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東日本大震災は日本のマーケティングを進歩させた

(写真は石巻の救援物資の貯蔵庫)

本当は3月11日に書くつもりだったんですが、慌ただしくて、更新できませんでした。
東日本大震災から11年が過ぎました。

その後、熊本やら、多くの災害が起きましたし、ここ2年は新型コロナウイルス騒動があり、直近ではロシアのウクライナ侵攻があり・・・と、色々なことが起こり過ぎて、つい、震災の記憶は薄れがちになっています。

「震災の記憶が風化している」というのは、実際そうだと思いますし、僕自身の中でも、それは実感しています。

一方で、東日本大震災をきっかけに変わったことが、今でも続いているものもあります。

企業のマーケティング活動はそうだと思います。

「マーケティング論の神様」と言われる、フリップ・コトラーの『社会的責任のマーケティング』が日本語に翻訳出版されたのが2007年ですが、そのころから日本でも、「CSR」という言葉が使われるようになってはいました。

2010年には『コトラーのマーケティング3.0』の日本語訳が出版されています。
本書では現代を「価値主導」の時代と捉え、マーケティング活動の目的を「世界をよりよい場所にすること」説いています。

本書が出版された時、本書を読んだ多くの日本のマーケターは「言ってることはわかるけど、ちょっと理想論(きれいごと)過ぎないか?」と考えていました。
僕自身もそうでした。
世界をよりよい場所にするのは、企業よりも行政がやることでしょ? みたいな意識が根強くありました。

ところが、大震災が起きて、「行政だけではこの危機は乗り切れない!」と多くの人が感じ、個人レベルでボランティアや寄付などの支援活動が広がったり、企業も救援物資を届けたり、多額の寄付をしたりという貢献を行うようになりました。

これまでは、彼らに対しては賞賛もあった一方で、「売名行為」、「偽善行為」みたいなことも言われがちだったんですが、3.11がターニングポイントになったと思います。

ちなみに、日本語で「責任」と書くと重々しいですが、英語の”Responsibility”は、”Response”+”abilty”で、「対応する能力」、「反応する能力」みたいなことを意味します。

災害が起きたら支援する、困っている人がいれば助けるという、「対応する能力」を震災によって日本企業は高めたというのは紛れもない事実ですし、それはいまでも続いていると思います。

もちろん、企業がマーケティング活動の中で、社会的な行動を行うことは、世界的な潮流で、日本企業もその潮流とは無縁ではいられないので、震災があろうがなかろうが、そっちの方向には進んでいったとは思います。

ただ、東日本大震災は、そのトレンドを一気に加速させたことは、紛れもない事実だとは思います。

ちなみに、私の広告論の授業では、初回に東日本大震災直後の広告を見せ、その後にコロナ禍の広告を見せています。
広告表現ひとつとっても、変化しているし、社会的メッセージを発信することが重視されるようになっています(それを知ってもらいたいから、そうしているのですが)。

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