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生まれて、誇って、枯れて、落ちても、なお美しい。

 こんにちは。写真家のMiNORU OBARAです。記事をご覧いただきありがとうございます。

 紅葉の季節が到来していますね。

 この季節になると、いつも、生き物の素晴らしさを感じます。

 若葉は僕たちの目を癒し、夏には大きく茂って木陰を作る。

 年老えば黄色や赤に色づいて僕たちの心に安らぎを与える。

 死んで、地面に落ちる時でさえ、ひらひらと舞って美しい。

 そして、最後には幻想的な絨毯を作る。

 やがては、土に還り、また新しい若葉を育む。

 葉っぱの一生を考えると、命には何一つ無駄なんてないんだと思わされますよね。

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 現代の僕たちは、「古くなったもの」や「壊れてしまったもの」を軽視し、すぐに新しいものと取り替えようとしたり、あるいは「壊れてもまた買えばいい」などと考えてしまいがちですが、そもそも日本文化は古来より「はかなさ」を美しく尊いものとして大切にしてきたはずですよね。

 諸行無常、盛者必衰、はかなさ、移ろいやすさ、空であること、心に虚があること。

 秋に、木々を見上げると、そんなことの大切さを思い出させてもらえます。

 そして、それらを尊び、大切にしてきた日本。そんな美しい国に生まれてよかったなぁ、なんて思います。

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 しかしながら、その考え方は、日本だけのものでもありませんよね。

 例えば、お茶を通して日本の心を描いていると言われる、岡倉天心の『 The book of tea(茶の本)』は、そもそもが英語で書かれ、日本語に訳されたものが逆輸入されたといわれる名著。この本はアメリカでバイブル的扱いを受けていたそうです。

 それに、何度も足を運んだインドの火葬場では、死してなおも美しい生き様を教えられました。

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 ネパールで知り合ったネパリヒンディーにも同じ話を聞かされました。

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 命は生まれた瞬間から死に向かっていく。それは逆らいがたい事実であるからこそ、ひとつひとつを噛み締めて生きていたいですね。

 鏡の前で新しいシワを見つけた時、そのシワに笑顔で「生まれてきてくれてありがとう、よろしく!」と言えるような生き方をしたいものだと思いました。

 ひたむきに燃やし続けている命は、どんなときでも、たとえそれが燃え尽きたときでさえも、きっと美しい。

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 さて、とりとめもないお話でしたが、本日は、とある詩を引用して終わりにします。先ほどお話に挙げた岡倉天心が亡くなる前に、心の恋人として慕ったプリヤムヴィダ・デーヴィ夫人に贈ったとされる詩です。


 私が死んだら 鐘を打ち鳴らしてはならない

 のぼりをたててはならない

 寂しげな浜辺の松葉の葉の下にひっそり埋めておくれ

 かの人の詩をわが胸にのせて

 私の挽歌を浜千鳥に歌わせよ

 記念碑を建てなければいけないならば

 水仙を少しばかりと香しい梅樹を植えよ

 はるかな未来の白い霧の夜に

 甘い月光のなかに響くかの人の足音を私は聞くかもしれない


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 本日も文末までお付き合いいただきありがとうございました。

 それでは、また次の記事でお会いしましょう!


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