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『アフターコロナに会いましょう -note版-』 #4 - インド だるまさんがころんだ -

 こんにちは。写真家のMiNORU OBARAです。『アフターコロナに会いましょう - note版 - 』の連載を第4話目です。今回も、文末に有料写真ギャラリーをご用意しましたが、それ以外は無料でお読みいただけます。

 この記事は現在発売中の写真集『アフターコロナに会いましょう -完全版- 』とともにお読みいただくと、さらにお楽しみいただけます。

 今回は、インドでのお話。前回もインドでのエピソードでしたね。その舞台は中央インドの村でしたが、今日お話するのは北インドでの出会いです。

 一口に「インド」と言いますが、インドはとても広いので、地域によって文化も違ったりします。そんなインド、今回は北。

 ここはインドの中でもとても有名な町です。ガンジス川に寄り添うように広がる小さなこの町は、旅人が必ず訪れる場所とまで言われています。

 この町で出会ったある人は、こう言いました。

「ここでは人間の生まれてから死ぬまでの当たり前のことが、すべて目に見えるのよ。」 

 ガンジス川は、ヒンドゥーにとってとても意味のある川です。女神ガンガーとも呼ばれています。

 荒廃しきった世の中に平安を取り戻すため、天上から地上へガンガーを呼び寄せたという逸話も残っています。正確には、ヒンドゥー教の三大神のうちの一人シヴァの体の中(頭のてっぺん)にガンガーを宿らせたのだそうですが。

 その話は別の記事にすることにして、そんな聖なる川ガンジスのほとりで、彼と出会いました。

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 この町でもこれといって予定はなく、ガンジス川沿いをぶらぶらと歩いていると、後ろから僕についてきた彼。

 実はずっと前から彼の存在には気が付いていました。僕が振り返ると恥ずかしそうに目を逸らし、僕が歩き始めるとまた後をついてくる。まるで「だるまさんがころんだ」のように、微妙な距離感を保ちつつ川沿いを進みました。

 しかし、少しずつ距離は縮まり、ついには捕まりました。

 この町のガンジズ沿いには、雁木状の階段がそこかしこに設けられていて、僕はそこに座らされました。

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 このシリーズでは毎回のように言っていますが、こういうシーンでは、なぜか言葉は必要ない。彼はインドの言葉でたどたどしく、僕は英語でゆっくりと。伝わるはずはないんですけどねぇ、でも、分かり合えているのが面白い。

 ちょうど後ろから夕暮れの少し前の優しい太陽が彼を照らしていて、その笑顔はとても美しかった。

 だからなのかもしれないですね、違う言語でも分かり合えたのは。笑顔の力、なんてね。

 ガンジスには人々がひっきりなしに沐浴に訪れます。とても賑やかな町なのに、彼と座った階段はとても静かに感じました。

 僕たちは、川の反対側に張り巡らされる路地の方への散歩も楽しみました。路地をぐるりと回ってまたガンジスに戻ってくるだけのスーパーショートトリップです。

 でもその頃には、もう彼は「だるまさんがころんだ」ではなく、僕の隣をキープしてくれていました。

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 夕方を迎えようとしている路地。歩きにくい石畳。角を曲がった時のワクワク感。太陽に一瞬目がくらむ脇道。その景色は鮮明に、いまも心に残っています。

 異国の地に、また会いたい子どもが増えました。

 名前しか知らない小さな友達。でも、きっとまた会えるはずです。

 そうです、これは、『アフターコロナに会いにきた』への序章です。

 本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 この先は有料写真ギャラリーです。この町の様子を写真で掲載します。それから詳しい位置情報も掲載しますので、よろしければご覧くださいませ。

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