矜恃

『取材では、遺族や大きな悲しみに直面している人に話を聞くことが多い。より多くの言葉を引き出したいと思う一方で、私の言動が相手を傷つけているのではないかと、悩み続けている。』


この記事を書いた記者の方に、何回か取材をしていただいており、先日も遺族体験調査についてお話をしました。
記者としての役割、責任を持ちながら、言葉を丁寧に選んで、ゆっくりと話を聞いてくださる姿勢をいつも感じています。


他にも、多くの方に体験をお話する機会をいただいてきましたが、夫婦で受けた取材で、初めて夫の本当の気持ちを知ることが出来たことがありました。


『決して治らないであろう状況で治療に向かう理由は、必ず別れる日がくることは理解しているので、その日が1日でも先延ばしになることを願ってです』


この言葉を聞いたかどうかで、その後の私の日々は変わっていたんじゃないかとも思っています。
落とし所を決めて、素材として扱われていることと、真摯にテーマに向き合う姿勢は、たぶん取材を受ける側には伝わるんじゃないかなと思っています。


取材を受けながら、誰にも話さずにいたことを口にする自分に驚きながら、話したかったんだと気づき、気持ちの整理に繋がることもあります。
私も多くの患者家族の方々の声をうかがう立場にあります。
自分の経験は、自分の経験でしかないことを胸に刻み、私に声を届けてくださることへの重みを常に忘れずにいたいと、この記事を読んで思いました。

どんなことも、そこに向う気持ちが表れ、伝わるのでしょうね。
それは、決して表面的なことではない。

逆に言えば、表面的なことで判断するのは、それしか見えていないことなんじゃないかなと思ったりしています。

全国胃がんキャラバン、多くの人にがん情報を届けるグリーンルーペアクションに挑戦しています。藁をもすがるからこそ、根拠のある情報が必要なのだと思い、頑張っています。