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一度死んだから言えること


◉自宅でのリハビリについて

退院までにPTと打ち合わせをして、彼らの指導する一般的なリハビリはやらないと決めていました。

退院したら毎日1時間以上は歩こうとか、腹筋や臀筋や脚部の筋力アップをしようとか、人並みのことを考えないでは有りませんでしたが、前にも書いた様にそんなの私のそもそもの日課では無いので意味がありません。

私の日常生活を送る中で、それ自体がリハビリになるということをしなければ、生活の為の身体に復帰できないと思ったからです。

昨年でしたか亡くなられたアントニオ猪木氏が、全盛期の頃にトレーニングについてよく言われていました。「器械を使って作った筋肉は試合では使い物にならない。自然の中で作ったもので無いと本当の力は出ない」と。

いわゆる今どきのウェイトトレーニングは否定していて、スクワット3時間とか、垂らしてあるロープを腕の力だけで登り切るとかを、若手にさせていました。

まぁ、実践的な筋肉を作るという事を推奨していました。まぁ今更それに感化された訳ではなくて、思い出しただけなんですがね。でも、理には叶っているんですなこれが。

ですので、退院した翌日から直ぐに始まりました。毎日床に敷いた布団から立ち上がる事がリハビリ開始です。皆さん何気にされていると思いますが、長くベッド生活をしていると、身体が忘れているのでそう簡単では無いのです。

でもそれを見越して介護ベッドにしなかったのですからね。毎度「ふむっ!」と声を出しながら気合いを掛け、足をプルプルとさせながら、側のタンスに手をついて立ち上がるのです。

こな時点で「ゼェゼェ」言ってます。これが実態なのです。そして病院内ではわからない体力状態なのです。

だから実生活に伴うリハビリをしないと、本当の元気な身体には戻れないのです。

そうして、身支度を整えたら近くの市場まで、一人歩いて買い出しに行きます。健康なら30分もあれば余裕で行って帰って来れるのですが、最初は1時間も掛かるので心配したゆあんさんに叱られました。

「なんでも一人で頑張るのではなく、くたびれたら息子を呼んだらいいんだから」と。そりゃ死にかけた旦那が帰ってきて早々に動き回って奮闘しているのですから、心配するのは当たり前ですよね。

買い物が終わると一旦休憩に入ります。昼ごはんを食べたり寝たりしながら、その日の体調を観察して、自分なりに把握していきます。

一番しんどいのはやはり心臓ですかね。動悸が140レベルあった事から、正常に戻ったとは言え、以前よりくたびれやすくなったのは確かです。

そして夕方から夕飯の支度に取り掛かるのです。大きな中華鍋を振っていたのに、流石に握力が低下して振れません。美味しいチャーハンが作れなくなっていて、自分でもちょっとショックでしたね(笑)

そうなんですよー。鍋を振るのも握力や腕力が必要なんで、立派なリハビリになるんです。また、左右の手の連動性にも取り組めるのが、包丁で野菜を切る事でリハビリになります。

そうやって、日常生活の一つ一つを怠けずに嫌がらずに取り組んで行く。やたらと健康にと歩き回るのではなく、日常生活を一生懸命にやる。それが私のリハビリ生活でした。

続く


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