見出し画像

日陰からの眺め|日々の雑記

「無限の彼方へ、さあ行くぞ!」

お酒を呑むとき、心で唱える呪文です。

有名な決め台詞がこんな使われ方をしていると知ったら、某スペースレンジャーさんもがっかりすることでしょう。想像力と引き換えに、今の暮らしを手にしたかつての子供たち。その夢に出てくるカウボーイがなぎら健壱さんに変わった時、きっと僕らは大人になったのです。

さて、お酒のことばかり書いたエッセイのシリーズが、それぞれ100本を超えました。

ひと区切りついて思ったのは、「よくやった」と自分を褒めたい気持ちと「ようやるわ」と呆れる気持ちのハーフ&ハーフ。酒に流され、私は一体何処へ向かっているのでしょうか。

まあ、酔っ払いにとって目的地なんてあってないようなもんです。
寄り道を繰り返し、気付かぬうちに横道に逸れ、挙句の果てに道を踏み外すのが酒の道。今日も今日とて、ワイルドサイドを千鳥足で歩んでおります。

そんなたゆまぬ努力で積み(罪)重ねてきたアルコールエッセイたち。健康的で、お天道様の下が似合うフードエッセイに比べると、どうにも日陰のイメージが伴います。そもそも酒呑みなんて盲腸みたいなもの。だけどあのブラック・ジャック先生も

「虫垂だの 農家の四男坊なんてのは やたらに切っちまって いいもんじゃないだろう」

【156】勘当息子より

なんて仰ってくれていますから、これからも優しく見守ってくれると嬉しいです。

それにしても食べ物の話がマルシェ的な開放感を持つのに比べ、お酒の話は場末のスナックに漂う、どん詰まりの空気感が濃いように思います。
それが悪いってことでなく、世の中には明るい舞台に憧れる人も多くいらっしゃいますが、薄暗がりを好む人間も存在すると言う厳然たる事実。賑わう彼方を此方から見やれば、不思議と気持ちが落ち着くのです。

それにですよ、なんて言ったってこれからの季節、紫外線の降り注ぐ所にばかりいたらしみ・・が増えて困ります。ただでさえ、若い頃の無鉄砲と怠ったお手入れのおかげで苦労しているんですから、これ以上のトラブルは勘弁です。

今日、2024年6月21日は夏至です。関東地方もようやく梅雨に入りました。今年の夏は、いえ、今年の夏も猛暑が予想されています。

明るい太陽の下、ご機嫌に過ごす時期はとっくのとうに過ぎました。仄暗い、冷房の効いた町の角打ち、通りを駆ける日焼けした子供たちを、眩しく眺める季節がもうすぐやってきます。

この記事が参加している募集

頂いたサポートで酒を呑み、それを新たな記事にすることで「循環型の社会」を実現します。 そんなほろ酔いで優しい世界、好事家の篤志をお待ちしています。