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バンドも様々な方法を試行錯誤しているマーチャンダイズ問題。ティムがTVで現状を説明。


本日、シャーラタンズのティムがBBCニュースに出演していた。


例の、ミュージック・ヴェニューがバンドのマーチャンダイズのコミッションを取る、という件である。


TVプレゼンターは”(バンドが直面している)新たな問題”と言及して、ティムへの質問を始めたが、ティムは「特に新しい問題ではないんだ。僕たちがそれに気付いたのは90年代で、マネージャーから、これが当たり前だから、と言われたんだ」と答えた。「僕たちシャーラタンズは昨年ツアーを行ったんだけど、やはりこれは再度声をあげるべきだと感じた。現在いるバンド、そして未来のバンドたちの為にも。実際のところ、レコードよりもTシャツの売り上げの方が良かったりする現実のなかで、そこからの収益はバンドを継続させるためにも本当に重要だから」と続ける。「シャーラタンズのように、ある程度名前の通ったバンドは、その損失を埋めることができるけど、若いバンドにとってはやはり痛いコストですよね」という質問には、「だからドライ・クリーニング(以下注)やヤードアクトのようなバンドを尊敬するよ。(ヴェニューでではなく)ホテルでグッズを販売したり、近くのパブにマーチャンダイズを設けたり、いろいろなことを試しているからね。すべてのヴェニューがコミッションを取っているわけではないんだよ。バンドはマーチャンダイズ用に既に人材を確保している。自分達で積み下ろしして運んだ商品に、自分たちでサインをして、商品を並べる。そしたら、コミッション会社の人がやって来てそれを販売するんだ。彼らは、わざわざ毎晩ツアー先に現れて、仕事を取っちゃうんだ。販売するためのスタッフももう既にいるというのに。変なシステムだよね」と答えた。「でも、パンデミックで経済的に打撃を受けたヴェニューも多いと思います。ビジネス閉鎖を余儀なくされたところもあるでしょう。ヴェニューがないとショーは成り立ちませんよね。それについてはどう思いますか?」という質問に対しては「ヴェニューではないんだ。先に述べたように、外部のコミッション会社なんだよ」。「では、どうするのが一番良いのでしょう。先におっしゃったように、ツアーバスで販売する、もしくは、近くのパブを利用するなども一つの方法だとは思いますが、提案がありましたよね。ヴェニューがマーチャンダイズ売り上げの25%を取るのなら、バーの売り上げの25%をバンドが頂くべきだ、と。なぜならバンドなしには、バーの売り上げは存在しないから、と...」ティム「(笑いながら)それはニック・ケイブ・アンド・ザ・バッド・シーズのウォーレン・エリスが言ったんだ。そこなんだよ!と思ったよ。バーの売り上げの25%をバンドが共有する!マーチャンダイズの25%をヴェニューが取るって、つまりそういう事なんだよな、ってね」。

(注)ドライ・クリーニングは、ロンドン、ケンティッシュ・タウンにある、O2フォーラムでプレイした際、ヴェニューから歩いて9分ほどのパブ、アビー・タヴァンにマーチャンダイズ、ポップアップ・ショップをオープンした。「残念ながら、25%以下のコミッションを交渉することができませんでした。そこで代わりの場所を探したという訳です」とバンドマネージャーのヘレナ・ワトマフは語っている。


ティムは、このインタビューの後、27日のツイートをリツイートしている。「ヴェニュー、アーティストからマーチャンダイズの売り上げを取るのをやめてくれないか。僕らはバーの売り上げをシェアしてくれなんて言った事ないよね」

このツイートに続けて、ティムは「すべてのヴェニューがそうだと言っているわけではないんだ。コミッションを全くとらないヴェニューもある。マーチャンダイズに関しても、全く協力したくない、と言っているわけではない、ただ25%はあまりにも貪欲過ぎると言っているだけなんだ」と続けている。

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ガーディアン紙の調べによると、ヴェニュー・グループであるAcademy Music Group (AMG)は、マーチャンダイズ売り上げの約25%を取り、 さらに大手レコードレーベルのUniversal Music Group (UMG)はそこから利益をシェアするという。 ヴェニューは、 Bravado(UMGのマーチャンダイズ部門)に属する、コンセッション会社、Concessions Management International Ltd (CMI) の元で運営されており、アーティストがUMGと契約をしていなくても、マーチャンダイズ総収入の約25%は AMG と UMGに行くようになっているとのこと。AMGはこれに関して、幾度となくコメントを拒否している。

ヴェニューもアーティストも、厳しい経済状況の中でショーを開催、成功させようとしている中、難しい問題だとは思う。しかし、実際のショー自体の収益(チケット代)でヴェニュー、その他の経費を賄うべきであって、マーチャンダイズは独立してバンドのもの、そしてバー代も独立してヴェニューのものというのがフェアだと思う。それなのに、そこにレーベルやコミッション会社が介入してくるから搾取が始まるのではないか。

保険や保証などの見えないコストもあるから、そんなに単純な話ではないのかもしれないが、バンドもヴェニューもレーベルも(オーディエンスも!)持ちつ持たれつの関係ではあると思うので、これは話し合いを重ねていくしかないと思う。(ティムも交渉の余地を与えてくれ、と言っている)。



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