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マミトラという呪縛からの解放

「育休明け=キャリアを捨てる」

私は、この構図が好きではない。

もちろん、もうすぐ2歳になる娘は、
何をしても可愛いし、世界一の宝物だし、
自分の命よりも、何よりも優先すべきは娘だ。

でも、娘に出会う以前、
10年以上かけて築き上げたキャリアを
そうもやすやすと手放すのは、
それはそれで何か違う。

こんなことを言ったらお叱りを受けそうだが、
娘には娘の人生があるように、
私にも私の人生があり、
一生をいわゆる「おかあさん」だけで過ごすのは、
ちょっとモヤモヤが残る。

いや、そもそもが、仕事も勉強も、
これまで費やした全ての道のりが、
なんらかの形で娘に出会うための道標なのだから、
「お母さん」がゴールだよと言われれば、
それまでだ。

頭じゃわかっている...

だから、根幹は「おかあさん」でいたいのだが、
外では今まで通りの私でいたいという我儘だ。
それが一番難しいのだけれど。

実は私は、結婚してからも、
外ではビジネスネームとして旧姓を使い続けている。
外に出れば、旧姓で呼ばれ、
気持ちは少しシャキッとする。

でも現実は、気持ちの切り替え願望とは裏腹に、
仕事中もやはり「おかあさん」にならざるを得ない。

この仕事は土日出勤必要だけど保育園休みだし、
誰かに代わってもらわなきゃな...
夜遅い会議は出れないな...
時短だから、フルパワーでも期限内に仕上がるかな...

そんなの日常茶飯事だし、
そこに娘の体調不良が重なりでもしたら、
もう完全にアウトだ。

だから、産後に復職するお母さんの中には、
業務量を調整してもらったり、
負担の少ない部署へ異動を希望したりする
人もいるのだろう。

私はずっと、それはマミトラなのでは?と思って、
嫌厭していたし、時短だとしても、
意地でも元通りに働いてやると、
つい最近まで意気込んでいたし、
ぶっちゃけそのために多少無理もしている。

だが、復職して1年近くも鼻息を荒げていたことを、
いくぶん後悔する羽目になった。

最近、たまたま人事と働き方に対する
意見交換の場があり、
どうしたら私が希望する働き方をサポートできるか
という話になったのだ。

ここでは詳細は省くが、人事のお姉さんの話から、
同僚のワーママたちが希望する働き方は、
多岐に渡ることを知った。
たとえば、上司から業務量を調整されるという
同じ扱いを受けても、不服に思う人もいれば、
ありがたいと思う人もいる。

本人がマミトラだと思えばそうなるし、
逆に仕事量をコントロールしてやってると自負すれば、
そういうことになる。

マミトラという単語の呪縛が解けた瞬間だ。
なんだ、そういうことか。
急に肩が軽くなったような気がした。
そうか、じゃあ遠慮なく好きにすればいいんだな。

自分で仕事量をコントロールしながら、
必要に応じて周囲にサポートをお願いして、
自分の目指す姿に近づけるなら、
それはマミトラでもキャリアを捨てるわけでもなく、
立派なキャリア形成の一貫だ。

私は通勤時間が長いため、娘のお迎えの都合で、
時短は必須要件だ。
かと言って、極端に業務量を減らされるのも嫌だ。
じゃあどうするのが最善の策なのか...

フレックスや夜間の在宅勤務等、
多少社内制度を変える必要があるらしいが、
いくつかの制度を組み合わせれば、
退社時間は早いままでフルタイムが可能かもしれない。

そのためには、社内はもちろん、
旦那や娘の協力が必要不可欠だ。

私が、あまりにもピーピー騒ぐもんだから、
社内も制度を見直し始めたようだ。
風向きは追い風。

なんだ、私、自分が働きやすいように、
ちゃんと手綱を握ってるじゃないか。

「お母さん」と、旧姓の仕事マンの私が、
ちゃんと共存できる環境が整いつつある。

すでに管理職待遇とはいえ、
もとから将来的に部長や所長ポジションには興味がない。
もともと目指していたのは、
ナンバーワンではなく、オンリーワンの存在だ。

組織のナンバー2や3で、
存在感のある人、いるでしょ?
そういう人って、何でも屋だったり、
何か一つのことに秀でていたり、
人間力が高かったり、
色んなパターンがあるけど、
私が目指しているのは、そういうポジション。

専門的な仕事だから、
もちろん知識や経験あってのことだけど、
組織に足りない部分に根を張って、
オンリーワンになるために、
自分だけのポジションを長年地固めしてきた自負がある。

冷静に考えると、私は、
産後にこの地固めした土台を壊されることが、
怖かったのだな。

特に昇進試験もない会社だから、
成り立つことだけれど、
なりたい姿になれるよう、
また明日も頑張ろうと思う。

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