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StayHomeの暮らしと睡眠 -研究と開発でできること-

国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター の中島先生からお声掛けいただき、ヨーロッパCBT-Iアカデミーが出したPractical Recommendationsを有志チームで翻訳させていただきました。

推奨事項からの抜粋を少し記載しておきます。これ以外にもジェンダーギャップや睡眠薬に関する注意もあるので、睡眠が気になる方は目を通していただき、疑問などがあればコメント欄にください。

・就床時刻と起床時刻を一定に保ち、できるだけ毎日同じ時刻に起床することを心がけ、一日の予定をある程度組み立てましょう。
・頭の中の考えを書き出す、ストレスについて話し合うなど、ストレスに向き合い振り返るための短い時間(15分間など)を設定しましょう。ストレスのことを考える時間を特定の時間だけに限定することで、睡眠を妨げを減らしましょう。
・寝床は睡眠と性行為のためだけに使用できるよう、通常の眠気を感じた時にだけ、寝床に入ることをお勧めします。
・携帯電話などの情報機器は寝室に持ち込まないようにしましょう。
・気晴らしになることを見つけて、馴染みのある楽しい活動に夢中になるようにしましょう。
・日中特に午前中は自然光を浴びるよう心がけ、カーテンを開けたり照明を明るくしたりして、定期的な運動を行いましょう。
・就寝前は、例えば読書やヨガなど、馴染みがあり、リラックスできる活動を取り入れましょう。
・日中の活動量が普段よりも少ない場合は、睡眠が乱れないよう、決まった時間の食事量を減らし,遅くとも寝ようとしている時刻の2時間前までには食事を済ませましょう

日本語翻訳版

原文はこちら

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/jsr.13052

4月に発行されたジャーナルに掲載されているもので、4月中旬ごろにSlackに集まり、それぞれの先生方が分担して相互にチェックしながら翻訳し、10月に正式なリリースとなりました。

形式としては論文ではありますが、一般の方にも知っていただきたいというメッセージ性もあったため、専門用語の翻訳をどんな言葉にするかやヨーロッパの文化と日本の文化が異なる中でどう記載するべきかなどもSlackで適宜相談し、またこの取り組みに対してヨーロッパ睡眠学会などが許可してくれるといった過程に参加しながら、「こうやってアカデミックが市民の生活に役立てるようにすることをしていきたい」と高揚している自分を感じていました。

日本に住んでいると日本語だけで生きていくことに不便を感じることが少ないので、どうしても英語で読んだり書いたりすることを怠ってしまいます。自動翻訳ツールの精度が上がっていくプロセスにいる中で、勉強しなくてもテクノロジーが追いつき追い越してくれるんじゃないかとも思っています。

一方で、東アジアのエンジニアコミュニティと関わっているとそれぞれの母語ではなく英語で会話をして物事を進めていく中で、ニュアンスの違いや背景の違いを汲み取りながらお互いの第二言語でコミュニケーションをしていくことの難しさと重要性を実感することもあります。

アカデミアと市民社会、母語のコミュニティとその他の外のコミュニティ、両方の垣根を超えたり、橋渡しをすることができるのが、シビックテックコミュニティの可能性であり、アカデミアが意識するべき領域なのではないか。

新型コロナウイルス感染症への対策にあたり、私たちシビックテックコミュニティ(Code for Japan)は東京都公式の新型コロナウイルス感染症対策サイトの開発を通じ、データを正しく公開することや、ソースコードを公開し他の自治体と協力し合い、よりよいシステムを日本全体で使えるようにすることをサポートしてきました。そしてそれは全国の地方自治体に派生し、今では全ての都道府県で活用されています。

事実を知ることは市民が声を上げて求めるべき権利であり、その上で自分たちができることを考え、自分たちで必要なものをつくることに取り組むのがシビックテックでもあります。

また、近年は国内に閉じることなく、韓国・台湾・香港・日本の東アジアシビックテックアライアンスで共同の開発イベントや交流をしていく中で、今回の新型コロナウイルス感染症のような共通の社会課題をテーマに取り上げ一緒に活動していくことやそれぞれのプロジェクトの持ち寄りで学び合いの場を設けることができるようになり、もう一段階バージョンアップできるのではないかという兆しもあります。

アカデミックもこれに同じで、アカデミアに閉じて科学技術の進歩に貢献するのではなく、知り得たことをより市民に伝える工夫をしながら、共に社会実装や科学技術の進歩に進んでいくことが、結果としてアカデミアの進化と市民社会の豊さの両方に寄与できるようになるのではないかと感じています。

シビックテックのCode for Japanで働きながら、小児発達領域の大学院生をしながら、たまにデザインチームを組んで遊んでいます。いただいたサポートは研究や開発の費用に充てさせていただきます。