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肉体に埋もれた栄光

ねえ しってた? あなたがわたしを救ったってこと
ねえ どうしてそんなに 寂しい瞳をしているの
あの時のあなたは ずっと輝いていたし
あっけらかんとした 暖かさがあった
なのに いまのあなたは 水浸しのドブネズミみたい
みじめで 肉体に群がる脂肪に支配された 悲しい玩具
誰も遊ぼうなんて思わないから あなたは安心して一人になれるの
ひどいじゃないの いつもひとりで 助けてって言えばいいのに
あなたは世界を遮断した
いいな って思ったのよ あなたのこと
あなたには 人の視線なんて気にしない 変な才能があったじゃない
あなたみたいな考えをしたいって ひっそり思ったんだから
人のものを欲しいなんて思ったの はじめてだった
あなたの生きざまは わたしの心を強く揺さぶった
ねえ 溺れているの? その脂肪の中で
ねえ 埋もれていくの? 何もつかめなくなるわ
わかってる 理解しても行動に移せない事
だから 手を差し伸べているんじゃない
つかんでよ つよく つよく つかんで
離さないでよ
表面上でわかり合えたとしても 中身は孤独なまま
きっとあなたの事 よくわかっていない
お城で見た夢は 綺麗だった
小さな頃の 暴言は 傷付いたけれど 可能性に変えた
あなたが存在していない夏休みが もしあったとしたら
わたしはきっと もっと小さな人間だった
冒険しよう 探検しよう 遠くに行こう
連れて行ってくれたから わたしは世界をみれた
ねえ 脱皮できるって 知ってた?
そんな醜い繭 はやく破って出てきなよ
わたしは また いつものように控えめに待っているから
冒険しよう 探検しよう 遠くに行こう
わたしが連れて行ってあげる
二人で行こう
二人で遊ぼう
ねえ そんなところに埋もれてないで
どこかに行こう

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