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不妊という傷つき体験

 どうも、不妊治療3年目、公認心理師のまみです。

不妊って大きな大きな傷つき体験だと思うのです。不妊治療を初めてずっと抱えてるこのモヤモヤがそれだとやっと気づきました。

 辛い日常の中に楽しみを見つけてなんとかこうにか生き延びているわけですが、不妊治療を支えるメンタル資源の一つになれたらと思い、自身の経験と心理の知識をもとに、不妊や不妊治療とどうやって向き合っていけばいいか書いて行こうと思います。

不妊とメンタルケアに関する動向

 日本産婦人科学会によると、子どもの16人に1人が高度不妊治療で生まれているとされています。また年間で約45万件の治療が行われており、これは世界で1番多いそうです。日本は不妊治療大国であることがわかります。
 しかし日本では不妊治療患者を対象とした調査が実施されていませんでした。2021年4月、不妊治療が保険適応になることと合わせて、国立育成医療研修センターなどで日本で初めて不妊治療患者へ調査が実施されました。

約500名を対象とした1年の追跡調査において、以下の結果が出ています。

•簡易抑うつ調査において軽度以上の抑うつ症状ありが54%、20代においては軽度以上の抑うつ症状ありが78%に上る
•QOL尺度において、社会生活機能や、日常役割機能(精神)、心の健康など項目で国民標準の平均値を大きく下回っている

これらのことから「治療を受ける女性に対してのメンタルヘルスの支援が必要である」と結論づけられています。

つまり、不妊治療においてメンタル支援が必要だと初めて示唆されたのは2年前です。悲しいことですが、不妊治療に関するメンタルケアについては知見が少なく、医師や看護師の方にも十分に浸透していないということが言えそうです。

不妊は大きな傷つき体験である

 友人は自然に妊娠、出産しているのに私にはそれができないという事実を受け入れ入れるのはとても悲しいことです。
 不妊治療専門院のtorch clinicのDr.コラムには以下のことが書かれています。

 不妊の原因はどのようなものであれ、「治療を受けなければ妊娠できない」という事実は妻、夫、夫婦にとって非常に大きな出来事です。自分の人生を根こそぎひっくり返されるような衝撃でもあります。

Torch  clinic HPより

 漠然と抱いていた結婚して子どもを産む、母になるという人生の希望が絶たれたような不安と絶望だと思います。
 わたしは、小学校から中学校へというような、次にすすむことが当たり前だと思っていた人生のエスカレーターから落ちてしまった、取り残されたような孤独感を感じました。

 これってすごく大きな傷つき体験だと思います。妊娠や出産という人生を左右するライフイベントに関わることですから。

 更にとてもセンシティブな話題のため、友人や親にも言えない場合もあり、抱え込んでしまいやすく、孤立を増長させると言えるでしょう。

こころの変化や不調は自然なことと認め、受け止めよう


傷つき体験の後に現れやすい大きなものを以下の4つに分けてみました。これらは誰にでも起こりうるもです。自身の反応を観察する手がかりにしてみてください。

【考えやイメージ】
•またすぐ悪いことが起こる
•自分は無力な人間だ
•自分は価値がない人間だ  など

【気持ち】
•不安
•怒り
•悲しみ
•前向きな感じがしない
•気持ちを感じない  など

【体】
•頭、胃、腰などが痛い
•疲れが取れない
•眠れない
•ぼーっとする   など

【行動】
•お風呂に入るなどの日常の必要な行動を避ける
•外出の頻度が減る
•人と会うのを避ける
•食べすぎる   など

 当てはまるものはあったでしょうか。わたしはチェックがたくさんつきました。これらはほんの一例にすぎません。人によって様々な症状がありますから「いつもと違うな」という自身の感覚を大切にしましょう。

まずは傷ついている自分を認め、受け止めることです。
可能であれば「辛い」「悲しい」など書いてみたり、声に出して言ってみるのも効果的です。更に体をさすったり、撫でたりするのも良いでしょう。

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今後も不妊治療とメンタルケアについて、治療のステップや夫婦間のコミュニケーションなどについても触れながら書いて行こうと思います。

同じ辛い思いをしておられる方の参考になれば幸いです。



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