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パブリックナラティブ-公での語り-:コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン笠井成樹さん(コミュニティの教室003)

greenzが学校をやっていて、「コミュニティ」をテーマにした場をつくると聞いて申し込んだコミュニティの教室に参加している。

第1回はポットラック、第2回はgreenz編集長のなおさん講義で、第4回はさとのば大学の信岡さんの授業。第3・5回がプロジェクト共有のオンラインミーティング。今回は早くも第6回で、コミュニティオーガナイジングジャパンの笠井さん。(講義形式は3回目なのでnoteは003)

コミュニティオーガナイジングジャパンさんは、市民の力で自分たちの社会を変えていくための方法・考え方(コミュニティーオーガナイジング)の研修をしてくれたりする機関で、

個人的には手法系(特に新しいもの)はやや疑心入ってしまうのですが、コミュニティオーガナイジングは、古くからある手法で、オバマ大統領も使っていたと言われているものらしい。

マハトマ・ガンジーによるインド独立運動、黒人差別を撤廃を目指したアメリカでの公民権運動といった、大きく社会を変えたムーブメントにその源流があります。(greenz記事より抜粋)

0.will(意思)のコミュニケーション
日本はwill(意思・こうしたい)コミュニケーションが少なく、confirm(確認)コミュニケーションが多い。シリア難民キャンプを訪れた時に21才の青年(英語教師)が、「次世代に教えないと未来がない」と言って危険地域に戻って子ども達に授業をしようとしていたことに感銘を受けた。彼らのような世界の人たちと同じ視座視点で世界を捕らえられているのか?日本は震災があった時も原発v.s脱原発の対立構造になり揉めていた。未来に目を向け前に進めるようになっていたい。

1.ソーシャルイノベーションとは
笠井さんの師匠、鈴木寛さんによると、世の中には3つのソリューション(GS[ガバメントソリューション:政治]と MS[マーケットソリューション:市場]とCS[コミュニティソリューション])がある。これまでは政治と市場で解決してきたが、それではできないことがあるから、コミュニティを活かした解決方法が必要とされている。

2.コミュニテイソリューションのための、コミュニティオーガナイジング
例えば、荒廃している街があって、変えなければならない。そのために
①語り合って②関係構築ができ、③チームを作り、④戦略を立て、⑤組織を作り⑥行動をする。今日はその中の①語り合う・ストーリーをつくる部分にフォーカス。

3.そもそも、コミュニティとは?

プチワーク:「コミュニティとは何か?」
・共有されているもの。みんなで作るもの。
・緩やかなつながり?
・横でのつながり?

イヴァン・イリイチという哲学者曰く、

つまり、音楽好きがただ集まってるだけの場所はコミュニティではなく、甲子園を目指して頑張ったチームはコミュニティになれる。共に困難を乗り越えた先がコミュニティ。

最近よく言われる緩やかなつながりは、コミュニティが出来るまでの過程の部分で、そのあとは強靭な関係性ができている。ただ、一度一緒に乗り越えるだけでは下がっていくので、連続的な乗り越え体験が必要になる。そのため、作るためと作った後に持続できるように工夫が必要になる。

4.持続的なコミュニティには、自分以上の当事者を探し続けることが必要
本当に課題を解決したいなら、「自分以上に問題意識を持つ人を探すこと、出会うことを諦めないこと」が必要になる。場合によっては自分が先頭じゃなくて、No.2やNo.3になることを厭わないことが必要。

5.コミュニティオーガナイジングの始まりと効果
アメリカで20世紀初頭から実践されてきたもので、市民運動から生まれていて、社会的弱者(労働者・有色人種・女性など)が声を上げていくところで成り立っていった。課題や気持ちを発するところから始まり、コンセプトが生まれ、ロビイングにまで繋がって、法制度への提言になっていったりする。

6.パブリックナラティブ(公の場で語る)
最初の関係性を築いていくためにストーリーテリングが必要で、マーシャルガンツの提言する「パブリックナラティブ=公の場で語る)」は、①自分の話と②私たちの話(問題意識がない人も巻きもむ)と③緊急性(アクションへ繋げる)という3要素がある。

パブリックナラティブの事例(ジェームスクロフト@ハーバード大)

①自分自身の過去(隠してきたこれまでと、カミングアウトしてからの話)②実際に起きた出来事とそれが身近に起こり得ることだということ③子どもたちに未来同じことが起こらぬよう、今一緒にやってほしいことが語られている。

