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文化としての『高輪ゲートウェイ駅』

「田町ー高輪ゲートウェイ」間を、
田町に行く用事があり、隣の駅なので歩いたけど、結構距離あった。山手線の一駅区間を舐めてました。

今回、新駅から思いついて書いた事は、
「価値あるものを作ろうとする事は非常に大事」
という内容に関してです。

この新駅に行ってみて感じたのですが、
『本気で価値あるモノを日本に残そうとしてる』と思いました。

まあ価値があるねとなるには、色んな人がそう思う必要があるので、そうなるかどうか分かりませんが、
この駅は、駅という「役に立つ」モノを建てたのではなく、後世でも美しいとか思われる「意味ある」モノを建てたと感じました。

つまり、
メインである商業施設の機能の質を高めつつ、さらに文化的な資産にしようとしてるから凄いなと感じました。


では日本人的に価値があると思われてる商業施設(観光施設に兼ねてる)は何だろうと自分なりに考えると、
「東京駅」「東京タワー」「通天閣」「築地市場」「中洲のラーメン」などが思いつきました。

これらは全て昭和以前に作られた「遺産」なのです。
飾ってはいないけど、その地域や過去の歴史が最大限生かされて、全体に馴染む様に作られてるなと思います。
反対に平成の建物は、
経済合理性のみしか考えず、文化からお金を生み出す事を考えずに建てた、もしくは上手く文化価値に転換されなかったからだと思います。

これに対して非常に良くないなと思っていて、
いくら経済大国だとは言え”アイデンティティない国”になると、
どうでも良い芸能ニュースに対して切りまくるコメンテーターの様に、
「代替え可能な存在」になるのです。(出てくるモノが他に依存して、独立してない。アメリカ様、中国様など強い存在に物言えない状態。)
それが人ではなく国として起こると、より国防や外交など含めて経済を通して日本全体に影響が出そうだと思います。

つまり、
合理性などの「正しさ」だけではなく、感情に影響する「意味がある事」が必要ということです


では具体的に「高輪ゲートウェイ」が秘めてると思った可能性について、駅とそれを含めた全体の2点に関して書きます。

構内はまるで、新海誠の映像に出てくる世界の様

まず外観は、ショッピンモールの様な開けた感じで、よくある感じで、新しいので綺麗だなという感じです。

画像1

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こんな感じなのですが構内に入ってみると、
・無人のコンビニ ←凄い並んでる。
・ロボットや映像を使ったテクノロジー感
(↑これらちゃんと撮ってくれば良かった。。)

で普段の日本感には存在しないなと、興味を惹かせるのです。(中国人とかはそうは思わないだろうけど。)

んで、凄いなと思ったのが『空間の作り方』です。

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乗り入れてる電車も2路線なので、多分そこまで大きい駅ではないと思うのですが、大きく見せる作り。

そして美しいなと思ったのが、
一つの箱の中の仕切りを無くして、最大限に立体感を引き出し、丁寧にデザインされた「プラットフォーム」です。

画像4

他の位置には行ってないのですが、この階段から見る景色は、
とても写実的で、駅とかに感じる鉄っぽい、重くドスっとした印象がない中で、スッと電車が入ってくるので、駅なのかどうか分からない不思議な感じになりました。(ぜひ行って、ここに立ってみて欲しい!)

この駅っぽさを感じない綺麗にデザインされた感じが、新海誠のアニメーションっぽいなと思いました。

山手線で唯一、人の属性が定まってないから、観光地的

この新駅の周りって、
隣の品川や田町に比べてオフィスや商業施設がかなり少ないんですよね。
だからこの駅を日常的に利用しようと思う人は、山手線全駅の中では一番少ないと思います。

つまり、この写真に写ってる人の大半は見物しに来た人なので、
そのおかげで駅が輝いてる、イキイキしてるんですよ。(ここの表現分からない。)

ただ利用しに来たのではなく、
隅々まで鑑賞している人たちによって、そんな空気感が作られてるのです。
こうなるためには、細部までのデザインがあったからこそ、人々がこういう振る舞いをして、この空気感が生まれたんだと思います。

その人々が色々と興味深々に鑑賞する場所に電車が行き来する、「静に動が混在する場所」って今まで体感した事ないなと思って(他に存在するのだろうか?)、
それぞれ無理矢理に絵の中に組み込まれたけど成立してる、精密なアニメーション的な空間の新駅に面白さを感じました。


じゃ価値あるモノの正体って何なの?

この価値に対して上では「意味があるモノ」とか言ってますが、
これを書いてる時の自分なりの答えとしては、

「経済 × アート・文化」
言い換えると、
「過去からの日本らしさを引き継ぎながら、今の日本社会経済にフィットさせる」
という文化を経済に結びつけるという事です。
ここでの日本らしさとは、
「アミニズム」の宗教観に基づいた「〇〇道」や「言葉(文学・俳句)」などにあると思ってます。
全てのモノに意味があり、そのために表現や所作が決まってる。でも出てくるアウトプットは十人十色的な多様性。(上手く表現出来ないな。)

とか思っていたのですが、たまたまこの動画を観て、このモヤモヤが解決出来ました。

自分が言いたかった「意味がある」とは、
『コンパクトさに対して含まれてる情報量の多さと統一性』です。(スッキリした( ^ω^ ) )

ここではファストファッションにも触れていて、
空間とか所有する物は、”自分の拡張である”というトレンドになってる今、
「やっぱり安いのよりも自分に合った意味が含まれてる方が、人は愛着を持ち、その服の方が好む」
と言っていたのですが(11分辺りをざっくり要約して)、

日本にとって文化的価値になるのは、
日本の風習を通して生きてきた日本人に合う、日本の文化の理念を反映させたモノに勝手に惹かれ、価値となると思いました。
(外国人は無視かよって意見に対しては、彼ら/彼女らは”日本らしさ”を体感しに来てるから日本人に合わせて良いのです。)

まあ何となく「高輪ゲートウェイ」を良いなと思い、
これが日本にとって価値となるには、「日本的な意味」を含ませる事で、長期的な価値になるよね!と思いました。

でも大事なのはバズったりした後に消費されずに定着する事です。
定着のためには、
「街に馴染むか」「経年劣化に味を出せるか」の2つかなと思います。

ただの1つの駅になるか、大きな資産となるかは半世紀後に答え合わせですかね。

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