不慮の事故により「恋の病」を発症。治療法はまだない。
まるで事故にあったかのように、恋をした。
今まで「恋愛なんて錯覚だ」とのたまっていた私にとっては
それはそれは、恐ろしい出来事だった。
その場しのぎのように、男性と付き合っては大体3ヶ月スパンで別れる
というサイクルをもう数年繰り返し
それなりに「別れちゃってさみしいな」なんて思いつつ、心へのダメージはまったくなかった。
恋愛の楽しさがまったくもって分からない。
西野◯ナの曲の「ずっとずっと一緒だよ」みたいな歌詞が、どうしてもホラーに思えて、ぞっとしてしまうのは私だけなのだろうかと、常々思っていた。
そんな私が恋愛ソングをエンドレスで聴く日がやってくるとは!
人生には、上り坂、下り坂、まさか。3つの坂があるというけれど。
その、まさか。
もう、これは事故としかいいようがない。
彼のことが四六時中頭から離れず、常に携帯を肌身離さず保持して
LINEの音がなる度に飛びつく。
彼の「既読スルー」気になりすぎて、口から心臓がでそうになるし
心臓を槍で刺された上にグリグリえぐられるかのような痛みに襲われる。もう、苦しくてしょうがない。
これは…世間一般でいう「どきどき胸キュン」とはだいぶ異なるのだけれど…。一体全体どういうことか。
恋ってこんなにスプラッター的に、心臓にダメージがあるものなのか。
それに、
恋に落ちた途端、それはもう著しく判断力が低下し、彼の言葉をどう解釈したらよいのかまったく分からなくなってしまった。彼の言動にいちいち、過剰反応しうろたえる。
これぞ噂にきく「恋の病」ってやつか。
きっと「家庭の医学」が手元にあったら恋の病、という項目をものすごい勢いで探すと思った。この胸の痛みの治療法が知りたい。
<恋の病:こいのやまい> ■症状・・・一般的には一種の錯乱状態に陥り、判断力の低下や、動悸息切れなどの症状がみられる。重症化すると、心臓への激しい痛みを伴う。治療法はまだなく不治の病とされているが、占いや恋愛ソングを聴くことで一時的に症状は抑えられる。
心臓が口からでそうになるという重症状態に陥り恐れおののいた私は、占い師に助けを求めてみたり、めずらしく女子の友人たちに恋愛相談をしてみたりした。
恋愛ソングを聴くことも、気持ちを落ち着けるのにおおいに役立った。
なんだか私のナウな気持ちを代弁してくれているようだったのだ。
ああ、そういうことか。と。
恋愛ソングを聞きながらうっとりしたり、泣いたりする女性の気持ちが本当によく分かった。
世の女性を悩ませるこの恐ろしい不治の病に、一刻も早く治療法が見つかることを祈る。
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