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「知ることは、愛すること」を実感している

わたしには、2人の娘がいる。
イヤイヤ期と言われる2.3歳ごろ、我が家の娘たちもご多聞に漏れず、イヤイヤしていた。
特に長女は、この時期に二女誕生という彼女の中では青天の霹靂的なことがおこったために、イヤイヤは一層激しく、地面に大の字になり、手足をばたつかせるというダイナミックな感情表現を所構わずに繰り出していた。

そんな、けっこうお手上げ感半端ない時期に、わたしの育児を手伝ってくださった方がいる。
彼のおかげで娘たちは素っ裸で保育園に行くこともなかったし(しょっちゅう洋服を着ない!と主張していた)、裸足で道路を歩いて怪我をすることもなかった(長靴しか履かない!というのに、長靴ではうまく歩けなくて途中で脱いだりしていた)。

彼のおかげで、親である私や夫は、日が暮れて真っ暗な公園にいつまでもいなくて済んだし、彼のおかげで1時間以上かかるご飯タイムが30分で終わることもあった。

そんな恩人であるにも関わらず、実は私は彼のことが少し苦手だった。
おもに、課題解決の仕方が。そして少し、見た目が。
なので、娘たちが彼から卒業し始めるのを察知するやいなや、私はそそくさと生活から彼を締め出してしまった。余韻は楽しまなかった。

彼の名は、アンパンマン。

お世話になったにも関わらず、塩対応してしまった彼のことを、10年の時を経て今、今度は私がハマっている。

きっかけは、コテンラジオ。
コテンラジオは株式会社コテンが配信している音声(YouTubeもある)番組で、主に歴史や偉人について背景から詳しく解説してくれていて、最近の私の生活のお供だ。

このコテンラジオで、やなせたかしさんの回があったのだ!

アンパンマンは、やなせたかしさんが50歳のときに描きだして、70歳手前で売れ出した。遅まきも遅まきで、それまでは代表作と言えるものがないと語っているという背景の時点で、驚いた。

そして何よりも、アンパンマンに込められた想いがすごかった。アンパンマンは、顔が”あんぱん”であることから、手が握りこぶしであること、悪役が”ばいきん”であること、それらすべてにやなせさんの信念があった。そしてそれに多大な影響を与えたのが第二次世界大戦だった。

「なぜいつも、ばいきんまんは飛んでいくほど殴られるのか」と思っていたけれど、あれはばいきんまんを「その場から立ち去らせる」だけにとどまっているのだとか。
けして、「消滅」させない。目の前の困っている人に、1人で助けに行く、それがアンパンマンなのだ。

絵本『あんぱんまん』が子どもたちから人気だとわかり、アニメ化するときに作られたのが、おそらく誰もが知るアンパンマンのマーチだ。

何のために生まれて、何をして生きるのか。わからないまま終わる、そんなのは嫌だ

「アンパンマンのマーチ」やなせたかし作詞

4歳くらいまでの子どもたち向けだから、もっとわかりやすい歌詞を、と言われても絶対に変更しなかったのは、やなせさんが子どものことを信じていたからだ。

「子どもだからといって、子ども扱いしないほうがいい。本当のことをわかっているのは子どものほうだし、わからなかったとしても問いを抱え生きていくと、その答えを探すようになる」。

ああ、アンパンマン……そして、やなせさん。
失礼いたしました、本当に、その本質を知ろうともしないで。
せっかくなら、娘たちと一緒に推せればどんなに楽しかったか。

「知ることは、愛すること」とは、ライターの師匠、さとゆみさんの言葉だが、本当にそうだよなぁ。
もっとたくさん、いろんな人のことを知りたい。そして、愛したいし、愛を広げたい。

色んな人の人生や、生きてきたこれまでのことを、深くたくさん聞けるように、なりたいなぁ、と、やなせさんのことを知って、また改めて感じました。



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