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「本を語る」2024/6/16「漢字の過去と未来」



❶[1BOOK]
「漢字の過去と未来」
藤堂明保著 (株)岩波書店 岩波新書(黄版)205
1982年9月20日第1刷発行

❷「本を語る」
「衆」という字が炎天の下で働く奴隷の群れを表すように、漢字の成立と変容には社会的背景が大きく関与していると著者は力説する。さらに漢語と日本語の関係や中国での漢字改革の動きなどをも紹介しつつ、日本語の表記で漢字をどう扱っていくべきか、漢字制限の立場から明快に論ずる。漢字教育に関心をもつ父兄・教師の必読の書。〜カバー見返しより
[思いついたこと]
新書と文庫本を処分しようと思い、本棚を物色しておりました。その時、ふと目に止まった一冊です。学問を志す者にとって、「岩波書店」というのは、特別な存在です。本来は高価な学術書や専門書を、安価な価格で提供する目的で、「岩波文庫」は始められました。昔は☆の数で定価を表記し、私が高校時代は☆ひとつが50円くらいだったと思います。と言っても、☆一つは稀で、たいていは2〜3個はついていましたね。値上げをするときは、☆1個の値段をあげれば、印刷し直す必要がないからだと思います。
[そして]
新書については、大学の教授や有名な作家が、たくさんの「名著」を残しています。大江健三郎さんの「ヒロシマノート」などを思い出します。おそらくこの本も、そんな「名著」の一つかもしれません。1982年といえば、奈良の実家でマスオさん同居をはじめ、娘が生まれた年であり、出産までの間、通信過程の勉強に力を入れていた時期です。生まれたら勉強どころじゃなくなるから、という一種の危機感にあおられて、哲学や歴史学などを中心に、テキストや参考図書だけでなく、レポートを書くためにたくさんの本を読んでいた頃でもあります。
[しかし]
子育てに突入し、その後、奈良市内の団地への転居、念願の「核家族」となったにも関わらず、夫の入院やアルコール依存症など、次々と難題に直面する中で、案の定、勉強どころではありませんでした。また、娘を保育所に預けて、パートで働きはじめたこともあり、時間もお金も余裕も全くない生活になりました。娘が小学2年になる直前、窮状を母に伝え、実家に戻ることにしたのです。そこでようやく「希望」が見えました。自分一人で背負いきれない時は、たとえ後退することになっても、誰かを頼ることは必要です。
[だからこそ]
両親の応援があったからこそ、大学を卒業することができたのです。実家に戻ってから、ちょうど5年。娘の小学校卒業と同じ年の3月に、私も慶應義塾大学の卒業式に参加することができました。ただ、残念だったのは、私の卒論指導担当であり「メンター」であった、三浦和男先生が、前年の秋に亡くなったことです。私が卒論を書く前に、「提出許可のサイン」をもらいに行った話は、また別の機会に。


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