患者の覚悟を知っていますか?~研究不正は謝って済むことじゃない~
昨日、このニュースを観てから、
言葉に表せない気持ちに包まれています。
臨床試験、先進医療は、新たな治療に繋がることを目指して行われる研究です。
そこに参加する患者さんがいるから医学が進んでいくのです。
【患者の想い】
夫は、第一相試験という、初めて人に投与する段階の試験に参加しました。
参加する覚悟、わかりますか?
先進医療とは、効果、安全性が定まっていない試験的な医療のうち、将来、保険適用になるかの判断をするための評価段階にあるものですが、こちらも受けています。
参加する際、もしかしたら自分の命に繋がるかもしれないという一縷の望みもありました。
同時に、もし自分に間に合わなくても、
未来の医療に繋がってほしいという願いを持っていました。
研究者を信じているのです。
信じて命を預けているのです。
【なんのための改ざん、捏造なのか】
今回の投与を受けていた患者さんの失望は筆舌に尽くし難いと思います。
公正な研究データが、本当の効果、安全性を示し、命に繋がる、治癒に繋がるのではないでしょうか。
データ改ざん、事象へのバイアスで得られた結果は、真の研究結果ではなく
そのようなことを行う方は、研究をしないで欲しいとも思います。
患者はデータの一つではなく、
一人一人の人生です。
自分の満足のために、患者の想いを踏みにじらないでほしい。
そして、今回の件が、『臨床試験』への曲がったイメージに繋がる可能性もあります。
治療が定まらない難治性がんに関わる立場として、こんなに悲しい報道はありません。
「効くったら効く」というだけの信念は、怪しい療法となんら変わりはありません。
それは、熱意でもなんでもない。
患者は、命を振り回されているのです。
謝ってすむことじゃない。
この投与を受けていた患者さんのこれからに、全力を注ぐ、真の医療者がいることを心から願っています。
全国胃がんキャラバン、多くの人にがん情報を届けるグリーンルーペアクションに挑戦しています。藁をもすがるからこそ、根拠のある情報が必要なのだと思い、頑張っています。