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冬支度(ミートソース)|酒と肴 その四十五

休日は河原に椅子を持ち出して、本を読んだりビールを飲んだりして過ごします。今の時期は水筒にホットコーヒーが主ですが、これを機に、温かいワインやウイスキーに親しむのも楽しいでしょう。

水辺は空がひらけていますので、日光を遮るのは雲だけです。
日が陰れば空気の冷たさを感じますし、太陽が顔を出せば暖かです。当たり前のことは忘れがちですが、自然にはかないません。

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冬は寒く、夜は暗いもの。
だからこそ暖かで、明るいことはありがたいはずなのに、いつしかそれを当然と勘違いしてしまいます。街も室内も快適が過ぎて、加齢とは別のところで感覚が鈍くなっている気がするのです。

お酒も同じです。冷蔵庫のビールを切らしているからこそ、素面の時があるからこそ、飲んだ時の味わいが増すってもの。ですから買い置きが無いと落ち着かない、常に酔っ払っているという状態はよろしくないのでしょう。ズブズブになり過ぎて、このあたりも鈍感になっていました。

そんな時、冬ざれの河川敷でチェアリングしていると、緩んでいた身体感覚が戻ってくるのが分かります。きっと日光で心の雑菌(思い込み)が消毒され、風干しで余計な水分(むくみ)が抜けていくのだと思います。もしくは体に染み込んだアルコールが揮発するのかも知れません。

いい具合に天日干しされたところで本から目を上げれば、土手の草をなびかせながら、風が吹いてくるのが見えます。少し間をおき、枯れ草の匂いがやって来て、冬の午後は穏やかに過ぎていきます。

コーヒーも飲み終えましたので、そろそろ家に帰りましょう。

帰宅すると朝からベランダで干していたエリンギが、いい具合に仕上がっていました。今日はこれを使ってミートソースを作ります。

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濃い味が食べたかったので、トマトではなくデミグラス缶で仕上げます。干したエリンギは歯応えがよく、いつもより深い味わいのミートソースが出来た気がします。

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ビールは一番搾りのとれたてホップを頂きます。
見映えを気にするスケベ心から温玉をのせましたが、水っぽくなり失敗でした。ソースの味を卵白が薄め、肉と卵黄がケンカする、そんな味わい。作りたてのミートソースは、まだ味が馴染んでいなかったのかも知れません。粉チーズの量を増やすか、クリームチーズを添えたほうがよかったですね。ビールが美味しいだけに悔やまれます。

翌日、一晩寝かせたミートソースで再挑戦。前日の反省を活かして「粉チーズ多め」にしたところ、やはりこちらが正解でした。残念ながら冷蔵庫にビールは冷えていませんが、次回の楽しみとしときましょう。

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寒く、乾燥した日が続きますが、食材を干すのにいい季節です。エアコンの設定温度を上げるのも方法ですが、一枚多く着込むだけでもだいぶ体感は違います。紅茶を淹れるのもいいですし、熱燗もまた良し。冬支度をしながら、風邪をひかない程度に寒さを楽しもうと思います。

メニューと材料
・ミートソース(合い挽き肉、玉ねぎ、エリンギ、人参、ニンニク、デミグラスソース、ケチャップ、中濃ソース、オリーブ油、塩、胡椒)

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