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一度死んだから言えること


◉カニューレが外れた日

前から書いてる様に、私の排泄する痰は濃くて粘着質で、吸引してもなかなか取れない厄介なものでした。

それがカニューレにまとわりつき、前の病院でも取り替えるしか無い事があったのです。

麻酔も何にもなく、切った喉に嵌め込んだカニューレを引き抜いて、新しものに差し替えるなんて鬼の様な所業です(笑)

そしてこのリハビリ病院でもどうしようもなくて一回交換してくれたのですが、最初の苦痛はどこ行く風みたいにウッ!っと我慢していたら、何事もなく終わってしまいました。

前の病院での話をしたら、カニューレの周りに麻酔薬を塗布してくれて、サッと抜いてサッと差し替えて何事もなかった様に、その先生は笑ってました。

前の病院での出来事は何やったのか?と腹が立つくらいでしたが、もう後の祭りってやつですから仕方ありません。

そんなカニューレも喀痰の減少により、取り外してみようとなり、検査をしてみました。

鼻からカメラを喉に入れて声帯や詭道周りを見てみると、やはり右の声帯が麻痺したままでしたが、左が上手くカバーしている様なので、一週間後に再検査して声帯がそれでも問題なく作動するなら取り外すことになりました。

そして結果は、左の声帯がが覆い被さる様に右をカバーしているところまで回復したので、取り外しても大丈夫だろうとなりました。

まぁ未だに声帯は大して変わってませんが、ずいぶんと声は出る様になり、疲れると真っ先に声が出なくなりますが、それ以外は嚥下も普通にできています。

ただ、声帯が満遍なく動かないので、歌が歌えないと言うか、出ない音が生まれてしまったのが唯一喉に関しての残念なところですかね。

それくらい長期間に渡って気管挿入はするものでは無いとお伝えしたいですね。

さて、ではどうやって取り外すのか?切開した喉は縫い合わせるのか?また手術をするのか?と少しビビっていると、看護師さんが「何もしません。カニューレを抜いてそのままで、過ごしてもらいます」「喉に蓋の様にガーゼを貼る程度ですかね」と言われて、これまたびっくりしました。

家族に電話で伝えると同じ様に説明されたと言われました。手術はしない方が良いけど、そのままってのも何だかね〜って感じです(笑)

そしてその日が来て、無事に半年近くもしていたカニューレとお別れをしました。喉にガーゼを貼り付けてハイ終わり!みたいなもんでした。

後は一日3回空いた喉の周りに薬を塗って殺菌する程度で、自然と塞がるとのことでした。まぁちょうど退院する頃には何とか塞がり、「人間の体ってよく出来てるなぁ」と我ながら感心してました。

やっと鬼の様な喀痰との闘病のお別れかと思いきや、外した夜中にガーッと喉が喀痰で詰まり、思いっきり口から吐き出したら、五百円玉くらいの大きなヤツが飛び出て来ました。そしてそれが喀痰との最後だったのです。

苦しかった。悲しかった。この苦痛がいつ終わることもなく、続く毎日が辛かったけど、肺がその分は回復しているわけで、今では自分の体にありがとうしか無いですね。

肺病系が死に直結している事を、まざまざと体験した喀痰との闘いに感謝して、ようやく一番の問題点が終わったのです。


続く


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