ただ悲劇話を打ち明けるのではなく、①自分②私たち③緊急性という要素に対して、①何が困難で②どんな選択肢があって③成し得たらどんな結果があるのかを、具体的な描写を含めて伝えることで相手が想像しやすいように伝えていくことが必要になる。

7.感情に働きかける必要性
脳には感情を司る扁桃体という部分があり、損傷すると意思決定ができない。つまり、感情がないと価値観が形成されず、意思決定・行動ができなくなっていく。

つまり、論理的に相手に説いても人は動かないので、心に働きかける必要がある。

行動を阻害する感情を持っている人に対して、聞き手の感情を促進するように働きかけることができたら、行動変容に繋げていくことができる。

8.感情に働きかけられるストーリーとは
単純に出来事だけを話しても意味はない。予定調和や不確実性のないストーリーに人は興味を持たず、不確実性や困難で「次どうなるのだろう?」と考えられることに興味を持つ。そしてプロセスで勇気や学びを得る。

9.不確実性の源は他者。価値観を見いだすのは聞き手。
世にある問題の多くは人間関係によるもので、それは他者の感情という見えないものが不確実性を生むから。

人は習慣化されたいつもの出来事では考えたり選んだりをせずいつも通り過ごすが、白紙になったり困難に立ち向かった時に初めて考え、選択をする。そこで初めてその人が望む世界(価値観)が見える。なので、自分の価値観を相手に語る必要はない。語っている人の持っている価値観ではなく、ストーリーを聞いた人の中で展開される価値観が必要。

自分の価値観を語るのではなく、自分の①困難②選択③結果のストーリーを語ることによって、相手の価値観に働きかける。

ワーク:
自分の伝えたい価値観に基づいて、それに至った過程(困難)を整理して、シェアし合ってみよう。(3分ずつ)
聞いた人は、①困難②選択③結果のなかで濃淡として少なかった部分を掘り下げたり、解像度をあげて描写しやすくしてみよう(2分ずつ)

全体シェアされた事例に対して笠井さんが質問。その質問を参考にしながら、3人組で1回転し、全体の前で2事例聞かせてもらった後、もう1回転別メンバーでワーク。

メンバーのストーリーを聞く中で、共通点や今まで知らなかったことを聞くことが多く、みんなお互いに対して興味津々。

まとめ:
①ストーリーを語り合うことで、相手を身近に感じます。
②価値観だけを語ってはいけません。
(これは論理的構造をとったり、枕詞をつけることと同じ。相手が頭じゃなくて、心で聴けるように、ストーリーテリングすることが大事。頭で理解させるのではなく、心で感じてもらう。)


今回やったのは、コミュニテイオーガナイジングの中の①語り合う・ストーリーテリングのなかの①self(自分)の部分。

コミュニテイオーガナイジングで学ぶことは…
①語り合って②関係構築ができ、③チームを作り、④戦略を立て、⑤組織を作り⑥行動をするで、これを2日間かけてワークを繰り返して学ぶ。

資料は無料ダウンロードできるのだけど、見てるだけじゃなかなか理解しきるのが難しいとのこと
▽資料はこちら

やってみたいな、知りたいなという方には10月下旬のイベントもあるとのこと
▽イベントはこちら

感想(一部抜粋):
・人の困難から始まる話を聞くと、共感が高まり、愛着が湧く。
・質問する時の最初の設問の仕方が難しいけど、いい質問ができたら、流れが生まれる。
・結論やこちらの価値観を伝えることは仕事でやってしまっている。ストーリーを伝えることの大切さが実感できて面白かった。
・今までもストーリーは語っていたが、自己流だったので、整理して話せるようになりたい

①ナラティブアプローチは宇田川先生からの学びですごく興味を持っていたし、実践してみていろんなことが解決していくのが最近楽しかったのですが、それをパブリックにすることでコミュニテイが生まれるというのは面白いなと思った。
②「緩やかなつながり」って最近好きこのんでいたが、その先の強靭なつながりを作り持続していくことも見据えて作っていけたらいいなと思った。

今自分がやっていることもこの文脈になぞらえて一度整理してnoteしておきたい。




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シビックテックのCode for Japanで働きながら、小児発達領域の大学院生をしながら、たまにデザインチームを組んで遊んでいます。いただいたサポートは研究や開発の費用に充てさせていただきます。