(現在日本では「接触確認アプリ」と言います)を開発しました。

 
このアプリを利用すると、陽性者と濃厚接触者があった場合に、濃厚接触があったことを知らせる通知が来ます。発症してから陽性判定となるまでにしばしば時間がかかるので、過去にさかのぼって濃厚接触があったことが通知されます。濃厚接触者であったと分かれば、適切な感染予防策をとり、感染拡大を防ぐことができます。感染者がとても多くなったときや、人に言い出しにくいとき、過去の行動を忘れてしまったとき、このツールが行動変容をおこし、感染を抑制する手助けになると考えています。

今後の方針について

GoogleとAppleの発表により、1国1つのアプリケーションという指定があり、厚生労働省が開発・運営も含めて接触通知アプリを運営するという方針となりました。昼夜を問わずこの新型コロナウイルス感染症に対応してくださる行政の方々には心より感謝の意を申し上げたいと思います。

まもりあいJapanとしても、新型コロナウイルス感染症に立ち向かう過程の、New Normalの軌跡を記したいと思い、今回の記事を書く運びとなりました。

作り上げていく上で様々な課題(普及率、わかりやすい構造提示、いかにしてプライバシーを守るか、人々の認知度の上げ方、など)があり、プロボノとして全力で取り組んできたメンバーがどういった視点で最適解を選んできたかの思考過程や情報を提供していきたいと考えています。

今後も、こちらのNoteを通じて公開していく予定です。よりよい日本となるよう皆様と協力して、「まもりあいJapan」を実行したいと思います。

より良い未来へ

未曾有の事態を引き起こしている新型コロナウイルス感染症。今後も工夫と知恵が試され続けると思いますが、常に前を向いて対峙したいです。

私たちが作り上げる未来を信じてここまで辿り着いたのは、メンバー全員の熱意があってこそでした。「まもりあいJapan」として集まることができたメンバーは、同じ志と高い問題解決能力を持っており、一緒にこの課題に取り組む上での希望と道筋を、確かに感じさせてくれました。ここに深く感謝の意を申し上げたいです。

ともに考え、ともに作る。

というCode for Japanさんの精神に敬意を払いながら、これからも共に未来を作り上げていきましょう。

都立駒込病院 黒川真理子

※上記の文章は、病院とは無関係であり、まもりあいJapanのメンバーとしてのメッセージです。お問い合わせは、まもりあいJapanお問い合わせフォームからお願いします。

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