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春の揺らぎ(ノビル味噌)|酒と肴 その二十五

木の芽時、皆様いかがお過ごしでしょうか。こちらは気候の変化に追いつけず、心身ともに春霞です。秋田に同名の美味しいお酒がありますが、二日酔いではございません。

どうにも出掛けるのが億劫で、サブスクの雑誌を読んでいるうちに時間ばかり過ぎていきます。週刊誌から生活系まで幅広く読むことが出来てありがたいですが、一冊を読み込んで、本棚の並びにもこだわり、捨てる前にまた読み返す(結果、捨てられない)といったお約束を、しばらく味わっていません。

思い返せば最後に雑誌を買ったのは一年前。その頃は長野に暮らしていたので地域情報誌「KURA」の、信州産食材の特集号を買いました。今、手元にある雑誌はこの一冊のみ。学生の頃は雑誌と人生が結びついている気がして、毎週のように買っていたのが嘘みたいです。

さて、例年なら街ゆく人の装いが華やか軽やかになる頃。人出が少ないからか今年の傾向なのか、どちらかと言えば色味は落ち着いています。
そもそも混雑を避けた早い時間の通勤ですし、電車の中ではスマホばかりで目に入っていないだけかも知れません。
そんなことから女性ファッション誌をスクロールして、春の訪れを感じています。画面にはマスクが日常になる前の風景がひろがっていますが、「次に生まれるならシャツワンピの似合うひとになりたい」なんて思うあたり、ノスタルジアの欠片もないですね。

こんな風に怠惰に過ごす休日ですが、いつまでも安住の地(布団)には居られないことは知っています。お腹が空いたら食事を、喉が乾いたらお酒を飲まなければなりません。昨日の帰り、駅の出店でノビルが売っていたので「ノビル味噌」を拵えて春の息吹を取り込むことにしました。

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そのままでも肴になりますが、ここは焼きおにぎりを選択。香ばしい香りに誘われて、はるか北海道から飛来したクマゲラが狙っています。男山のクマゲラ缶です。ノビル味噌の焼きおにぎり、お酒とよく合いました。

いい具合にほろ酔いです。このまま布団という名の故郷に帰るのも魅力的ですが、街へ出て雑誌を買うのもいいかも知れません。テラス席でページをめくり、通り行く人々を眺めながら飲むビールも美味しいことでしょう。

春風に吹かれ、頬のほてりを冷ましてきます。

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