発信への矜持

【ペンの持つ力】

日付が変わったころ、年末に受けた取材の原稿確認依頼のメールが届きました。
8,000字に及ぶ原稿の一文字も、訂正が必要な個所はありませんでした。

2年前にも同じ記者に取材を受けたことがあります。
公開されたその記事は、年間で一番多く読まれた記事となり、今も多くのアクセスをいただいているそうです。


私の娘は、フリーライターという発信の立場にいますが、家族のことを明らかにすることを避けているようにも思える娘が、自分の想いをコメントにつけて、一度だけシェアしたのが2年前の記事でした。
私たち家族が、事実を受け入れ、その後の日々を生きていく力に繋がりました。そして、公開から2年以上経っても、多くの方のアクセスがあるということに、『届く』という意味を感じています。

【矜持】

1月24日の夜、メディカルジャーナリズム勉強会に呼んでいただきました。
熱い議論でした。意見を求められた私は『矜持』という言葉を使いました。

社会的に生きていくことは、想いだけでは済まない場面もあると思います。真っすぐであることが誰かを傷つけてしまうこともあるし、生きていくためには必要な忖度もあるでしょう。

譲ってはいけないと思う場面では苦しさを背負う覚悟も問われます。

『社会性』と『矜持』を、いつも問われているのだと私は感じています。

【タイトル】


希望の会を設立して、3月で丸5年になります。その中で、取材を受ける経験をたくさんいただきました。
『タイトルで関心を惹かないと、本文を読むことに繋がらない』という記者の立場と闘ったことも少なくありません。自分の無力を感じることも度々です。

今、タイトル、添えられた写真から、内容を解釈し、本文を読まないままに、コメントをつけてリツイート、シェアがされていく流れを感じています。発信者との関係性や好意から、リツイート、シェアされていくこともあります。本文を読まない、自分で確かめないまま、大きな力をもって広がっていきます。『インフルエンサー』という言葉がありますが、意図をもって広めてしまうこともできてしまうのですね。
ちょうど、折も折、『ヤマト糊』の話題が出ていたので、急遽、その内容もスライドに足しました。
ヤマト糊の記事は『がんが消えるなんて、すごいぜ、ヤマト糊』『ヤマト糊、飲んじゃおうかな』などのコメントがついて、あっという間にリツイートされていきました。
あの記事を発信したのは、何のためなのか。
本文には、『液体のりの主成分が』と書いてあっても、タイトルと写真で『ヤマト糊』として広がっていくであろうことに、意識はなかったのか。
何のために…
PVを増やすため?
本当にヤマト糊ががんを消すと思ったのか。
何を伝えたかったのか。

大和のり Yahoo!

【中身なのか人なのか】

発信者の口調や正確に焦点を変えて、中身から論点をずらしてしまうことを『トーンポリシング』というのだと知りました。これは非難の場合に使われているようですが、中身を評価することなく、発信者が誰かを視点にしてバイアスをかけてしまうことが、いろいろなものの質を変えてしまうことも日々、感じています。

きっと、時代が変わったのです。
それでも、変わらないものがある。それは、人は心を持っているということです。

【ゲラに涙した】

今回、取材を受けた記事は『人生会議』についてです。
ポスターに意見を持ったことが、『炎上』ととらえられていく中で、取材に真摯に対応していくことが声をあげた私の責任だと思ってきました。
今朝読んだゲラに涙が出ました。そこに、私が本当に伝えたかったことがありました。


まさにプロの力です。
求められた母の写真は出せませんでした。

火事で失うということは、そういうことです

それでも、今、私は、日々是好日と思えています

それは、2年前の記事から始まっているようにも思います。
今回の記事は数日後に発信されるようなので、公開されたら、お知らせさせてください。


全国胃がんキャラバン、多くの人にがん情報を届けるグリーンルーペアクションに挑戦しています。藁をもすがるからこそ、根拠のある情報が必要なのだと思い、頑張っています。