我が家のテレビっ子事情
先日、ベネッ○様からこどもちゃれん○ぷちのご案内DMが届いた。
なんとお試し絵本、お試しDVD入り。力の入れようにおののいた。かつてベ○ッセから届くDMと言えば、進○ゼミで人生すべてが成功しちゃう!みたいな漫画だったのに……。
「祖父母の方にお渡しください」と書いてあるチラシが同封されていて(孫にちゃれん○を送ってあげませんか?という……ぶるぶる)、その通り母に渡したらなぜか白い目で見られたのはまた別の話。
ちゃ○んじに入会する気はまだないけれど、しかけ絵本がかなり良い出来だったので(ページ数は少ないけれど、作りがしっかりしていて驚いた)、俄然DVDが気になってくる。
以前友達とその子供たちと一緒に遊んだ時に、2歳のお兄ちゃんが、持参した某トラの子どもが出てくるDVDにがっつりと食いついていたのを思い出した。別の友人の子までが、帰らなくてはいけない時間になったというのにずっとテレビに釘付けで、苦心していたっけか。
そんなに素敵な魅力のあるDVD。ちょっとうちのいちくんにも見せてみたいな、と思うじゃないか!
そしてあわよくば、私が忙しい時にはそれでごまかされてくれないかな、とか考えるわけだよ!
テレビ育児上等じゃーーー!!(スマホだっていいじゃない、少しの休みの時間がとれるなら……)
***
その機会は次の土日にやってきた。
旦那は二階で片づけ、私は下で息子を見ながら洗濯物たたみ。
つかまり立ちを覚えた息子は、もうあっちこっちに手をかけ、足を上げ、ちょっと目を離せば立てないくせに手を放して、危ないったらありゃしない。
そうだ。
ピンときた。
今こそ、あのトラの子(意味が変わります)の出番じゃない?
かけちゃえばいいんじゃない!?
プレイヤーにお試しDVDを突っ込んで、再生ボタンを押す。
やがて、楽し気な音楽が流れ出し、画面には見覚えのあるトラのぬいぐるみ(パペット)と健康的で優しそうなお姉さんが現れた。
「ほらほらいちくんいちくん、しま○ろうだよー!」
つかまり立ちをしたまま、片手で持った積み木をガンガンと打ち付けていた息子は、ちらっとテレビを見て「あぶぶぶ」と赤子らしい声を発し、再度ガンガンと自らのお仕事に熱中し始めた(積み木も椅子も傷むからやめてほしいやつ)。
ときどき目を上げてテレビを見るけれど、それ以上もそれ以下もない。
ながら見である。
あれ?
おかしいな。思てたんとちがう。
私は首をかしげながらも、一生懸命お姉さんをまねて聞き覚えのない歌を歌い、息子をのせようと頑張った。が、息子がそれ以上の反応を示すことはなかったのであった……。
***
しかし、その30分後。
息子は、私の膝の上でテレビをじーっと凝視していた。
なんだなんだ? ついに息子もしま○ろうに陥落したのか?
いいえ、違います。
画面に映っているのは、スーツにトレンチコートを着た松重豊。
そしておいっしそうな脂のしたたる牛タン、カルビ、サムギョプサル!
『孤独のグルメ』(season5)です。
もうね、何でなのかわからない。まだ食べさせたことのない焼肉と井之頭五郎の何が彼の心をつかむのだろう。
とにかく、し○じろうをあきらめて、AmazonPrimeで自分の好きなドラマでも見ようか、とPS4(我が家はPS4で動画を見る)を起動させた辺りから、息子が積み木ガンガンをやめてくれたのである。松重豊が道をぶらつき始めてからずっと、彼の眼がテレビから逸らされることは決してなかった。
思えば、彼はアン○ンマンにも興味がない。
一応、そのうち保育園に通い出して、友達との話題が合わないと困るかな(先のことを考えすぎです)と、ここ最近は金曜の昼には日テレを見せてあげるようにしていたのだ。
しかし、「アンパンマ○だよ~」「いちくんも食べる食パンだよ~」などと言ってみても、微塵も関心を示さない。
それどころか、やがてチャンネルをそのままにしていると始まる「ヒルナンデス」の1企画、「まちゃみのおひとり様旅」を見てキャッキャと声をあげたりしている。
何なの? 孤独好きなの?
今きみ後追い期なのに?
そういえばゴールデンタイムには、特番で放映していた「ダイエットヴィレッジ」という、女性が5人で合計100キロやせないといけない、という番組を笑いながら見ていたこともあったっけ……。
生まれてすぐの時間を過ごした私の実家で、母の好みのテレ朝再放送(※8割方殺人事件が起こるサスペンス)ばかり見せていたせいだろうか。
彼はその生まれたばかりの純粋な眼に、何を刷り込まれたのだろう。
***
そうだそうだ。息子がもっとも気に入っているテレビ番組を忘れていた。
それは、『キューピー3分クッキング』。
チャララッチャッチャッチャッチャッ♪
という音楽とともにキューピー人形が踊り始めると、彼は途端に遊びをやめ、テレビが見える位置に移動し始める(今日は座っていたのにつかまり立ちでテレビの見える高さに動いていた)。
キューピーと野菜たちがくるくると踊るところを真剣に眺め、短いOPが終わると、私の方を見てニコッと笑う。「あば」と声を上げてくれることもある。
そうかそうか。きみはキューピーが好きなのか。
ちょっと赤ちゃんぽいところがあって、ママはホッとしたよ。
将来料理好きな男子になればいいのにな、と思いながら、母はスマホでキューピーOPエンドレス動画を検索するのだった。