Change the World

貴方は私の世界を変えてくれたね。

貴方は今、幸せですか？

私はずっといじめられて不登校だった中学校を卒業して高専に入学した。

世界が変わると思ったんだよ。

だけど高専でも私はいじめられて独りぼっちだった。

バスの時間待ちでよく寄った古本屋さんでは私は一人でも独りぼっちではなかった。

店内で流れるどこか懐かしい洋楽。

いつもだったら聞き流していたはずの音楽が私の意識を捉えた。

Elic Clapton　『Change the World』

手に星が届いたら

あなたに届けよう

私の心を輝かせて

そして私はわずかなお小遣いを握りしめ1枚のCDを買った。

月日が流れ、私は高専5年生になった。

研究室では先輩と二人きりだった。

その先輩のPCの画面に映っていたのはエリック・クラプトンだった。

先輩が小さく何度もつぶやく歌。

私はその歌が壊れないように静かに聴いていた。

何度も繰り返すその歌。

何度も聴いていたこの歌。

私にとってその時が宝物だった。

私が好きな曲を私が好きな人が歌う。

それだけで十分だったんだよ。

そのCDは結婚した今でも大切に持っている。

好きでした。あなたのことが好きでした。

貴方の幸せをいまだに私は願ってしまう。

それは今、私が幸せだからだろう。

さぁ、夕ご飯を作ろう。

愛しい旦那様と一緒に食べるために。

#はじめて買ったCD