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自分の名前をこの耳でいったい何回聴くんだろう。

自分の名前が好きかどうか。

うーん。響きは好きだけど、漢字があんまり。てゆうか、読みも3文字で漢字も3文字なところが、好き嫌いというよりとても不便です。

前にちょっと書いたんですが、母がなかなかのパンクでして、「正しい」と言う字を付けたくなかったという理由で、3文字になったらしいんです。

わたしの旧姓は2文字だったけど、画数が多めで、プラス名前3文字は、書くのが結構大変だった。そして、苗字が漢字3文字の人と結婚してしまったので、今はフルネームで6文字なんです。なかなか珍しいです。

なので、ちゃんとした書類以外は、名前をひらがなで書いてます。ひらがなで書いたわたしの名前はとても好きです。

母は、わたしの名前のまんなか一文字を抜いて、◯◯ちゃんって呼んでました。その呼び名を決めた日のことを、なぜかとてもよく覚えています。母と姉と3人で。畳の部屋に座って。姉がふざけて、◯◯ブーちゃんとか何度も呼んで、わたしがメソメソ泣いたこととか、その光景を見てたみたいに覚えてる。


母が、いろんなことを(わたしのことも)、忘れちゃってから、施設の方に言われたことがある。「◯◯ちゃんってずっと呼んでましたけど、どなたですか?」って。

わたしですって言って、施設の方が母に、「◯◯ちゃん来てくれましたよー!」って言ってくれたけど、母はぽかんとしてた。

わたしのことは忘れちゃっても、名前は覚えていたのかな。夢のなかでは覚えてるのかな。それとも、口ぐせみたいになってたのかな。言いやすい呼び名でよかった。姉の名前はそのままで呼び名とかなかったから。


CDに、名前を漢字で書いてサインしてくれるっていうアーティストさんに、名前の漢字を説明するとき、いつものように、「写真の真に,,,」って言ったら、「真実の真やな?」って言いながら書いてくれたことがあった。そっか。真実の真なんだねって、なんか少し誇らしい気持ちになった。

トマトさんの素敵なエッセイを読んで、泣きそうになって、それで母のこと思い出してました。

名前の由来とか漢字の意味とかは、ほんとは二の次でよくて、呼んだり呼ばれたり、書いたり書いてもらったり、覚えたり思い出したり、その繰り返しこそが、素晴らしいんじゃないかなって思いました。

全部忘れてる、その口からこぼれる名前は、ただの音でしかないけど、その響きはとっても優しい。

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