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「読書の力」1000日1000冊1000文字チャレンジ 第40日「仕事に効く教養としての『世界史』Ⅱ」

読書ノート 2024/4/12

❶[1BOOK]
「仕事に効く教養としての『世界史』Ⅱ」
出口治明著 祥伝社
2016年10月10日 初版第1刷発行

❷[3POINT +1]
◎はじめに〜人間にとって教材は過去にしかない
「戦争はいっこうに終わらない。世界はどこへ行こうとしているのだろう」
人々がみんな、先行きに不安を感じているのが、今日の状況であると思います。

① 豊かな国インド
☆インドになぜ統一国家ができなかったか
地理的な条件に加えて、古代に統一国家が継続できなかった理由としては、適切な筆写材料がなく文字が普及しなかったために文書行政がうまくいかなかったことがあげられます。そのために官僚も育たず、統治機構を維持できませんでした。それもあってインドでは始皇帝やカエサルのようなグランドデザイナーが生まれなかったのです。

② 知られざるラテン・アメリカの歴史
☆この章の最後に
ここまで、コロン交換により先住民がほとんど死滅してしまったこと、スペイン人を中心に多くのヨーロッパ人がこの大陸を第二の祖国としてきたこと、フランス革命とナポレオンの影響が新大陸にも及び、広範に独立運動が展開され、劇的なヒーローが多数登場したことなど、中南米諸国の歴史を概観してきました。独立後の各国では、フランス革命ーナポレオンの遺伝子を引き継いだ自由主義・リベラル派とクリオーリョ以来の既得権を引き継いだ保守派との争いが基軸となり、それに連邦派と中央集権派が絡んだ形でそれぞれの国の歴史が展開してきたと考えられます。

③ 母なる大地アフリカの数奇な運命
☆なかなか自力でテイクオフできないアフリカの事情
アフリカの多くの部族には、列強の支配を脱して独立したい欲求がありました。しかし独立国家に必要な統治システムや、それを担保する中間層が存在しない状態では、族長に資金を渡しても、結局お金の誘惑に負けてしまい、橋をつくるよりお酒を飲むほうに使ってしまうことになる。生産年齢人口を奴隷に取られ続けて300年、さらにそのあとはヨーロッパ列強に切り取り放題をされた結果、アフリカの精神風土は、眼前の大金を自分の欲望に使うことしか、考えられないものになっていたのではないか。その結果、新興独立国はテイクオフできなかったのではないか。それが20世紀後半の独立後のアフリカの姿ではなかったのか、と思います。アフリカ人が劣っていた殻でもなければ、いわんや「暗黒大陸」だったからでもなく、そこには歴史的な必然性、つまり原因と結果があったのだと考えます。

❸[1ACTION]
[実行すること=自分との約束]
ヨーロッパ・アジア・北米の歴史だけではなく、それ以外の地域の歴史も勉強する。

❹[1episode]
☆唐宋革命と平清盛
日本の伝統となっている文化は、この宋の時代に平清盛や、禅宗の五山の僧たちによって持ち込まれたものが源流となっています。「わび・さび」という美意識も、宋の白磁や青磁に見られるシンプルな飾らない美しさと関連しているようです。唐時代の唐三彩にある華やかさとは、あきらかに一線を画しています。
なお平清盛は日宋貿易に着眼し、海外との交易の重要性を視野に入れていた稀有な政治家です。彼がほんの少しの間ですが、京都から福原(神戸)に遷都したのは、そのような構想があったのでしょう。日本の政治家で、京都から都を変えようとしたのは、清盛と明治政府だけでした。清盛はよく源頼朝と比較されますが、スケールの大きさと先見性(清盛の六波羅幕府が、鎌倉幕府のロールモデルになったなど)で明らかに清盛がまさっていると僕は思います。

❺「本を語る」
コロン(コロンブス)は、ヨーロッパからすると「新大陸を発見した英雄」ですが、南米の人々から見れば、それまで存在しなかった「病原菌」をもたらし、「何千万という人を殺した悪魔」だったのです。
[思いついたこと]
なぜ、ヨーロッパの小国であったスペインやポルトガル、オランダといって国々が、大きな南米大陸を支配できたのか、不思議に思っていました。出口治明さんの著書を読んで、初めて納得できました。歴史上、人が集まるところには、ペストなどの伝染病が発生し、人口を減らすという事態がなん度も繰り返されてきました。
[そして]
今でも、新型のウイルスがどんどん出来てきては、世界中に拡大し、多くの人の生命を奪っていきます。それは人と人とが直接殺し合う、戦争よりも恐ろしいものでした。そして人類は、原子爆弾や生物兵器を作り出し、一瞬で、地球全体を消滅させることもできる力を持ってしまいました。歴史を学ぶと、すぐに気づきますが、人間の歴史は争いの歴史でもあります。使用する武器が変わるだけで、人間のやることは変わらないのだ、という諦めすら見られます。
[しかし]
現在は、戦争よりも恐ろしい事態に見舞われています。異常気象による地球温暖化。それに伴う、地形の変化。その大元は、科学技術の進歩という、人間の欲望の拡大です。一年中快適な環境で過ごすために作られたエアコンなどの空調システム。便利さを保証する電気やガスなどのインフラ。それらは一度経験してしまうと、後戻りはできません。電気のない生活って、考えられますか?
[だからこそ]
地震や津波など、自然災害が起きたとき、ようやく気づくのです。どれだけ「便利で快適な」生活をしていたのか、と。この夏も、異常な暑さが予想されています。それはもう、殺人的な気温です。人々の密集する都市部は、人の住めない環境になりつつあります。それを踏まえて、今一度、自分の生き方、あり方を考え直す、良い機会であり、どんな環境においても適応し、生き延びてきた先人の知恵を、歴史に問うべきときなのではないでしょうか。


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