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君は生きていていいんだよ 僕が無条件に君の存在を肯定するから
「私って存在価値ゼロだよね。」
いつの時だっただろうかそれが私の口癖だった。
私は仕事で業務も人間関係も崩壊させるトラブルメーカーである。転職回数は数知れず。
今回こそ大丈夫と思った職場でも”また”やってしまった。
帰宅後は泣きながらトイレで吐き続けた。
次第に吐けなくなり真っ暗な部屋で着替えもせず布団にこもって泣いていた。家事をやらなきゃ。ご飯を作らなきゃ。洗濯機をセットして洗濯物をたたまなきゃ。やらなければならないことは分かっているけど涙が止まらない。
「こんな私、生きている価値ないよね。消えてしまいたい。」べっとりと張り付くどす黒い思考。
ガチャガチャ。
ドアのカギを開ける音がする。
ビクッ。ビクッ。
夫が帰ってきた。どうしよう。どうしよう。まだ。まだ何も家事をやっていない。何もできず真っ暗な部屋の真ん中で私はうずくまる。怖くて涙が止まらない。どうしよう。どうしよう。この人に嫌われたらどうしよう。
夫は部屋が暗いことに驚き明かりをつけた。私はひたすら許しを請うがごとく「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」と繰り返した。夫は言った。「お疲れ様。夢美。」
その後、私を後ろからギューッと優しく抱きしめた。「また、会社で嫌なことでもあったの?大丈夫、俺は夢美の味方で最後までいるから。」涙が嗚咽に変わる。なんでこの人は怒らないのだろう。
なんで。なんで。こんなに優しいのだろう。
その後、二人でかろうじて炊飯できた白飯と夫が買ってきてくれたコンビニのたこ焼きを食べた。それはその日に私が口にできた初めての固形物だった。ちょっと泣きつつも温かいご飯を二人で食べた。それだけで心が和らいでいった。
夫は食後は日課のゲームに励んでいた。ゲームの待機時間に夫の背中にそっと体重をかけて「今日もパニックを起こしてごめんなさい。できればあなたと一緒の時は笑っていたいです。」
夫はヘッドフォンを外して軽く口づける。
「そうだね、一緒の時は笑っていてほしいな。俺は最初に会った時から夢美が俺のことを好きって言い続けているから夢美のことを好きでいられるんだよ。」
そして一言付け加えた。
「夢美は生きていていいんだよ。俺が無条件に夢美の存在をずっと肯定し続けるから。」
いつもは怖い夜が今晩はいつもよりもどこか優しかった。それは一人で始まりという戦いである朝と向き合わなくてもよいからかもしれなかった。
さぁ。今日も生きよう。私が生きているだけで肯定してくれる人がいるから今日も生きよう。
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