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折り紙万華鏡〜大人の贅沢な遊戯〜

ある日、Twitterで流れてきた、「#折り紙万華鏡」の動画。

何でも、外出自粛が求められるこのご時世、少しでも楽しんでもらおうと、おじいちゃんが孫のため、YouTubeの動画サイトを見ながら、延べ20時間もかけて作り上げたとあった。

後にTV番組でも特集として取り上げられていたようだ。

昔から、まあまあ手先を使う作業が好きで、様々な事情から、単純作業にも慣れている。
折り紙もその一環だった。
「私なら延べ20時間以下でできるはず」というかなり謎の自信を携えつつ、早速挑戦することに。

まずは、とにもかくにも折り紙を調達せねばならない。

私が見た動画サイト(最も再生回数が多かったものを参考にしてみた)によれば、万華鏡を作るためには、
26枚×8色(=208枚)
もの折り紙が必要になるという。サイトによっては、多少枚数に違いがあるようだ。

作業を思い立った当時は、未だ外出自粛要請も出ておらず、田舎故に新型コロナウイルス感染者もほとんどいなかった(今となっては見る影もないが)ため、近所の100円ショップ(100均)に出向いた。最近の100均の充実ぶりが凄まじいのは周知の事実だが、折り紙ひとつとっても、多色をウリにしたものや、可愛い柄物など、実に色んな種類があった。

折り紙自体が久しぶりなので、いくつか折り紙を購入したのだが、ふと思い立つ。

「これ、ホイル折り紙で折ったら、もっと素敵で豪華にならないだろうか」

ホイル折り紙。
いわゆる、金銀系の、普通の色とは素材が明らかに違うアレだ。

幼稚園や小学校の頃など、たまにもらう機会があっても、もったいなくてなかなか使えなかった記憶もある。

帰宅後早速Amazonで調べてみると…あった。
ところが、ホイル折り紙は(当たり前ながら)、通常の折り紙とは全く製造過程が違うのだろう、とにかく高い。

10数枚入っているだけで、500円を超えるような製品もザラだった。ちなみに、この手の折り紙は、銀色が主になっていて、金色はこれに赤色を塗ってできているなどとも、以前に聞いたことがある。
それ以前に、全5色程度で色数が足りない。

現実に半ば打ちのめされていると、

10色×8=80枚入というホイル折り紙の徳用パックを見つけた。

10色すなわち、金銀を抜けば8色になる。
作ってみて分かったことだが、この作品は構造上8色がベストと言え、色数を増やしたい場合も、4の倍数で揃える必要があるようだ。

通常の折り紙と比べれば遥かに割高だが、ここに来て「諦める」選択肢など持てなかった私は、迷いながらも4パックを購入する。
私が調べた限りでは、これ以上コスパの良いものを見つけることはできなかった(価格は想像にお任せしよう)。

最早、今の時代ハンドメイドと言うのは、大人の贅沢な遊戯、道楽以外の何者でもないケースが多分に存在するのだ。

ここまで大枚を叩いてしまった以上、途中で投げ出すことは最早許されない。

かくして、私の孤独な挑戦は始まった。
ホイル折り紙が届くまでに時間があったので、この間に通常の折り紙で練習し、部品の折り方をマスターしておくことにする。
ホイル折り紙は、通常の折り紙とは素材が大きく違い、折り跡(折り傷という言い方の方がしっくりくるかもしれない)が残りやすく折り直しが利きづらい。

そして、肝心の折り方なのだが、海外サイト(しかも字幕はキリル文字だった)ということもあり、意外と分かりづらかった。折り紙に慣れていない(折り鶴を何も見ずに折るのが難しいくらい)人は、やや苦労するかもしれない。

海外サイト、ロシア系のため、使用許可を取ることもままならなかったのだろう。
後に見た万華鏡特集の番組も、スタッフが作ってみたという映像はあったものの、詳しい折り方の解説までは紹介されていなかった。

試行錯誤という名の練習を重ね、本番用の折り紙が届く頃には、ようやく部品をスムーズに折れるように。
結論から言うと、動画サイトの紹介とは折り方の手順を変えたことで、効率化を図ることに成功。(※ないとは思うが、もし今後要望ががあるならば、別記事で詳しく折り方を解説しようと思う※)

1枚当たり、約1分10秒前後で折れるようになっていた。

ここからは、有無を言わずとにかく折り進めるのみ。
息子を寝かせ、自分達の夕飯を終えた後の時間を使って、夜な夜な手を動かしていった。

後は、ノリを使って部品を重ねて合わせていく。

半分ほど重ねたところだ。
最終的に、最初と最後―端と端―をのりづけし、輪っか状にしたところで折り紙万華鏡の完成となる。
最後ののりづけが本当に苦労した。ホイル折り紙の材質故なのか、単に慣れていなかったのかを確かめるには、また作る必要があるが…。

結局、作業を全くしない日もあったため、延べ10日以上、組み上げに約3時間を要した。ただ、1分少々で折れた記録が信用できるのであれば、実質延べ20時間まではかかっていないはずだ。

写真が絶望的に下手(動画はなおのこと…)なので、地味な凄さも美しさも、半減どころかほとんど伝わらないのが悲しい。(残念ながら、現役時代もいちばん写真がヘタクソだと言われただけのことはある)

ちなみに、動画では10cm四方の折り紙を使用していたが、今回は日本で最もメジャー(だと思っている)15cm四方のものをそのまま使用した。それ故、完成したものは直径20cm超えのなかなかに場所を取るインテリアと化した。

ちなみに、作品上部を摘んで外側に軽く引っ張るようにして倒していくことで、万華鏡よろしく次々色が現れるのだが、当初密かに心配していた、「折り紙の材質を変えることでスムーズに色が変わらないのではないか問題」はまったくの紀憂に終わった。

実は、そう言いつつも、何故色がスムーズに変わるのか、作った身でもその詳しい原理や仕組みはよく分からない。
とにかく不思議というしかない作品だ。

幸いというべきか、手元に折り紙は未だほぼ1パック残っている。
そこそこ苦労したはずなのに、また作りたくなってしまっているからいけない。

しかも、今度は4分の1サイズにして作ってみようかと画策中だ。
今回は、折り紙の残り枚数の事情も多分にあるが、少し慣れるとサイズをすぐに小さくしてやりたがる。
これも、ものつくり人もしくは日本人の性なのかもしれない。


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